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中国人民銀行は「銭荒」に勝てるか[日経新聞]
2014/1/11 6:00
2013年は中国人民銀行(中央銀行)にとって不名誉な年となった。6月と年末の2度にわたり、短期金利が大きく乱高下する事態を招いたからだ。市中にマネーはあふれているのに、繰り返される「銭荒(資金逼迫)」。人民銀は今年、有効な手立てを打ち出せるか。
サンタクロースが行き倒れに――。13年のクリスマスイブに、中国のインターネット上である笑い話が出回った。
イブの中国各地はひどいスモッグで覆われ、サンタは道に迷った揚げ句、転んでしまった。中国では転んだ人を善意で助け起こした人が逆に加害者だと訴えられる事件が相次いでおり、みな怖がってサンタを助けなかった。そんなオチだ。
「サンタの代わりに『中銀ママ』がプレゼントをくれた」。市場ではこんな冗談も流れた。イブのこの日、短期金利の上昇が止まらず、人民銀は3週間停止していた公開オペによる資金供給の再開を迫られたためだ。
中国の通貨供給量(マネーサプライ)は13年11月末時点で前年同月比14.2%増と、政府の抑制目標(13%増)を上回る。住宅の値上がりを見込み、個人や企業の資金は高利回りの理財商品などを通じて不動産投資に回る。マネーが銀行の預金・融資を介さない「影の銀行」に流れ込む構図だ。
人民銀は実体経済からかけ離れたマネーの伸びを抑えようと必死だ。今回の金利上昇に対しても当初は短期流動性オペ(SLO)という臨時措置で対応。ある副総裁が経済誌のフォーラムへの出席を急きょ中止するなど人民銀の動きは慌ただしさを増したが、最後は市場の圧力に膝を屈した。
なぜ、市場で資金が逼迫するのか。資金需要が高まりやすい年末に人民銀が資金供給を絞ったことが1つ。さらには、銀行が収益至上主義に傾き、低コストで集めた短期資金を高利回りの長期運用に回すお粗末な資金管理をしているためだ。
その象徴ともいえるデータが年の瀬に明らかになった。中国の地方政府の直接・間接の債務残高が13年6月末時点で17兆8909億元(約310兆円)だと発表されたのだ。
「隠れ借金」との批判が強い地方政府傘下の投資会社(融資平台)の債務も含まれ、10年末から約7割も増えた。地方政府債務のうち、56%が銀行からの借り入れだ。地方政府は融資平台を通じて調達した資金をインフラ建設に投じている。
銀行にとってみれば、インフラ投資は高収益の見込める運用先だ。政府による預金金利の上限規制が残り、預金が思うように集まらない中、規制の抜け穴のようになっている銀行間市場が資金調達の重要な場となった。
銀行同士で短期の資金を融通し合い、信用を膨らませるマネーゲーム。その波は庶民も巻き込む。四川省の個人事業主は最近、500万元を理財商品に投じた。投資先は重慶市のマンション開発。年利は24%だという。「リスクはあるが、中国では不動産以外の資産運用商品がない」と話す。
だぶついたお金を短期で集め、長期の不動産開発に回す。期末が近づくと、銀行は我先に市場で資金調達に走る背景だ。今回は、当局が不動産市場の引き締めに動くとの見方が広がり、銀行が一斉に手元資金を手厚くしようと動いたことも事態の悪化に拍車をかけた。
13年の大みそか。人民銀は四半期に1度の金融政策委員会の結果を公表した。流動性や融資の伸びについて「適度」で「合理的」な範囲とすると強調。新年に当たり、過度なマネーの伸びを抑える姿勢をにじませた
だが規制の抜け穴となっている市場の管理を強化するだけでは、問題は解決できない。規制そのものが経済や市場をゆがめているからだ。規制をなくし、抜け穴の存在意義をなくすことが本道だ。改革が遅れれば、人民銀が「銭荒」に振り回されるクリスマスイブはまたやってくるだろう。
(北京=大越匡洋)
http://www.nikkei.com/markets/kaigai/emerging.aspx?g=DGXNASGM1002O_10012014000000
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