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武士道とウルトラマン 日本の国防文化構築の手法
中国メディアが見る日本
2014年01月08日10:53
日本は第二次世界大戦の敗戦後に軍隊を再び持たず、構築された小さな自衛隊は志願制を採用した。よって高い素養の自衛官を採用したければ、国防文化の鼓動パワーに頼る必要がある。平和憲法の下、したためられる軍事宣伝は厳格な制限を受けるが、日本の自衛隊は限られた宣伝空間を極限まで発揮、特色のある国防教育の道を歩んでいる。中国青年報が伝えた。
■国防教育には子どもの関心が必要
日本の防衛白書には多様な用途がある。国際社会に向けてのみならず、防衛政策を司る外交的解釈、さらに納税者への説明、国会と国民に向けた自衛隊の当該年度の貢献と実績の総括報告があり、翌年度予算の獲得を目指す。さらに青少年に対し国防教育を行い、これにより志願宣伝をしている。
侮ってはならない。防衛白書は580ページ以上、A5サイズのオールカラーだ。3分の1は周辺脅威について記され、3分の1は国防政策と未来の発展の解説、3分の1は自衛隊による国内外での貢献を紹介している。さらに首相と防衛大臣の訓辞のほか、各階級自衛官の平和維持、災害救助、訓練の心得も収められており、ことさらリアルで、また人情味も豊かだ。
趣味性は防衛白書のひとつの重要な特徴である。防衛白書には3種類あり、日本語版、英語版、そしてまんが版がある。まんが版は自衛隊のウェブサイトに掲載され、コミックを用いて、白書を解説している。まんがでは大きな眼差しの女の子と垢抜けた男の子が問答を展開する。一問一答のなかに政策上の説教はなく、防衛専門家を真剣に推敲させるような外交的言葉もなく、フレッシュな感覚だ。筆者の考えでは、子どもだけでなく、成人でさえ読みたくなり、知らず知らずに国防教育の目的が達せられる。
■武士道精神とウルトラマン文化
日本は天災の多い国で、地震や津波が日常茶飯事だ。日本人は元来、強烈な危機感を抱いている。日本の自衛隊はこの民族的性格を利用し、危機感と伝統的な武士道精神を一体に融け合わせ、東宝、東映など映画会社との協力を通じ、青少年に馴染み深い電子ゲーム、おもちゃ、映画・ドラマを数多く制作した。なかでも比較的影響力のある作品は、海上自衛隊、陸上自衛隊が協力して撮影された大作、「日本沈没」(2006年)「亡国のイージス」(2005年)がある。
「日本沈没」はリアリティとフィクションが交錯、観る人を震撼させる。この作品は実際には、自衛隊が展開する災害救助活動がすべて描かれており、観客に自衛隊の重要性を理解させる。また「亡国のイージス」は日本の先進的な戦闘機とイージス艦が空中、海上で大戦闘を展開、ダイナミックなバトルは、パイロット、海上自衛官募集に格好の商業PRとなった。
しかしながら筆者が最も関心を寄せるのは、著名な特撮作品・ウルトラマンだ。北京のショッピングモールでは、子ども達がウルトラマンの店内に集まる姿をよく見かける。ウルトラマンのおもちゃだけでなく、DVDも買うのである。果ては子ども達の動作が全員、「ウルトラマン化」してしまった。ウルトラマンをまねて取っ組み合いをするからという理由で、子ども達にウルトラマンで遊ばないよう求める幼稚園まであった、ともいわれる。日本人はなぜいつも取っ組み合いをするウルトラマンを発明したのか?彼らは子ども達を、静かに遊ばせるおもちゃを好まなかったのだろうか?筆者は不思議でならない。
東京到着後、不意に筆者は航空自衛隊のホームページに、新たに発表された空中戦ゲームのページがあるのを見つけた。日本の自衛隊は元来、国民のなかにミリタリーマニアを養成し、青少年の英雄主義と愛国精神を刺激するため、流行文化を存分に活用し、ストーリーを書き下ろしている。彼らは円谷英二が1966年に生み出した特撮キャラクター・ウルトラマンを航空自衛官に改め、自衛隊ヒーロー「ULTRAMAN」がいかに宇宙の怪獣を負かすのか、という連続テレビドラマを制作した。ULTRAMANと宇宙の怪獣の英知と勇気の備わった戦い、都市を危機から救出する畏れのない精神は、武士の伝統的イメージを表現しており、同時に自衛隊が戦争に巻き込まれることはできなくても、国際平和事業に尽力するという平和憲法の規定に基づきテーマ設定されており、非常にこまやかに気配りされたと感じられる。
実際には、自衛隊がアニメ制作会社と共同制作するキャラクター、ゲーム、映画・テレビ番組はきわめて緻密で、すべてがショッキングでチャレンジ性を有しており、数多くの成人・未成年者を魅了している。日本社会の新世代の若者は皆、ウルトラマンの影響のもと成長しており、ウルトラマン文化の日本社会に対する影響は軽視できない。
■軍事演習を市民専用見学施設で
平和憲法により、日本は学生に軍事訓練を課すことはできないが、自衛隊はその代替案を考えた。これが市民交流センターだ。一般に向け航空自衛隊の一部基地を開放、市民を招いての戦闘機演技の観閲、海上自衛隊は市民の観艦式見学、乗船しての海上生活体験、陸上自衛隊は軍事演習の際に市民専用見学施設を設けている。
陸上、海上、航空自衛隊にはそれぞれ市民交流センターがある。筆者は先月、朝霞駐屯地近くの陸上自衛隊市民交流センターを見学した。3階建て1棟で、3階は陸上自衛隊の過去のPKO展示、2階は軍事講座で、有料の時もあるが、無料の時もある。1階ホールと外面の芝生には現役の主要装備が陳列され、自走砲、戦車、無限軌道式装甲車、武装ヘリ、無人機などがある。
多くの主力武器にはすべて、「○○株式会社製造」と記されており、日本の武器装備における国産化水準を示している。「このAH-64アパッチに似た武装ヘリは中国製ですか?」と試しに尋ねたところ、近くの人が重々しく「米国製だ」と応じた。「これからは日本設計で、中国製も試してみては?」と筆者は応えた。
興味をひいたのは、陸上自衛隊交流センター1階にアトラクションコーナーがあったことだ。20平方メートルにも満たない3Dシアターで、座席には振動装置が装着してあった。3D専用眼鏡をかけ、「陸上自衛隊員の成長過程」を観ると、座席は実弾訓練の射撃音に即して振動と揺れを発生、観衆は迫力の臨場感を体感できる。最新のアトラクション技術を活用し制作された国防宣伝映画にも、フレッシュな工夫が凝らされていた。
■大砲と楽隊が奏でる自衛隊コンサート
陸上自衛隊市民交流センターでは、広告欄にあった大砲と楽隊が合奏するコンサートポスターが筆者の注意をひいた。この種のコンサートは発案されてすでに長年で、多くのミリタリーマニア、音楽愛好家を集めている。
自衛隊は誕生以来、機構の簡素化を実行しており、スポーツ、娯楽的な編成はない。しかし軍楽はフェンシングのサーブルと同じく手放すことができず、各旅団以上の部隊は音楽隊(すなわち軍楽隊)を、軍事的伝統を留め続ける役割としている。音楽隊の任務は第一に、自衛隊官兵の娯楽生活を豊かにし、第二に手中の陣太鼓、軍用ラッパを用いることで、国防宣伝の重責を担っている。よって音楽隊には数多くの公益的公演任務があり、テーマは主に軍楽で、なおかつ武装力を構成する一部としての楽隊に、アルバイト出演は許されない。
爽やかで広大な野戦訓練場内にためしに座ってみたくなった。高鳴るラッパが砲火の中で震え、榴弾が撃ち出された際の火薬の臭いが空気中を漂う。戦場に連れてこられたような一種の感覚ではないだろうか?近くでは大砲交響曲を鑑賞するお年寄りと子どもがいる。軍人の使命感があなたの胸中に響くのではないだろうか?
日本メディアの報道によると、「自衛隊音楽まつり」が11月に東京武道館で開催され、観衆は4万5千人に上った。昨年6月以降、各自衛隊の見学活動へ参加を希望したのは18万人、自衛隊各地の史料館、展示館、博物館は市民にむけ無償開放している。
このほか、彼らはさらに国防学術研究を大学キャンパスで行い、高水準のミリタリーマニアを養成している。日本政府が8年前、成人1500人以上を対象に行ったアンケート調査によると、自衛隊に対する印象が「良い」は1991年の67.5%から、84.9%に上昇した。あるレベルで言えば、日本の国防教育は少なからぬ成果を収め、彼らが緻密に作り上げてきた国防文化とは切っても切り離せない。(編集HT)
「人民網日本語版」2014年1月8日
http://j.people.com.cn/94473/8506575.html
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