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市場熱狂の3中全会、「李克強外し」に不安[日経新聞]
左派主導「ポチョムキン経済」か
2013/11/18 16:08
【NQN香港=長尾久嗣】一転してもろ手を挙げて歓迎している風情だ。中国共産党の「3中全会」は前週末の15日夜、会議の詳細を「決定」として発表。閉幕時の12日に発表された「コミュニケ」は具体案を素通りして市場を失望させたが、「決定」の内容は多岐に及び、きょうの中国関連株が大幅上昇する原動力となった。ただ、市場の熱狂の傍らで、今後の火種となりそうな大きな問題が顕在化する気配もうかがえる。
きょうの中国・上海株は大幅続伸。上海総合指数の前引けは前週末比1.29%上昇した。「コミュニケ」発表後には1.91%下げたが、改革期待が急速に高まった「決定」発表直前の15日は1.69%上昇しており、2営業日の上げ幅は4%に迫る。市場の高評価は海外投資家が主体の香港ハンセンH株でより鮮明で、15日の2.99%高に続いてきょうも前引けは4.29%上昇。後場は5%超上昇し、これまでのボックス圏を一気に上放れした。
市場では今後の改革で恩恵を受けそうな銘柄探しが活発だ。「一人っ子政策」緩和方針を受け、香港市場では粉ミルクの雅士利国際HDが一時11%上昇。農民の財産権拡大を手掛かりに、上海市場では国有農業企業の甘粛亜盛実業といった農業関連銘柄を物色する動きも目立つ。金利自由化などで競争激化が予想される国有の大手商業銀行は総じて小幅高だが、市場では中国株が「長期的な上昇トレンド入りする転換点となる可能性がある」(藍沢証券投資リサーチセンターの柳林氏)との声が聞かれた。
もっとも、視線を少しずらすと権力闘争の深い闇がいやが応でも目に入ってくる。
強力な共産党ウオッチャーをそろえた香港メディアが「決定」発表後に相次いで書き立てたのは、3中全会における李克強首相の存在感の軽さだ。これまでの「習―李体制」が「習体制」に変化したとの見立ては多い。
新設が決まった改革実行の監督組織トップには習氏自らが就くという。経済面を中心に改革はこれまで国務院(政府)の仕事とみなされ「そのトップである李首相が大きな存在感を保持していた」が「今回、影響力は明らかに弱まった」(三菱東京UFJ銀行・香港の楊志氏)。18日付香港英字紙「サウスチャイナ・モーニングポスト」は「改革案の起草チームを率いたのは党政治局の劉雲山・張高麗両常務委員で、李首相は関与すらしていない」と報じている。中国国有メディアは「李克強外し」疑惑を否定する思惑か、李氏の多忙ぶりを論じているが、香港メディアは「大胆な改革を断行した元首相の朱鎔基氏は中国人民銀行(中央銀行)総裁も兼務していた」と切って捨てた。
同じく新設が決まった「国家安全委員会」の軸は国内治安対策との見方が多く、設立後は規律部門を担当してきた王岐山常務委員の影響力が軍や警察機構などにも及ぶようになるとの見方がある。16日付香港華字紙「蘋果日報」はそうした新しい権力構造を「習―王体制」と呼んだ。いずれにせよ、習氏が実質的な権力をほぼ完全に掌握したとの見方は通底する。その際に「左派への傾斜が目立つ習氏が市場原理の役割を強化する改革を実行できるのか」(三菱東京の楊氏)との疑念は尽きない。
総花的な改革案には「内容がぶつかるものも散見される」(バンクオブアメリカ・メリルリンチの陸挺氏)という。確かに民間企業の役割拡大をうたう一方で「国有企業が経済の柱」というのだから、船頭がどこを目指しているのかよくわからない。目玉のひとつとなった一人っ子政策の緩和についても、「決定」発表後に北京からは「大きな政策変更ではない」などと市場の期待値を下げる政府高官の弁明報道が伝わっている。
帝政ロシア時代、エカテリーナ2世のクリミア行幸時に方々に広がる荒れ地を隠すため、責任者のグレゴリー・ポチョムキンは美しいニセモノの村を大急ぎで建設したとされる。いわば「見せかけだけ」の村だ。18日付ウォール・ストリート・ジャーナル(アジア版)社説はおもに人権問題の観点から中国の改革の歩みを論じ「国際基準に近づいていくふりをしながら、実際には人権侵害を放置するポチョムキン司法制度を確立した」と指弾した。左派が主導する経済改革が「ポチョムキン市場経済」にならないという保証はどこにもない。
http://www.nikkei.com/markets/features/26.aspx?g=DGXNASFL180QO_18112013000000
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