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中国・習主席、頼みは旧友
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/665.html
投稿者 あっしら 日時 2013 年 11 月 05 日 16:49:17: Mo7ApAlflbQ6s
 


[地球回覧]中国・習主席、頼みは旧友
試される反腐敗・経済改革

 中国共産党員8千万人を束ね、国民13億人のトップに立つ習近平(60)。党総書記、国家主席の習を補佐する人材登用ではさぞかし優れた仕組みがあると思いがちだが、実は「幼なじみ」の抜てきが目立つ。党高級幹部の子弟、太子党ならではの「お友達」も多い。習が重要課題に掲げる反腐敗の取り組み、経済改革とも、鍵を握るのは気心が知れた40年来の古き友だ。
□   □
 「習の周りのキーマンは10代、20代の頃の知り合いばかり」。政界事情に通じる中国人研究者は首をかしげる。まず経済ブレーンの劉鶴(61)。経済・財政の最高決定機関、党財経指導小組の弁公室主任を務める。経済政策のスピーチライターで、中央委員会第3回全体会議(3中全会)声明の草稿づくりも担当する。

 2人をつなぐのは軍や党幹部の子弟が多い北京の名門「101中学」。10代の友だ。後に劉は最強とされる第38軍に身を置き、習も中央軍事委員会で働いた。
 「トップの経済ブレーンは軍人」。北京の中南海では劉の異色の経歴が噂になった。経済政策の主管は首相の李克強だが、習も政権運営を左右する経済政策のグリップを握りたい。使える駒が信頼する幼なじみの軍人だった。

 7人の最高指導部で習に最も近いのは王岐山(65)だという。昨年、経済通の王は畑違いの中央規律検査委員会書記に就いた。反腐敗で絶大な権限を持つポストだ。前指導部が決めたとはいえ、習の強い意向が働いた。背景には「決して自分を裏切らない」との読みがあった。

 45年近く前の文化大革命時の秘話がある。失脚中の元副首相、習仲勲への批判は15歳だった息子の習近平に及んだ。難を避けるため習は都市の知識青年を農村に送る「上山下郷」(下放)に加わる。貧しい黄土高原の洞窟式住居で厳しい生活が始まったが、数カ月で北京に逃げ帰った。
 多感な10代の少年が訪ねたのが隣村に下放中の王岐山。年長で知識も豊富な彼の傍らには太子党のガールフレンドもいた。後の政治局常務委員、姚依林の娘だ。当時、彼らの世話をした農民、徐俊富(64)は王を覚えている。「読書好きでリーダー格の彼は真ん中の洞窟に住んでたよ」
 王は習少年とオンドル上で一晩、語り合い、数少ない布団で休んだ。王は後にそのガールフレンドと結婚。習と同じ太子党の人脈に加わった。

 政権運営の実務を仕切る党中央弁公庁主任の栗戦書(63)との付き合いも古い。日本で言えば官房長官役だ。20代で河北省正定県に赴いた習は隣県トップの彼を慕った。習は昨年の党大会で栗を一気に政治局委員に引き上げた。
□   □
 習がトップ候補と認識されたのは6年前にすぎない。デビューが遅く人材登用のすべに欠ける。身内に頼る理由だ。中国では生死を懸けた権力闘争の歴史を持つ共産党ならではの事情が加わる。いつ寝首をかかれるか心配なのだ。

 習指導部への大衆の支持の源は反腐敗の姿勢にある。話題の石油閥の利権への調査では親玉、周永康の取り調べに踏み込むのではないか、との期待が高まった。ただ、政治局常務委員経験者への汚職調査は例がない。「習、王とも太子党。利権の核心には踏み込めない」。2世らのこんな予想通りに終われば、習の求心力は一気に低下する。
 経済を中心に改革の方向を固める3中全会は9日から4日間。反腐敗の徹底は経済改革の前提でもあり、王の胆力、経済ブレーンの劉の構想力が試される。それは習自身の1年間の通信簿の評価にも直結する。

=敬称略

(中国総局長 中沢克二)

[日経新聞11月3日朝刊P.12]


 

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コメント
 
01. 2013年11月06日 10:17:43 : e9xeV93vFQ

JBpress>海外>Financial Times [Financial Times]

懐疑論者の鼻を明かそうとする中国

2013年11月06日(Wed) Financial Times
(2013年11月5日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

中国・習主席がタクシー乗車の誤報、即日撤回
習近平国家主席は中国の高度成長が続くことに自信を示している〔AFPBB News〕

 外国の評論家や中国国内のブロガーからは、中国は経済・政治危機に向かっているとの予言が何度も聞かれる。しかし、この国の指導者層はまさに自信満々で、年率7%超の経済成長を少なくともあと10年続けられると信じている。

 もしその通りになれば、既に世界で2番目に大きい中国経済の規模は今後10年間で2倍に膨らむことになる。そして、米国の経済成長と為替レートの想定次第ではあるが、中国は恐らく、2020年までに世界最大の経済大国になる。

 この指導者層の自信を最も見事に体現しているのが、あの堂々とした体格の習近平国家主席である。筆者は先週、シンクタンクの21世紀理事会の計らいで北京に集まった外国人の1人として、この中国の指導者との会見に参加した。習氏の話しぶりは、少しロボットのような雰囲気があった前任の胡錦濤氏のそれに比べれば温かく、あまり格式張らないものだ。

中国皇帝との謁見を思わせる会合で習主席が語ったこと

 だが、この会見の演出は、かつて夷狄(いてき)と呼ばれた外国人が中国の皇帝に謁見して貢ぎ物を納めた古い歴史をかすかに感じさせるものだった。

 会見は人民大会堂の大きな会議室で行われた。習主席は、万里の長城の大きな壁画を背にしてひじ掛けいすに座っている。主席の前には複数のいすが半円状に並べられ、そこには英国のゴードン・ブラウン氏やイタリアのマリオ・モンティ氏などほかの国々の首相・大統領経験者が座っている。

 その外側にもいすが半円状に並べられ、そこには西側諸国の企業経営者や少数の「思想家」が座っていた。習主席は「皆さんが示された誠実さにはとても心を打たれた」という言葉で話を始めた。そして「中華民族の偉大な復興」に向けた自らのビジョンを自信たっぷりに披露した。

 中国のメディアで広く取り上げられた発言の中で、習氏は、発展にブレーキをかける「中所得国の罠」に中国が陥る恐れがあるとの見方を一蹴した。そして、追加的な景気刺激策を講じなくとも急速な成長が続くと確信していると述べた。

 しかし、筆者を含む訪問者たちのためにセットされた軍事、外交および経済分野のトップクラスの政策立案者との一連の会合で明らかになったように、中国の指導者たちの間では、この経済成長の維持と世界における地位の強化を今後どのように行うのかが激しく議論されている。

 中国の当局者が今でもスローガンをかなり好んでいることを考えると、こうした議論の解読が常に容易に行えるとは限らない。

 もし21世紀理事会のメンバーが「中国の夢」「平和的発展」「調和世界」といったフレーズを耳にするたびに酒を1杯飲み干さなければならないというルールがあったら、ほとんどの人が早々に酔いつぶれてしまっていただろう。

今週の共産党中央委員会全体会議の注目点

 とはいえ、明らかになっているテーマもいくつかある。北京で今週開催される共産党の中央委員会全体会議は、経済改革の1つの転換点になると持ち上げられている。当局者の中には、中国を大きく変えることになった「改革開放」路線をケ小平が打ち出した1978年の歴史的な全体会議に匹敵すると語る向きさえあるほどだ。

 経済の自由化を支持する一派は自信を深めている。首相の李克強氏は「財政、金融、物価、企業の分野」での変革促進による「改革の包括的な深化」を約束している。

 これらの変革の詳細は、全体会議が終わってから数カ月経たなければ明らかにならないかもしれない。しかし、自由化支持者が視野に入れている最大の標的は、この10年間でその役割を本当に拡大させた、巨大国有企業のネットワークだ。

 これについては、習・李体制は国家電網など一部の巨大国有企業の民営化にさえ着手するかもしれないと考える本当に楽観的な人々もいれば、国有企業の力が抑制されて民間企業の活動の余地が広がることを望んでいるだけの人々もいる。

 しかし、国有企業は政府にとても強い圧力をかけることができること、そしてこれをコントロールするのは非常に難しいだろうということは、ほとんどの人が認めている。

 変革は中央政府と地方政府との関係についても約束されている。ただ、その内容は矛盾しているように感じられる。地方政府によるむちゃくちゃな借り入れを抑制することがうたわれる一方で、地方政府が実験的な政策を進められる余地を拡大することも唱えられているからだ。

 政治改革も時折話題に上るが、このフレーズは汚職の撲滅や政府の説明責任向上の約束を意味しているようだ。西洋式の民主主義に移行する兆しはみじんも感じられない。それどころか、習氏は明らかに、中国という国家の運営における共産党の中心的な役割を維持する決意でいる。

 筆者は習氏のプログラムにいくつか疑問を感じながら北京を後にした。まず、政府の規制を受けない報道機関やライバル政党、真に独立した機関などが共産党幹部の行動を抑止する仕組みがない状態で腐敗を一掃することなど本当にできるのかがよく分からない。

 また、中国の指導者層は世界平和への取り組みをことあるごとに強調するが、日本との緊張は危険なほど高まっているのが実情だ。もし衝突が起これば、中国が依存している安定した通商システムには破滅的な影響が及ぶことになるだろう。

 また、環境問題への懸念も強まっている。しかし、経済成長の実現に秀でたシステムがきれいな大気や水も供給できるかどうかは不透明だ。

懐疑論は多いが、過去の実績からは中国指導部に分

 とはいえ、過去30年間の実績の前では、筆者のような懐疑的な外国人もそれなりの謙虚さを抱くはずだ。中国経済は急降下しようとしているとか、中国の政治システムは近々崩壊するといった予言は、中国の外からの分析では20年以上前から何度も行われてきた。そしてこれまでのところ、この国の指導者層はそうした懐疑論者が誤りであることを何度も示してきているのだ。

 この実績を考えれば、習氏の改革プログラムが失敗する方に賭けるのは勇気の要ることだと言えるだろう。

[12削除理由]:無関係な長文多数

02. 2013年11月07日 01:35:36 : e9xeV93vFQ
 
DOL特別レポート
【第383回】 2013年11月7日 中島 恵[ジャーナリスト]
「反日デモや抗日ドラマ? あんなの茶番よ」
日本人が中国人を誤解し恐れる“不幸の構造”の正体
――ジャーナリスト・中島 恵
中国での大規模な反日デモから、1年以上が経つ。その間領海を巡る諍いは絶えず、日中両国の冷え込みは過去最悪と言われている。関係改善の動きは見られるものの、政府関係者の往来は減り、ビジネスや文化交流にも影響が広がっている。尖閣諸島などをめぐり、中国が日本に対して度重なる挑発行為を行った結果、「中国人はみんな反日だ」というイメージを日本人に植え付けてしまったかもしれないことは、自業自得と言わざるを得ない。

だが、挑発行為の仕掛け人は中国政府かごく一部の人たちに限られているはずだ。この1年、筆者は中国各地に取材に出かけ、現地で数多くの中国人にインタビューをしたが、店の従業員から嫌味を言われたり、町中で罵声を浴びせられたりしたことは一度もなかった。日本人の間では、もしかしたら実像とかけ離れた「中国人観」が一人歩きしているのではないか。そして、逆もまた然りではないか。「日中の誤解」をテーマに取材を重ねていくと、「お互いにそんなことを誤解していたのか」と驚くような“生の声”が次々と耳に飛び込んできた。日本人と中国人の間に横たわる「不幸の構造」の正体を解き明かす。(取材・文/ジャーナリスト 中島 恵)

「また日本軍が攻めて来る!」
反日デモで聞いた耳を疑う本音


昨年、中国で続発した「反日デモ」の様子。全ての中国人が本当に「反日」なのか  Photo:AFLO
 2012年9月18日前後。中国全土の約100都市で反日デモが燃え盛っていたころ。暴徒化した一部の民衆が日系スーパーや日本車を焼き討ちしたことは、私たちに強烈なショックを与えた。

 彼らの多くは日常生活に不満を持ち、逆転できない社会構造の中で「負け組」と言われた人々だった。日本人との接点が全くない一般中国人である彼らの中には、真顔で「日中開戦」を心配する人が少なくなかった。

「もしかしたら、また(昔の日中戦争のときみたいに)日本軍が私たちを攻めてくるのではないだろうか……」

 日本人からしてみれば耳を疑うような話だが、これが生身の日本人と出会ったことのない中国人の率直な感覚だった。

 私はここ数年、「80后」(1980年代生まれ)と言われる20〜30代の若手エリート層を取材することが多く、その内容は昨年、前著『中国人エリートは日本人をこう見る』にまとめた。もちろん、私が取材したエリート層の中に、前述のように「日本軍が中国を攻めてくる」などと本気で思っているような人は、1人もいない。彼らは日本の事情も、客観的に知る立場にあるからだ。

 私はこの話を東京に留学中の中国人大学院生から聞いた。だが、少なからず一般中国人の一部は、前述の発言のように感じていたらしい。これこそ、「大いなる誤解」ではないかと思った。

 冒頭の話を聞いてから、私は実は多くの中国人は、日本や日本人について、もしかしたら「この他にもとんでもない誤解をしているのではないか?」という疑問を持つようになった。そして私たち日本人が中国や中国人に対して持っているイメージも、実際とはかけ離れている部分があるのではないか。

 もちろん、尖閣問題や領海侵犯問題をはじめ、中国が国際的なモラルを無視していると思われても仕方のない「挑発行為」を日本に対して度々行い、それがもとで「中国人は嫌日だ」「中国人は怖い人たちだ」というイメージが日本人の間に広がってしまったかもしれない側面はあるだろう。彼らには彼らの言い分もあるのだろうが、これについては「自業自得」と言わざるを得ない。

 しかし、そうした挑発行為の仕掛け人たちは、中国政府かごく一部の人たちに限られているはずだ。多くの日本人が全ての中国人を「悪者」と捉えているかのような風潮は、やや短絡的で客観性を欠いているようにも思う。

 そうした誤解が解けないために、お互いに「きっと相手はこう思っているのでは?」「あの国の人たちが考えることと言えば……」などと推測し、直接対話することなしに“小さな不幸”があちこちで発生し、両国民の悪感情を増幅させているのではないか、と思うようになった。これこそ、日中を取り巻く「不幸の構造」だ。

深刻な相互不理解が横たわる
日中を取り巻く「不幸の構造」

 もちろん、両国間には複雑な歴史認識問題や領土問題が存在することは確かだ。だが、筆者はこの「不幸の構造」を解明しなければ、もし仮に両国政府が何らかの形で「手打ち」をしたとしても、根本的に両国民が理解し合うことは難しく、今後もことあるごとに軋轢が生じる危険性があると思った。

「自分の国の常識」に立って相手を見ているだけでは、誤解は広がるばかりだ。私たちは顔や容姿は似通っているが、国家体制や国情、社会制度が大きく異なる国に生きているのだ、ということを再認識する必要がある。

 ある中国人留学生は、反日デモの際、中国に住む両親から「『日本にいては暴徒などに遭って危険だ。早く中国に帰ってこい』と言われてびっくりした」と話していた。留学生が両親に「日本ではそんなことは起きないよ」と言っても、信じてもらえなかったという。

 この話を聞くと、読者は「まったく中国人は日本がどんな国なのか全然わかっていない。中国とは違うのに、これだから困るんだ」と思うかもしれないが、日本人とてそれほど中国を多角的に理解しているわけではない。日本人も中国人も、普通の人はたいてい、物事を自分の視点からしか受け止められないものだ。そして、片方だけでなく、相互不理解の状況にあるのが、今の両国を取り巻く現状だと思う。

 距離的にも文化的にも近い日中双方だが、よく考えてみれば、私たちは政治経済のニュースは耳にすることはあっても、実際にそこで暮らす「1人の中国人」が何を考え、日々をどう生き、何に感動し、何を悲しん生きているのかについては、これまでほとんど関心がなかった。それは中国人にとっても同様で、彼らは政府のプロパガンダ(政治宣伝)による偏った日本報道は大量に目にしているのに、「1人の日本人」の生活や考え方については、知りたくても知る術がない。

 日中関係が比較的良好だった数年前までは、中国でも日本を描いた良質なドキュメンタリーが放送され、報道番組だけでは理解できない「日本」の側面の情報を得られたと聞くが、関係悪化とともにそうしたテレビ番組は徐々に減ってしまったという。

 日本でも、国際報道の中で中国報道が占める割合は大きいが、等身大の中国人について客観的に知ることができるテレビ番組やバランスの取れた書物は、残念ながら非常に少ない。そう感じるのは私だけではないと思う。

スターバックスに行ったら
店員が「怒り顔」のマークを

 私は中国人の生の声をもっと聞き出すことによって、少しでも手垢のついた「中国情報」の間違いをリセットし、ボタンのかけ違いを正していきたいと思った。その内容は新刊『中国人の誤解 日本人の誤解』の中に詳しく記したが、ここでもいくつか具体的なエピソードを紹介したい。

 今春、反日デモからちょうど半年が過ぎたある日、私は上海で、反日デモ当時の現地の様子や、「日中の誤解」について取材をしていた。ある中国人は、日本人の友人からこんな話を聞いた。

 その友人がスターバックスに行ったとき、店員がカップの裏にマジックで怒った顔のマークを描いて渡してきたのだという。「おそらく、客が日本人だとわかって、私たち中国人は日本人に対して怒っているんだよ、という無言の意思表示だったと思います」とその中国人はいう。

「今日、変なこと起こらないよね……」
女性が中国人の結婚式で思い知った杞憂

 しかし、こんなこともあった。外資系企業に勤める中国人OLの女性(28歳)は、大規模な反日デモが行われていたまさにその日、日本人男性と自分の同級生の女性の結婚式に出席した。女性はその日の様子を教えてくれた。

「友だちは日本留学中に彼と知り合ったんです。上海で結婚式をすることになったので、日本から出席したのはご主人のご両親と親友が2、3人だけ。あとは全員中国側の招待客でした。私は友だちと会場に向かう途中、『今日、変なこと起こらないよね。大丈夫かな?』と心配していたのですが、始まってみれば終始和やかな雰囲気で、全然問題ありませんでした。中国人だって、心ある人は日中の問題に少なからず心を痛めているんです。でも今日、この場に居合わせた私たちは、新郎新婦にあやかって仲よくしたいよね。心底そう思った。そんな温かいものが伝わる、素晴らしい披露宴でした」(女性)

 前述のスタバの店員が無言で日本人に敵意を表したことも、日中カップルの結婚式が和やかに行われたことも、中国でほぼ同時期に発生した出来事だ。外資系企業に勤務する私の友人夫婦は、毎日深夜まで働いており、上海市内で反日デモが行われたことを全く知らなかった。

 中国メディアでは、反日デモの報道はしていない。微博(中国版ツイッター)などでは情報が飛び交っていたが、デモから1本隔てた道路に面したオフィスは日常と何ら変わりなく、平穏そのものだった。

 むろん、デモを知らない人がいたからといって、「あれは重大な問題ではなかった」などというつもりはないが、日本に住む日本人が過剰に反応し、「中国中で暴動が起きていて、もはや手がつけられない状態」だと思ってしまうことも「何か違う」と思う。現地に住む日本人も違和感を覚えるという。

 どんな事象についても言えることだが、「中国人は反日か、あるいは違うのか」といった単純な二元論によるレッテル貼りが、最も危険だ。どんな国にもいい人もいれば、悪い人もいるはずだが、安易にレッテルを貼ると、悪いところばかりが目につく(悪いニュースだけが印象に残り、いいニュースがかき消されてしまう)ということがあるだろう。

中国人大学生が覚えた強い違和感
「日本人のほうが反日教育に敏感」

 反日といえば、「中国ではさかんに反日教育が行われている」というのも日本ではよく知られている話だ。そこで、上海の復旦大学で学ぶ男子大学生に「よくいわれる反日教育ってどんなことをしているの?」と聞いてみた。彼の答えは意外なものだった。

「そういうもの、存在しないですよ。愛国主義教育は確かにありますが、反日教育とイコールではありません。日本人の誤解です」

 日本では「反日=愛国」という受け止め方が一般的となっており、「中国では愛国主義教育が徹底されているから、中国人は日本人が嫌いなんだ」と考える人がいる。だが彼は、「それは間違った認識だ」と反論する。彼は以前1年間、京都の大学に交換留学していたことがあるが、そこで出会った日本人から「反日教育」についてさかんに質問され、強い違和感を覚えたという。

「なぜだか、日本人は『反日教育』という言葉が大好きらしくて、この話題になると敏感に反応し、盛り上がるようですね。日本でそういうことを書いた本がたくさん発売されているのを知って、自分はすごくびっくりしました。確かに愛国主義教育では、現在の中国を建国していく過程を教えますから、抗日戦争の話も必ず出てきます。でも、『日本を憎め』ということだけが強調されているわけではありません」(男子大学生)

 このような意見がある一方で、愛国主義教育を受けて日本への反感を募らせている人も確かに存在する。それもまた事実だ。

 上海のある大学教授によると、地方出身で、純粋培養で育ち、都会の大学にやってきた優秀な大学生に、比較的その傾向が強いという。北京や上海などの大都会と違い、日本人を見たこともなく、基本的に入手できる情報量が少ないという原因もあるかもしれない。

 こうした人々こそ、日本人が思い描く「日本に反感を持つ中国人像」に近い。だが、同じ中国でも、地域や年代、学校によって大きな違いがあるので、一概にそうした教育が「あった」とか「なかった」と断言することはできない。

 日本でも、学生時代に同じクラスで同じ授業を受けたからといって、全員が同じものの考え方をすることはあり得ない。そう説明すれば、日本人にとってもわかりやすいだろうか。「1000人いれば1000通りの考え方があるはずなのに、『中国人=反日』と日本では『ひとくくり』に認識されているのではないか」と男子大学生が憤りを感じていたことが印象的だった。

残虐な日本人を描く「抗日ドラマ」は
みんな暇つぶしで観ているだけ

 抗日ドラマに関しても同様だ。中国ではホームドラマや恋愛ドラマと同じように、毎日のように抗日ドラマが放送されており、ドラマの中では残虐な日本人が中国人を殺す場面がある。日本人としては、思わず目を背けたくなることも多いという。そのため、「中国人は抗日ドラマの影響を強く受け、洗脳されている」と感じている日本人も多い。しかしある女子大学生は、「そんなことあるわけがないでしょ」と笑い飛ばし、自分の母親の話をしてくれた。

「うちのお母さん、家でよく抗日ドラマを見ていますよ。でも、誤解しないでくださいね。別に日本のこと、嫌いなわけじゃないですから(笑)」

 専業主婦をしている彼女の母親は、暇にまかせてよくテレビを見ているが、抗日ドラマは放送時間が長いので、母親が毎日視聴する番組の1つに自然に組み込まれてしまっている。制作者側の意図はともかくとして、母親にとって抗日ドラマはあくまでも娯楽であり、暇つぶしの1つでしかない。日本同様、中国でもテレビの視聴者は中高年が多く、若者は年々テレビを見なくなっている。

 昨年、教師を定年退職した別の中年女性も、「よく放送しているのでたまに見る」そうだが、彼女も別に日本が嫌いで憎しみの気持ちを持って熱心に視聴しているわけではない。

「だって、若い人が見る番組にはついていけないんですもの。それに、中国では時代劇といえば、清朝の宮廷ドラマか抗日ドラマの2種類しかないんですから、仕方なく見ているんです」

 日本人にとっては不愉快そのものの抗日ドラマだが、実は中国人だってドラマの内容を真に受けたりはしていないのだ。事実、昨今の抗日ドラマはあまりにも荒唐無稽で、過激なアクションシーンが多すぎると視聴者から批判され、政府が規制に乗り出している。

抗日ドラマは政府のプロパガンダ
中国人だってさすがにわかっている

 この女子大生は次のように語る。

「幼い頃に見てショックを受け、『日本人ってあんなに残虐なんだ』と思ったことはあった」と打ち明ける。だが、「大人になるにつれ、あれは政府のプロパガンダだとはっきりわかったのです。日本の夢のあるアニメを見て育ってきた私たちは、あんなの全部嘘っぱちだってみんな知っていますよ」

 私はこれらの話を取材するにつけ、マスメディアの画一的な情報に踊らされず、実際に彼らの生の声に真摯に耳を傾けてみない限り、「中国人の本音」はわからないものだと痛感した。むろん、私自身もまだわかっていないことは山ほどあるし、私が聞いたことはごく一部の中国人の話でしかない。だが、少なくとも、大小様々な誤解が私たちの間に数多く存在しているのだ、ということは確かだ。

 日中間で現在起きている諸問題の原因の多くは、国家レベルでは様々な政治的思惑や利害関係が強く影響している。だが、国民レベルでの行き違いや誤解については、シンプルに突き詰めていけば、「相手が何を考えているのか理解できない」「本心がさっぱりわからない」という点に集約できるのではないだろうか。

 多くの中国人に取材していて私が一番驚いたことは、日中戦争に関するお互いの認識の違いや歴史認識に対する温度差だった。冒頭でも紹介したように、中国人にとって戦争は遠い過去のものではない。現実として、第二次世界大戦では日本が敗戦国であるにもかかわらず、中国人も「負けた」と感じていたからだ。

 実際、取材で聞いた多くの中国人の言葉は、「日本にひどい目に遭わされた」であり、「日本に勝った」と思っている人は少なかった。だからこそ、再び日本が攻めてくるのではないかと怯え、もし本当に攻めてくるなら「受けて立とうじゃないか」と奮い立つ人さえいた。

 日中両国で共に「戦争したい」などと思っている人は、主流ではないだろう。それなのに、双方共にそうした過激な意見だけがマスメディアで大きくクローズアップされ、いかにも主流であるかのように誤解されてしまうのは悲しいことだ。

中国人の「戦争に負けた」という劣等感
国は国、個人レベルで誤解を解くべき時期

 ある中国人が語った言葉が、非常に印象に残った。

「いわゆる『(日中戦争の悲惨さを教える)愛国主義教育の逆効果』とでも言ったらよいのか、愛国主義教育を強めると中国人の被害者意識は非常に高まるんですね。中国は戦勝国なのに、『日本にやられた感』でいっぱいなわけです。そして、日本に対する引け目を強く感じるのです」

 戦争で中国人に打撃を与えておきながら、日本は戦後の荒廃からいち早く立ち直り、40年間もGDPで世界第2位の座に君臨した。中国が文化大革命など国内の混乱で低迷していたそのすぐ隣で、日本は燦然と輝き続けた。

 そのことに対して、劣等感を持つ中国人は少なくない。そうした中国人の屈折した気持ちを、私は本書の取材の過程で初めて知り、衝撃を受けた。

 中国は社会主義体制の国家だ。そこに強いアレルギーや固定観念を持つ日本人は多い。事実、国家としては首をかしげるような言動をとることもあるが、だからと言って個人同士が理解し合えないのかといえば、そんなことは全くない。

 中国人も、私たちと同じく血の通った人間だからだ。最近は日本に住む外国人も非常に多くなったが、自分の身近にいる親しい外国人の顔を思い浮かべれば、おわかりいただけると思う。

 お互いに歩み寄り、小さな誤解を解いていけば、理解し合える部分は大きいのではないか。国家間の関係修復には時間がかかるかもしれない。だが、個人と個人が深くつき合っていけば、いつかわだかまりが消え、自然と誤解や偏見が消えていくと信じたい。

 また、そうすることが両国関係にもよい影響を与えてくれるのではないかと私は思っている。


『中国人の誤解 日本人の誤解』  中島 恵著
日本経済新聞出版社 
税抜き850円
著者新刊のお知らせ

 中国人はみな反日感情を抱いている――。尖閣問題などの影響で日中関係が過去にないほど冷え込んでいる現在、多くの日本人がそんな風に思っているのではないか。しかし、それは本当だろうか。長年にわたって中国取材を続けてきた著者は、数多くの中国人の本音を聞き続け、日本人が抱く感覚は必ずしも正しくないと感じている。

 実は反対に、中国人にも日本人を必要以上に恐れている人が多い。また、エリート層の若者の中には日本の文化や風土に好意を抱いている人も少なくない。日本人も中国人も、本来は同じ目線で付き合えるはずなのだ。

 著者が取材で会った中国人には、反日デモや抗日ドラマを、「政府のプロパガンダ」「茶番劇」と冷静に捉えている人もいたという。

 日中は不十分な情報だけで、お互いに誤解し合っていないか。中国人は本音では日本をどう見ているのか。中国現地の多くの人に生の声を聞き、日中関係の「不幸の構造」を解き明かす。 

[12削除理由]:無関係な長文多数

03. 2013年11月07日 01:38:35 : e9xeV93vFQ
NBonline
「ニュースを斬る」
ファミマ、中国の出店2.4倍に

中山社長「眠れる獅子が起きてきた」

2013年11月7日(木)  中川 雅之

 コンビニエンスストア大手のファミリーマートが2014年度、中国本土で約340の新規出店を計画していることが分かった。2013年度の出店数は約140店で、およそ2.4倍に当たる。

 中国事業は苦戦が続き、ファミマは中国での出店数を抑制して体質改善に注力していた。足元の業績が上向いてきていることから、施策に一定の効果が出たと判断。出店ペースを過去最高の水準に引き上げる。

改革に手応え

 現地で店舗運営に当たるチャイナCVSホールディングの魏応行・董事長は、「2013年の業績はV字回復。黒字化は見えている」と話す。重要な経営指標の1つと位置づけている店舗当たりの1日平均販売額(日商)も計画を大きくクリアしているもようで、施策に手応えを感じていると強調する。


インタビューに答えるチャイナCVSホールディングの魏応行・董事長
 業績回復の最大の要因は不採算店の閉鎖だ。全体の1割にも及ぶ約120店を、立地といった面で改善が見込めないなどとして閉鎖。これにより中国の店舗数は一時1000店を割り込んだが、一方で出店の際に目安とする利益水準などはそれまでよりも厳格化した。9月末時点での中国の店舗数は1031で、来年末にはこれが1.3倍程度に拡大する見込みだ。

 新店では原則として、同社で「3代目」と位置づける店舗フォーマットを採用。店内に飲食ができる「イートインコーナー」を12〜16席程度設け、弁当類などをその場でも食べられるように配慮している。中国では日本よりもそうした「ファストフード店」としての役割を求める顧客が多いとして、現地のニーズに合わせた店舗開発を進める。

 

 事業改革のもう1つの大きな柱が、フランチャイズチェーン(FC)比率の引き上げだ。2012年度は約3割にとどまっていたが、直営店からの切り替えを含めて今年は62%まで高めた。今後もFC中心の出店を進め、FC比率を来年には70%、再来年には80%にすることを目指す。

 FCでの出店は、加盟者が持つ土地などの資産を活用して出店することで費用が抑えられる。また、魏董事長は「社員が運営する直営店よりも、自身の生活が懸かるオーナーがボスとして運営する方が士気は高くなる」と指摘。店舗運営に対するモチベーションの面でも効率化が図れるとする。

 日本のコンビニはほとんどがFCで、これが本部の高収益や急速な店舗展開を実現している面がある。だが、チェーンのブランドイメージが日本ほど構築されていない海外では、進出してすぐには加盟者が集まりにくい。

 ファミマは店舗網が1000店に到達し、事業の黒字化が視野に入ってきたことでFCでの本格的な店舗展開に一定のメドがついたと判断。採算をある程度犠牲にしても、自前での店舗網拡大を優先してきたこれまでから戦略を一歩進める。

FC、各国で出店の軸に

 「眠れる獅子がいよいよ起きてきた」

 日本のファミリーマートの中山勇社長は中国事業についてそう表現する。日本国内でも過去最高の年間1500店出店など依然店舗網の拡大を続けているが、人口減の中、「急速な成長はなかなか見込めない」(中山社長)ことは否めない。国自体の成長余地が大きい中国や東南アジアに対する、成長エンジンとしての期待は大きい。


海外事業の拡大に意欲を見せる、日本のファミリーマートの中山勇社長
 FCによる店舗網の拡大を急ぐのは、何も中国だけではない。今年4月に1号店を開いたばかりのフィリピン。現地法人のアンソニー・T・フアン社長は来年予定する80の新店のうち、半数の40店をFCで開きたい考えだ。地域での雇用創出を旗印に掲げ、2014年の前半にもFCでの展開を始めるとする。

 フィリピンの運営会社にはファミマのほか、現地財閥のアラヤグループや小売り大手のルスタングループ、伊藤忠商事などが出資。「現地でなじみのあるビッグネームが参画するプロジェクトとして、消費者に興味と好感を持たれている」(フアン社長)といい、早期のFCプログラムの展開に踏み切る。フィリピンでは2017年度までに300店にまで広げる計画がある。

 店舗数の増加を優先し採算悪化を招いた中国の事例を受け、ファミマの中山社長には「店舗数にこだわりすぎるのは良くない」との反省もある。だが、収益を伴う形での店舗網拡大が引き続き重要であることは間違いがない。単純な売上高の拡大という意味に加えて、国内外で激化するほかのコンビニチェーンとの差別化にも必要だからだ。

PBを各国で生産、相互供給

 ファミマは10月末、台湾で国内外のグループトップが集まる会議を開いた。その中で、PB(プライベートブランド)の「ファミリーマートコレクション」を各国で生産、相互供給する計画を討議。来年春に具体的な実施計画案の策定を始め、2015年にもアジアを横断する新たな商品調達の仕組みを稼働させるとした。

 「顧客目線」での開発を目指すPBは、現地の文化や嗜好を強く反映するケースが多い。特に食品はその傾向が強いが、お土産としても人気が高い日本製の菓子のように、国境を越えて支持されるものもある。

 そうした製品を各国で独自に開発し、同一のブランドで売り出す。描くのは、アジア全体の需要をまとめて材料の調達コストを抑え、ほかのチェーンにない商品力を実現しようという青写真だ。そのためには、各地でまとまった数の店舗を持ち、生産したPBを吐き出す“出口”を作る必要がある。

 今年10月、日本以外の国で初めて自国で生産したPBの販売を始めた台湾。

 同月末に光華店(台北市)を訪れた83歳の女性は、「ファミリーマートコレクション」の菓子類をビニール袋いっぱいに購入した。「買うのは初めてだけど、日本の商品は品質が高いという信頼がある」と話す。手に提げたビニール袋の中には、日本から輸入したPBも、台湾で生産したものも含まれていたが、女性は「同じブランドなら違いは気にならない」という。


台北市内のファミリーマートに並ぶプライベートブランド
 日本の流通業の中でも、海外展開をリードしてきたコンビニ。だがその収益に対する貢献度は現状では決して高くない。店舗数では海外が国内を上回るファミリーマートも、純利益ベースでは2014年2月期見込みで海外が15.5%を占める程度だ。

 1店当たりの1日販売額が50万円を超える日本に対して、海外で最も高い台湾でも17万円、2番目のタイでは15万円程度。今後は店舗網の拡大と並行して、これを上昇させていくことが海外事業の大きな課題となる。

 同様の課題を抱えるのはセブン-イレブンやローソンなど、競合するほかの日系コンビニも同じだ。文化風習、ビジネス環境の前提が異なる海外では、日本で成功したモデルをそのまま輸出してもうまくはいかない。各国の事情に合わせてモデルを進化させたうえで、いかに共通点を見つけてブランド価値やスケールメリットを発揮していくか。製造業に比べて海外展開が遅れていた流通業でも、グローバル視点での経営力が問われている。

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