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【大阪から世界を読む】これが公務員とは… 中国「城管」の凄絶暴力 市民との衝突が頻発
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20131018/frn1310181130000-n1.htm
2013.10.18 夕刊フジ
中国の各都市で露天商の無許可営業や違法駐車などを取り締まる「城管」と呼ばれる治安要員の不正や横暴ぶりに、市民らの怒りが高まっている。ネット上では露天商らに殴る蹴るなどの暴行を加える城管の映像が数多く投稿されているほか、城管に反発する市民らとの衝突も頻発している。大阪でも露店の立ち退きなどをめぐって騒ぎになることはあるが、中国では、国家体制を揺るがす不安材料の一つともいわれている。(木村成宏)
■世界最強ボクサー
中国メディアなどによると、米国の元プロボクサー、マイク・タイソン氏が今年8月、中国のミニブログ「微博」で「中国で最強のボクサーは誰だ?」と質問したところ、「城管」という回答が寄せられた。
「城管とは誰だ?強いのか?聞いたことがないな」
そう戸惑うタイソン氏に対し、こんな回答が寄せられた。
「リングであなたが人をぼこぼこにするのは合法だが、中国では城管が町で市民をぼこぼこにするのも合法」
さらにこうアドバイスを送っている。
「城管と対決したければ、中国の街頭でハンバーガーを売ってみれば」
城管は「城市(都市)管理総合行政執法局職員」の略称で、1997年に北京市で設置され、各都市に広がった。
急速な経済発展に伴い、農村部から大量の労働者が流入した都市部で、露天商の無許可営業や違法駐車、違法建築などの取り締まりにあたっている。警察である公安とは異なり、逮捕権はないが、罰金を科すことができる。
日本でいえば、違法駐車や路上喫煙禁止区域での監視員的な存在だ。
しかし、高齢者や女性も務める日本の監視員に対して、中国の城管は屈強な男性ぞろいだ。多くは給料の安い臨時職員で、急速な都市化で人員不足となっていることから、チンピラまがいの人も雇用するなどしているという。
たとえば、北京市では人口2019万人(2011年)に対して、城管1万3千人が勤務。このうち約6千人が臨時職員で月給は約2千〜3千元(3万2千円〜4万8千円)という。
安い給料に対して、都市管理に関する多くの権限を持っているため不正に走りやすい。“罰金”と称して賄賂などを要求したり、没収した商品を横流ししたりするなどの行為が横行しているという。しかし、城管のなり手が少ないこともあり、当局が黙認するケースも多いとされる。
■スイカ売りの夫妻に襲いかかる集団
現地からの報道によると、今年7月、湖南省●(=林の右におおざと)州市臨武県路上で当局が指定した場所でスイカを売っていった農家の男性に、取り締まりに来た城管が根拠を示さずに罰金100元(約1600円)を要求、スイカ4個を没収した。
同県の中心部の路上で商売をするには、3日から1週間あたり100元のあいさつ料を城管が徴収するのが常態化していた。
だが、男性の妻が「あんたらは匪賊(ひぞく)だ」と抗議すると、複数の城管が夫妻に襲いかかった。この騒ぎのなかで、農家の男性は、スイカの重さをはかる分銅が頭にあたるなどして死亡したという。
これを知った男性の家族や同じ村の住民ら約3千人が現場に駆けつけ、城管の処分を求めて座り込みを行うなどした。当局は200人以上の治安部隊を派遣して制圧、約150人が拘束されたり、負傷したりする事態となった。
■人民解放軍も黙らせる
市民から「泣く子も黙る」と恐れられる城管は、人民解放軍も撃退する。
在米華人向けのテレビ局「新唐人電視台」は今年9月、山東省青島市の人民解放軍の軍区住宅地で、城管と兵士が衝突するネット上の映像を紹介している。
住宅地に設置された警備監視塔が規定より1メートル高いとして取り壊しにやってきた100人以上の城管に対して、解放軍の兵士が抵抗。棒で殴り合ったり、レンガや石を投げ合うなど大混戦となった。しかし、城管は約20人の解放軍兵士を数で圧倒、監視塔をショベルカーで取り壊した。
人民解放軍の兵士も撃退した城管に対して、ネット上では尖閣諸島(沖縄県石垣市)に、派遣を求める意見も出ているほどだ。
■現代の「水滸伝」?
不正と暴行で市民らの軽蔑の対象になっている城管に対して、一部の都市では、大学院修了など高学歴の女性を採用、ローラースケートによるパトロールを実施するなど、イメージアップを図っている。
しかし、ネット上では露店の前で城管に首を踏みつけられた男性や、商品を路上にぶちまけられて涙ぐむ女性。没収された商売道具を返してもらおうと、足にしがみつく男性をよそに、サングラス姿でたばこを吹かす城管の姿などの画像があふれている。
横暴な城管と、これに反発する市民との衝突は、中国で頻発する暴動のきっかけの一つともなっており、中国指導部では、市民の敵意が指導部に向くことを最も警戒している。
大阪では道頓堀のたこ焼き店の立ち退きをめぐって市と業者が対立する騒ぎがあったが、結局、業者側が自主的に立ち退くなどして平穏に解決している。
しかし、中国は、明代の小説「水滸伝」のように、腐敗した官僚に、反発した庶民が義賊として立ち上がり英雄となる世界。現在の中国共産党も、搾取されている人民の味方として政権の座についただけに、共産党指導部がかじ取りを誤れば、中国で新たな英雄が生まれるかもしれない。
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