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ポスト習へ安全運転 中国次世代指導者、地方で手腕
広東省・胡氏「手堅く前任踏襲」
中国の習近平国家主席(60)の後を狙う胡春華・広東省共産党委員会書記(50)ら次世代指導者が各地のトップとして腕を振るっている。精力的に視察を重ね、実務に励む姿は習氏の好む指導者像そのものだ。だが地方の過剰投資が問題となるなか、政策対応に新味は乏しく、党・政府の「お題目」を繰り返すばかり。赴任から半年余りたった胡氏らの姿から中国の未来像はまだ見えてこない。
【広州=桑原健】「広東省の書記だけでよろしい」。胡氏は報道などで紹介する時の肩書をこう指示している。通常は先に紹介するはずの中央の最高幹部の肩書「政治局員」を外させ、目の前の広東省の職務に専念する姿勢を示している。
熱心なのはインフラ整備だ。「広東省は先進国や他の国内先進地域より遅れている」と、高速道路や鉄道、電力設備など1兆4千億元(約23兆円)の投資を決定。6月にも鉄道建設現場で「計画中の路線の着工を急いでほしい」と訴えた。
習政権にとって経済成長の投資依存からの脱却は重要課題。胡氏は「インフラの不足が経済社会の発展を制約している」と主張するが、巨額のインフラ建設は投資依存を強めるリスクをはらむ。
広東省は成長をけん引した繊維や電気製品組み立てなどの労働集約型産業の競争力が人件費上昇で低下した。前任者の汪洋副首相(58)は「かごの中の鳥を取り換えろ」と、刺激的な言葉で競争力を失った企業の淘汰や産業の構造転換と高度化を訴えた。
胡氏も「構造転換と高度化は重大な任務だ」と強調するが、発言や政策は習氏の指示と汪氏の路線を踏襲するだけで個性は乏しい。
赴任後最初の視察は深セン市。習氏が総書記就任後の最初の地方視察で訪れた都市を選び、忠誠心をアピールした。その後20日間で10市を視察する働き者ぶりも見せた。
チベット自治区など経済後進地域の勤務が長いためか、発展の遅れた地方への思い入れが強い。産業の乏しい省北部の視察時に「もっと発展への緊迫感を持て」と語気を強めたことが部下たちに強烈な印象を残した。
重慶市・孫氏「失脚・薄氏を反面教師」
胡氏と総書記(国家主席)、首相のポストを分け合うことが有力視されているライバルが孫政才・重慶市党委書記(49)だ。孫氏も目立つ言動は避け、周囲に「控えめに実務に励み、言葉で語るよりも実際に働け」と繰り返し語ってきた。
地道な働きを好む習氏を意識しているだけではない。同じ重慶で暴力団一掃運動や大規模な公共事業などの派手な言動で注目を集め、最高指導部入りを目指しながら失脚した薄熙来・元書記(64)を反面教師にする姿勢が強くにじむ。
孫氏は同市幹部を前に「個人の独断専行は絶対に防ぐ」と強調し、「薄王国」と呼ばれた過去との決別を宣言。薄氏が住んだ公舎には住まず、別の建物を自宅とした。
最近は「中国の夢の実現へ貢献しよう」と習氏の言葉を使った訓話を好み、習氏への忠誠を誓う。
重慶はパソコンや自動車のメーカーの集積が進むが、経済の国有企業依存など問題も多い。孫氏は目先の成長率よりも「民営企業を発展させよ」と改革姿勢を示すものの、控えめに徹するあまりか「孫氏のカラーはまだみえない」(重慶の外資系企業幹部)との声も聞かれる。
(重慶=大越匡洋)
黒竜江省・陸氏「最年少記録の男」
安全運転の胡氏と孫氏を脅かすダークホースとして注目度が高まっているのが、黒竜江省の陸昊省長(46)だ。「最年少記録の男」として知られ、35歳で北京市の副市長となるなど猛スピードで出世の階段を駆け上がってきた。
同省に今春赴任したばかりの陸氏も独自色はまだ見えないが、ともに地方視察をした中国外務省幹部は「一緒にいると頭がいい人とすぐに分かる」と話す。赴任後の陸氏を米国の駐瀋陽総領事、伊藤忠商事の幹部、韓国の映画会社トップらがさっそく訪問するなど世界も関心を寄せている。
(大連=森安健)
最高指導者候補 地方の実績で選別
中国の最高指導者の習近平氏は国家元首の国家主席と共産党トップの総書記を兼ねる。その習氏を行政府の国務院(内閣)の長である李克強首相(58)が支える。これらのポストを10年務める慣例が続けば、両氏は2022〜23年に後継者にバトンを渡すことになる。
これらのポストに就く指導者候補たちの能力を地方トップの立場で試す慣例もできてきた。
現時点の有力候補が12年秋の党大会後に党最高幹部の政治局員となった胡春華氏と孫政才氏だ。胡氏は経済規模が国内最大の広東省、孫氏は内陸開発の中心拠点である重慶市書記を任された。それぞれ大きな課題を背負ったが、すでにレースの先頭を走っているだけに、失点を避ける安全運転を優先しているようだ。
同世代の周強氏(53)も最高指導者の有力候補だったが、地方の湖南省書記から最高人民法院(最高裁)院長に転じたことで一歩引いた形だ。
[日経新聞7月10日朝刊P.6]
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