01. gataro 2013年6月20日 08:43:34
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以下の本文が表示されなかった: 中国共産党と政府が、荒唐無稽な「抗日ドラマ」の規制に乗り出した。日中戦争で日本軍を打ち破る共産党の軍を描くドラマは、「愛国教育」とも相まって制作本数が大幅に増えた。だが、安易な制作姿勢が目立つようになり、俳優や視聴者から批判が相次いだのだ。 http://img.asyura2.com/us/bigdata/up1/source/14518.jpg ■空舞う美女が…荒唐無稽 飛び交う銃弾を軽やかにかわした中国兵が、カンフーの一撃で日本兵の体を引き裂く。仙人のように空を舞う美人兵は弓矢一つで押し寄せる日本軍を撃退する――。 歴史的事実とかけ離れ、ハリウッド映画のような派手な映像と奇抜な演出で視聴者を驚かせる。中国で「抗日雷劇」と呼ばれるジャンルのドラマだ。共産党と政府が5月、初めて規制に乗り出した。 国家新聞出版ラジオテレビ総局関係者によると、同局が全国のテレビ局幹部を集めた会議で「抗日ドラマの過度の娯楽化を制限する」と指示した。 党中央宣伝部も「一部は荒唐無稽かつ俗悪」と批判し、該当するドラマの放送を禁じる通知を出した。 中国紙によると、抗日ドラマの制作本数は、共産党政権が成立した1949年から2004年までの55年間で150シリーズ余りだったが、05年は1年間で20シリーズ余り、12年には70シリーズ余りに激増した。 その背景には、テレビ業界の商業化がある。 中国には国営中央テレビのほかに、大都市の主要局や地方局を合わせると2千を超えるテレビ局がある。番組内容は党や政府の指導・監督を受け、一定の補助金もあるが、主な収入源は広告で、激しく視聴率を競っている。 一方、ドラマを独自で制作できる能力のある局は限られ、多くの局は制作会社から作品を購入している。その中で、日本軍を「悪」として描き、中国側から見れば「勧善懲悪」となる単純なストーリーの抗日ドラマが、「視聴率が稼げる」として重宝されるようになったという。 また、90年代の江沢民政権時代に始まった「愛国教育」の下で抗日ドラマが奨励されたことも、行き過ぎた娯楽化や商業化を後押しした。 国営メディア幹部は「政府の検閲の影響で、文化大革命や天安門事件を題材にすることは許されず、社会批判もしにくい。その点、抗日は審査が緩く、安易な制作者が飛びつきやすい」と指摘する。 ■「歴史ゆがめる」批判の波 規制のきっかけは、日本でも出演作が上映された俳優、陳道明さん(58)の問題提起だった。 国政助言機関の全国政治協商会議の委員でもある陳さんは、3月の会議後、集まったメディアに対して抗日ドラマについて「厳粛な歴史をこんな風に描くと、当時を知らない若者が間違ったイメージを抱く」と批判した。主人公がやすやすと日本兵を倒す姿が、多大の犠牲を払った戦争の実像をゆがめるという意味が込められていた。 これを機に広東紙「南方週末」が特集を組み、ネット上でも賛同の声が拡大。当局が腰を上げた。 型にはめたように残虐に描かれる日本兵は、中国の視聴者の対日イメージにも影響を与えてきた。昨年の尖閣国有化に抗議する反日デモで、日本車の持ち主を殴って逮捕された青年が、幼いころから抗日ドラマを見て日本への怒りを募らせていたケースもあった。 多くのドラマや舞台を手がける著名脚本家の史航氏は「中日関係の緊張が抗日ドラマへのニーズを高めてきたのは確かだが、商業化の中で、悪貨が良貨を駆逐する状況が生まれている」と話す。 ただし、規制の背景に、尖閣諸島などで対立が深まる日中関係に対する中国側の「外交的配慮」があったとは言い難いようだ。 国家新聞出版ラジオテレビ総局テレビドラマ管理局の王衛平副局長は中国紙に「抗日戦争は中華民族が侵略に抵抗した壮挙であり、いかなる時も我々の作品創作の貴重な源泉だ」と強調。狙いはあくまで「現実離れした演出への規制」との立場を示した。 (北京=林望) ■「娯楽作品として見る」多数 ネットユーザーに聞く 中国の視聴者は抗日ドラマをどう見ているのか、ネットユーザー30人を無作為に選び、答えてもらった。 30人全員が抗日ドラマを見たことがあり、うち18人は「娯楽作品」として視聴。「ドキュメンタリーとして見た」と答えたのは1人だった。 ドラマが対日観に影響を与えたかについては「与えた」が8人。「与えない」は13人。「その他・分からない」が9人だった。「与えない」とした人は「視聴者にも判断能力はある」としたが、「幼い頃、日本人は人でなしだと思っていた」といった意見もあった。 抗日ドラマの規制は20人が支持。反対は3人だった。規制支持派には「視聴者を馬鹿にしている」といった作品の質への不満が目立った。「支持しない」とした人は「(敏感なテーマを扱わせない)政府の検閲がドラマの娯楽化を生んだ」などと、表現への介入そのものを批判した。 ◆キーワード <抗日ドラマ> 1930年代から45年にかけ、中国を侵略した旧日本軍から中国の庶民を守る共産党や軍の戦いを題材とするドラマ。共産党政権の正統性を宣伝する材料として、政権発足直後から映画やテレビドラマ作品として制作されてきた。日本兵は残虐で非道な画一的なイメージで描かれてきたが、苦悩を抱える人間として日本兵を描こうとする試みも少数ながら現れている。 |