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米中関係が日本に火の粉として降りかかってこないよう、日米・日中の両関係に“深入り”しないことが肝要である。
日経新聞らしいのは、「米国が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)の情報提供を習氏が求めたのにも「太平洋の貿易ルールを中国抜きで決めるのか」との強い意志がにじむ」と書くだけで、TPPの情報は交渉に参加しないと手に入らないから交渉参加表明を急げと煽った経緯や、米国が対日とは違い交渉参加さえ表明していない中国にTPPの情報を提供することにした“裏切り”を説明しないことである。
また、日本は米国に軽く見られているわけではないと言いたいのか、「首脳会談の2日後の10日。会談場所から200キロ余りのカリフォルニア州内で、島しょ防衛の日米共同訓練が始まった。陸海空3自衛隊そろって海外訓練に参加するのは初めてだ。中国による延期・中止の要請に応じず、予定通り実行したのは、アジアへの影響力を堅持しようとするオバマ政権の意思の表れだ」と書いているが、来年のリムパックから、中国人民解放軍も招待されることには触れていない。
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[検証]習氏が描く「中華」復興
米中首脳会談、大国意識あらわ
「関係づくり」「膨張にクギ」 米、バランスに配慮
オバマ米大統領と中国の習近平国家主席は7日から2日間、首都ワシントンから離れたカリフォルニア州の保養地で首脳会談に臨んだ。中国台頭をけん制するオバマ大統領と、自国を大国として扱うよう迫る習主席。暑いながらもゆったりとした保養地の雰囲気とは裏腹に、2人は8時間に及んだ対話で激しい駆け引きを演じた。
「新しいタイプの大国関係」――。習氏はオバマ氏との会談で対米関係のキーワードをこう提起し、その中身を自ら「不対抗、相互尊重、協力」と説明した。
太平洋へ思惑
一見、柔らかい表現だが、習氏の言う「大国関係」は、米国が中国を対等な存在と認め軍事・経済面での台頭を容認することを意味する。米国が周辺国との領土を巡る摩擦に口出しせず、共産党の一党支配の下で市場経済を推し進める独特の社会制度を認めるよう迫ったといえる。
習氏が打ち出したもう一つのキーワードが米国との間に横たわる「太平洋」だった。会談では「中華民族の偉大な復興」という「中国の夢」を語ったうえで「広い太平洋には米中両大国を受け入れる十分な空間がある」と強調した。
かつて大陸国家としてアジアに君臨した中国は歴史的に海への興味が薄く、近代に至っても海軍の強化を怠った。中国共産党ではこれが日本や欧州列強の侵略を招いたとの強い意識が受け継がれている。
1978年に実権を握り改革開放を推し進めた故トウ小平氏は当時の中国の実力に合わせ、才能を隠して内に力を蓄える「韜光養晦」(とうこうようかい)を外交・安保戦略の柱に据えた。貿易拡大による経済発展を優先し、まずは国力の底上げを狙う考え方だった。
改革開放から35年。中国の経済規模は米国に次ぐ世界2位になった。習氏が国家主席を続ける今後10年のうちに、中国が世界一に浮上する可能性もある。
米国が主導する環太平洋経済連携協定(TPP)の情報提供を習氏が求めたのにも「太平洋の貿易ルールを中国抜きで決めるのか」との強い意志がにじむ。中国が世界一だった明清王朝時代の国力の回復を指す「中華民族の復興」を実現する時がきた――。こんな習氏の思いが透ける。
太平洋の権益は経済にとどまらない。習氏の言葉は中国海軍幹部がかつて米軍幹部に「ハワイより東を米軍、西を中国海軍が管理しよう」と持ちかけたのと重なる。西太平洋で示威行動をとる中国艦隊にとって、沖縄県の尖閣諸島はまさに出口に位置する。資源というよりも安保上、極めて重要。中国が譲歩の姿勢を見せないのもこのためだ。
「G2」に懸念
「中国の夢」は日本を含め周辺国と様々なあつれきを生み出す。アジア諸国には「習体制の中国は世界を米中の2大国で仕切る『G2』を求め始めた」(在北京の南アジア外交筋)との警戒感が強まっている。
オバマ氏は「中国の平和的な発展は歓迎する」と中国の膨張にクギを刺した。同時に「日本は民主的な国家で信頼している。日米は重要な同盟だ」と尖閣周辺での挑発行為を容認しない姿勢を強調した。
首脳会談の2日後の10日。会談場所から200キロ余りのカリフォルニア州内で、島しょ防衛の日米共同訓練が始まった。陸海空3自衛隊そろって海外訓練に参加するのは初めてだ。中国による延期・中止の要請に応じず、予定通り実行したのは、アジアへの影響力を堅持しようとするオバマ政権の意思の表れだ。
米政権は今回、「緊密な関係づくり」と「断固たる態度」のバランスに細心の注意を払った。会談場所に保養地を選び、首脳の個人的な関係づくりを演出できる舞台を整える一方で、習氏への過剰サービスは避けた。
緊密さの演出は8日朝の2人の散歩だけに絞り、オバマ氏はミシェル夫人を同行しなかった。習主席の彭麗媛夫人は歌手とはいえ現役軍人で、天安門事件で民主化運動を鎮圧した部隊を慰問した過去もある。ミシェル夫人が軍人と歓談し、人権無視との批判が広がるのは避けたかった。
米外交筋は「大統領は(習氏を)警戒する半面、堅さの目立った前任の胡錦濤氏より率直に話せる相手と感じたようだ」と見る。
両政府は7月、ワシントンで5日間、米中戦略・経済対話を開く。中国外相、国防相も参加。両国の主要閣僚が長時間、顔を合わせる。緊張をはらみつつパイプを複線化する方向へ動く米中。その動向は東アジアの行方も大きく左右する。
(中国総局長 中沢克二)
[日経新聞6月16日朝刊P.11]
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