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アート紙に印刷された電子部品(中国科学院理化技術研究所が提供)
回路を紙に直接印刷 中国科学院理化技術研究所
家庭内でワードの文書を印刷するように、お手軽に回路をプリントアウトし、自分の好きな玩具を組み立てることはできないだろうか。人民日報が伝えた。
このほどある研究が、この想像を現実に変えようとしている。中国科学院理化技術研究所の劉静研究員率いる研究チームは、紙に電子回路を生成させる技術を初めて開発し、さらにデスクトップ型3D自動プリンターの試作品を完成させた。この設備を使い、プログラムを設定すれば、自分の必要な回路をプリントアウトできるというのだ。
◆液体金属がインクに
紙に電子基板を印刷する技術は、室温状態下の液体金属で直接印刷する方法の進展により実現された。
劉研究員によると、通常の電子基板の製造工程は時間がかかり、材料とエネルギーが多く使用されるが、同技術は文字を印刷するのと同じく、基板上に導電が可能な回路とデザインを印刷することができる。これにより伝統的な7−8の工程が、3−4に短縮され、スピーディーでフレキシブルだ。
しかしこの方法は、インクの束縛を受ける。インクに導電させるためには、導電性ポリマーを使うかナノ粒子を加え、高温固化や特定の化学反応を起こす必要がある。液体金属による回路の印刷は、上述した方法を大きく一歩前進させた。その基本的な考えは、「液体金属をインクにし、印刷するだけで回路になる」ことだ。
伝統的な技術であれば、技術者は基板に手を加える場合、化学薬品で処理を施し、エッチングなどにより設計を行う。一方で新たな液体金属による印刷法だと、この冗長な設計手順をいとも単純化することができる。劉研究員によると、紙にさまざまな単純な回路を印刷できるようになり、試験後も導電性・信頼性が高かった。理論的には、非常に複雑な回路もしくは電子部品も印刷が可能だという。A4サイズの紙製基板の印刷には、現在十数分の時間しかかからないが、複雑な基板であればこの時間は長くなる。
劉研究員は、「通常用いられるプラスチック製板と比べ、紙は低コストで、携帯に便利で、分解しやすく、折りたたむこともでき、リサイクルがしやすいといった特長がある。これはグリーンでエコな、低コストの回路材料だ」と説明した。
◆3Dプリントの応用範囲を拡大
回路印刷の実現の前提は、インクに流動性をもたせることだ。室温で回路を生成する方法を見つけるため、劉研究員のチームは液体金属の移動のメカニズムを解析し、ついにこの難関を突破した。同研究チームはさらに、3D電気機械複合システムの直接印刷を実現した。新方法は平面の回路を印刷できるだけではなく、立体の複雑な回路、その関連部品を直接生成できる。
劉研究員は、「現在の3D印刷の多くは型そのものしか印刷できず、電子機能を含む部品の印刷は不可能だ。液体金属による回路印刷は、3D印刷技術の応用範囲を大幅に拡大した」と語った。
紙をプラスチックの代わりにし、直接印刷を集約化生産の代わりにする。現実との間にはまだ大きな開きがあるが、劉研究員は将来的な電子部品の個性化製造の可能性に着目している。専門家は、同技術は伝統的な電子回路の製造ルールを変える可能性があると指摘した。個性的な回路の設計方法は、個性化電子部品の設計・製造、オリジナル設計などの面で、幅広く応用できる可能性がある。劉研究員は、「同技術は、電子ペーパー市場で活躍するかもしれない」と語った。ケンブリッジに本部を置く市場調査コンサルティング会社のIDTechEx社は、「電子ペーパー市場の規模は2013年に約160億ドルに達する。この数値は2023年に、770億ドル近くまで拡大される」と予想した。(編集YF)
「人民網日本語版」2013年6月13日
http://j.people.com.cn/95952/8282991.html
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