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中・欧結ぶ新シルクロード 「大陸経済圏」が台頭 [日経新聞]
BMW瀋陽工場に直通鉄道
ユーラシア大陸を横断する東西交易の道、シルクロード。その現代版ともいえる中国と欧州を結ぶ鉄道貨物輸送が動き始めた。中国東北部からシベリア鉄道を抜ける「北回り」と、西部の重慶を起点に中央アジアからドイツまでを結ぶ「南回り」。中国と欧州間の輸送時間が縮まり、2つの大陸にまたがる大陸経済圏の成長を促しそうだ。
中国東北部、遼寧省瀋陽。独BMWの新工場はいま、大規模な鉄道工事に着手している。敷地内に線路を引き込み、欧州へつながる直通鉄道を作り上げる。内モンゴル自治州の満洲里からロシアのシベリア鉄道を経由し、ドイツへと至る。
BMWは瀋陽の2つの工場で年20万台を生産しているが、工場拡張で能力を3倍に引き上げる。増産戦略の要が部品のドイツからの鉄道輸送だ。昨年5月の第2工場の稼働を機に部品輸送を海運中心から鉄道中心に切り替えた。瀋陽で使っている部品サプライヤーは213社。このうち中国企業は23社にとどまる。
6気筒の大型エンジンを毎週、ドイツから運び入れる。ギアボックスなども調達する。物流会社のDBシェンカーがドイツのライプチヒに物流倉庫を新設。8千種類の部品を鉄道で送り出す。
欧州と中国を結ぶ鉄道は2つある。1つはBMWが利用する「北回り線」。これに対し、ロシアのエカテリンブルクでシベリア鉄道から南へ分岐し、カザフスタンから中国内陸部の重慶に至るのが「南回り線」だ。
3月中旬、41両のコンテナに自動車部品を満載した列車が重慶に到着した。荷主は米フォード・モーター。直通列車を使って、ドイツから貨物を運び入れた第1号だ。
◆フォード欧州拠点に働きかけ フォードは重慶に進出している有力外資。「海運なら重慶まで約60日かかるが、直通鉄道なら16日で運べる」。重慶市政府がドイツにあるフォードの欧州拠点に直接働きかけ、実現した。
重慶発の南回り線では中国から欧州への輸出が先行する。製造各社は人件費などコストが上昇した沿岸部から内陸部にシフト。重慶には台湾や米国のパソコンメーカーが集積し、2012年のノートパソコンの生産台数は4千万台を超えた。15年は1億台に達する見込みで多くが輸出される。
重慶―欧州間の直通貨物列車が本格的に始動したのは11年。12年には重慶市政府がロシア、カザフ、ドイツなど沿線各国と共同出資する運営会社を設立。税関手続きを重慶で一括で済ますことができる協定も結んだ。現在、重慶からドイツへ週3便を運行している。
主な顧客は、米ヒューレット・パッカードや台湾の宏碁(エイサー)といったパソコン勢。ノートパソコンなら、1度に約8万台を運べる。12年末までに60便近くが欧州へ輸出品を運んだ。
◆採算性などに課題 海運の場合、重慶から長江を上海へと下り、マラッカ海峡を抜けて欧州へ向かうと50〜60日かかる。「中国内の鉄道整備も進み、来年に重慶からドイツまでの輸送時間を14日に短縮できる」(楊麗瓊・重慶市経済情報化委員会副主任)という。
「北回り」の輸送時間も20日余り。むろん鉄道輸送は海運に比べ運賃が7〜8割高いが、輸送時間を1カ月短縮できれば、その分の在庫を減らせる。空輸に比べれば費用は安く、しかも大量輸送できる利点がある。欠点は1つの企業が列車を丸ごと借り切るほどの量を運ばなければ採算を取りにくいことだ。軌道の古いロシアでは厳寒期に貨車が大きく揺れ、荷物が傷つく恐れもある。
中国沿海部は人件費が高騰し、内陸や東北部に生産拠点を移す動きが続いている。中国と欧州を結ぶ鉄道の利用は拡大していきそうだ。
北京=大越匡洋、森安健
[日経新聞6月11日朝刊P.11]
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