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習近平新体制は変革を断行できるのか? 「革命前夜」のような雰囲気を指摘する声も(AP)
【石平のChina Watch】「大革命の前夜」なのか 反乱恐れる習近平政権
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130214/frn1302141546003-n1.htm
2013.02.14 夕刊フジ
中国では今、『旧体制と大革命』という本が広く読まれている。アレクシス・ド・トクビルという19世紀のフランス歴史家が書いた本で、その内容は、フランス大革命の特徴や原因に対する考察である。
中国で読まれるきっかけを作ったのは、共産党政治局常務委員の王岐山氏である。昨年11月末、彼がある会議の席上でその購読を薦めて以来、この本は、にわかに脚光を浴びることになった。新聞や雑誌は盛んにその内容を取り上げて紹介し、書店での売り切れが続出するほどの人気ぶりである。
19世紀のフランス人の書いた本が中国でそれほどの反響を呼んだのは、王岐山氏の推薦以外に、より深い理由があると思う。それについて、先月18日付の人民日報(海外版)の掲載論評が明快な説明をしている。論評曰(いわ)く、中国国内の現状が大革命前夜のフランスのそれと類似しているからこそ、本書は中国で大きな注目を集めた、ということである。
今の中国と当時のフランスがどう類似しているかについて、論評は次のような分析を行っている。
(大革命前の)フランスでは、貴族たちが憎むべき特権にしがみつき、人民の苦しみにまったく無関心で自分たちの独占的な利益の維持だけに汲々(きゅうきゅう)としていた。それが、「旧体制」につきものの「社会的不平等」をさらに深刻化させて大革命の発生を招いた。
同じように、今の中国では貧富の格差が拡大して社会的不公平が広がり、階層間の対立が激化している。このような状況下では、「民衆の不平不満が増大して社会が動乱の境地に陥る危険が十分にある」というのである。
この論評とほぼ同じ視点から、『旧体制と大革命』の「中国にとっての現実の意義」を論じる学者や新聞紙は他にも多数ある。
どうやら中国のエリートたちがこの本を読んで連想しているのは中国での「革命」のことであり、彼らの心配事はやはり、フランス革命のような「大革命」の嵐がいずれ中国の大地で吹き荒れてくるのではないか、ということである。
今の時代、当のフランスにしても同じ先進国のアメリカや日本にしても、もし誰かが「この国で革命が起きるぞ」というなら、それは単なる冗談として一笑に付されるだろうが、中国の場合、革命や動乱の発生はむしろ現実味のある可能性として意識されている。
現に、国家主席の胡錦濤氏は昨年11月開催の党大会で「国が滅びる」ことの危険性に厳粛に言及しているし、この危機感を受け継いだ習近平政権は今、民衆の不満を和らげるための「腐敗撲滅運動」の推進に全力を挙げている。
彼らはやはり、下からの反乱と革命による「亡国」を恐れているのである。ちなみに、共産党規律検査委員会の新しい書記として腐敗撲滅運動の先頭に立っているのは、『旧体制と大革命』の推薦者の王岐山氏その人だ。
もちろん、「上から」の撲滅運動の推進で共産党幹部の腐敗が根本的に抑止されるようなことはまずないと思う。腐敗の温床はそもそも共産党の敷く一党独裁の政治体制そのものであるから、いわば「旧体制」にメスを入れない限り、腐敗の蔓延(まんえん)は永遠に止まらない。
そうすると、「大革命」の発生という「悪夢」は常に、この政権につきまとってくるのである。
結局、「上からの変革」を断行することによって一党独裁体制に自らの終止符を打つのか、それとも「下からの革命」によって国が滅ぼされる運命を迎えるのか、それこそが今後の習近平政権に迫られる究極の二者択一なのである。
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【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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