05. 2013年2月18日 20:22:05
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外国企業に環境税? 大気汚染極まる中国で仰天プラン 河川、沿岸も深刻 2013.02.18 春節明けでPM2・5の濃度が再び上昇。北京の大気汚染が収まる気配はない(ロイター)【拡大】 中国の環境汚染が激烈を極めている。河川や沿岸海域、大気の汚染は甚大で、日本にも悪影響を及ぼしている。こうしたなか、共産党内で驚くべきプランが浮上しているという。外国企業を対象に「環境税」を徴収しようというのだ。 中国での環境税導入は15年ほど前から検討されてきた。急激な経済発展の代償として、中国の主要7河川(長江、黄河、珠江、松花江、淮河、海河、遼河)は、工場排水などで深刻な汚染に直面している。中小河川の汚染もひどく、ネット上では、赤や青、緑、黄色など、自然界ではあり得ない色に染まった河川の画像まで掲載されている。当然、汚染水が流れ込む、沿岸海域の汚染も進行している。 微小粒子状物質「PM2・5」が有名になった大気汚染も猛烈で、首都・北京は晴れの日でも黒い霧に覆われたような状況。在北京日本大使館が今月8日、現地邦人向けに行った説明会では、劣悪な環境について「壮大な動物実験のような状況に置かれている」との解説がなされた。 これには中国の人々も黙ってはいない。 昨年10月には、浙江省寧波市で化学工場の建設計画に反対する地元住民ら約1000人による抗議デモが発生。参加者の一部が暴徒化して警察の車両などを破壊したり、投石するなどして多数の負傷者が出たという。 こうしたなか、アジア開発銀行(ADB)は昨年8月、中国の環境汚染防止に向けて「環境税」の創設など包括的な財政、法制度の整備が必要だと提言する報告書をまとめた。 環境税には、国民から幅広く環境税を徴収する案と、企業など汚染物質排出量に応じて徴収する案がある。 中国事情に詳しいジャーナリストは「外国企業を対象にした環境税導入は十分あり得る。これまでも、失業保険や福利厚生なども外国企業だけに義務付けてきた。ただ、税収が環境改善に使われるかは疑わしい。中国ではいまだかつて、目的税が目的に使用されたことはない。大気汚染でいえば、元凶は火力発電所と環境対策がなされていない古い車。ここにメスを入れないと意味がない。環境税導入が、党幹部らの金もうけに悪用されかねない」と語っている。 ■関連記事 ⇒中国共産党幹部「大気悪化の原因は外国投資の工場」 宇田川敬介氏が直撃 ⇒春節の花火で165人負傷 北京、大気汚染は深刻 中国共産党幹部「大気悪化の原因は外国投資の工場」 宇田川敬介氏が直撃 2013.02.18
宇田川敬介氏【拡大】 ジャーナリストの宇田川敬介氏が、中国の環境汚染について、旧知の共産党幹部A氏を直撃取材した。A氏は日本の国会議員とも親しく、知日派として知られる。3月の全国人民代表大会(=国会)で、さらに要職に就くとみられている。 −−大気汚染をどう考える A氏「急激な経済成長の結果といえる。だが、産業革命以降、先進国は地球環境を汚してきている。中国だけ問題視するのはおかしい。すでに、100社の操業停止を行い、ガソリンなどの基準も厳しくした。状況は改善しつつある」 −−操業停止は単に「春節(旧正月)休み」では。春節明けには被害が復活するのでは A氏「そういう指摘は中国通の人からよく聞く。ただ、問題にすぐに対処できるのは共産党政権の特徴である」 −−根本的解決に取り組まないのか A氏「中国の環境を悪化させたのは、外国投資による工場が大半だ。日本を含む外国企業が、厳しい基準で工場を建設していれば問題はなかった。結果、中国人民が損害を被っている。日本人の被害は自業自得でもある。この事態を解決するのは、外国企業が空気をきれいにする技術を自費で持ち込み、中国をきれいにすることだ」 −−中国独自で対処しないのか A氏「中国は一方的に被害者である。被害者がなぜ、加害者の行った問題を解決するのか」 −−それで外国からの投資が継続するのか A氏「外国企業が考えることだが、何も対処しない場合、『環境税の徴収』を考えている。これは工場だけでなく、すべての外国企業に適用を検討している」 ■関連記事 ⇒外国企業に環境税? 大気汚染極まる中国で仰天プラン 河川、沿岸も深刻
良心なき無情国家・中国 春節は貧富の格差を映し出す 2013.02.18
春節に伴う大型連休で帰省する乗客で混雑する北京駅=2013年2月5日(AP)【拡大】 旧暦の正月にあたる「春節」前後になると、つくづく中国とは「無情で、とても嫌な国」だと思い知る。花火や爆竹に含まれ、大気汚染につながる微小粒子状物質「PM2・5」をまき散らしたり、隣国の国民の心情などお構いなしに「東京大爆発」などと題した商品を販売したり…。それらに隠れているが、34億人以上が移動する春節の期間には、スリや窃盗といった犯罪が横行する。1年かけて家族のために貯(た)めたお金が被害に遭う出稼ぎ労働者(農民工)も少なくない。今月3日には、中国人の道徳心や良心を疑うような、あまりにひどい事件が起きた…。(木村成宏)
■宙に舞った紙幣を次々と奪う 事件は上海で起きた。 地元紙の報道などによると、2年前に故郷に8歳の息子ら家族を残し、出稼ぎに来ていた農民工の男性(30)がバイクで銀行に向かっていた。男性は同じく農民工の父親(83)とともに1年かけてためた生活費1万7600元(約26万3千円)分の札束を持っていた。 男性は昼は宅配便、夜は食肉加工の仕事をしていた。父親も清掃員として勤務。生活費は2人でやっとの思いで貯めたお金だった。今年の春節は2月10日で9日から15日までが連休。その休みを前に、大事な札束を誤って落としてしまったのだ。 2、3年分の生活費に相当するという札束はバラバラになって、風に舞い上がり路上に散乱。すると付近からは通行人が次々と集まり、数十秒で札束が奪われたのだ。 「実家で新年を迎えるためのお金なんです」 凄(すさ)まじい形相で紙幣を奪う通行人らに、男性はそう言いながら土下座して頼んだ。しかし“盗人”の中には道路の真ん中に車を止め、降りて紙幣を奪う人もいたという。 結局、拾ってくれたのは3人だけ。返ってきた額もわずか約700元。男性自身が約3千元をかき集め、その後、何人かが警察に届けたものの、約9800元がなくなった。 いったい良心や道徳心はあるのだろうか。救いなのは、この様子を撮影した映像がインターネットで流れて、金を奪った通行人らに対する批判が殺到し、男性に同情した地元住民や警察などから1万4千元余りの寄付が男性に寄せられたことだ。 ■犯罪者が狙う「34億人の大移動」 国営新華社通信によると、中国で「春運」と呼ばれる春節は今年、1月26日から3月6日までの40日間に過去最多の延べ34億700万人が鉄道や自動車、飛行機などを利用して移動する見通しだ。主要都市の駅やバスターミナル、空港などでは春節の2週間以上前から、お土産物や、都市部で稼いだ給料などを持った農民工ら帰省客でごった返す。 そうした人たちを狙う街頭での強盗やひったくり、スリなど犯罪も多発する。ただ、こうした窃盗などの被害を乗り越えても、ふるさとへの道のりは遠い。 鉄道については、乗車券を大量に買い占めるダフ屋対策として昨年1月から、購入の際、身分証明書を提示させるチケット実名制を導入。インターネット予約もできるようにしたが、アクセスが殺到して障害が多発。ネットでの販売を増やした分、駅での販売が減らされ、パソコンなどを使えない農民工らが窓口に何日並んでも乗車券が購入できないでいるという。 さらに、チケットを入手したとしても苦難は続く。長距離列車の車内は座席だけでなく、通路や車両連結部まで、少しでもスペースがあれば、寝転んだり、もたれかかったりする人ですし詰めの状態だ。 昨年12月に全線(北京−広州)開通したばかりの高速鉄道でも1月30日、河南省信陽市でPM2・5を含んだ濃霧が原因で故障が発生。上下計14本の列車に最大約1時間の遅れが出た。 乗客の証言では、列車の外で、閃光(せんこう)を見たという。有害濃霧に含まれる帯電微粒子によって電気系統が故障、火花などの強い光が出たとみられている。2011年には衝突事故を起こした自慢の高速鉄道システムだけに、利用客の不安は高まっている。 ■転落、爆発、橋桁が落下… 車の移動も怖い 列車による移動を避け、車による移動も危ない。渋滞のほか、事故も多発。長距離バスなどが崖から転落する事故などが相次いでいるほか、手抜き工事などが原因で高速道路の橋桁が崩落する事故も起きた。 甘粛省で2月1日、バスがカーブを曲がりきれず、谷に転落して出火。乗客の大半が春節の連休を前に、故郷に戻る農民工とその家族で、18人が死亡、36人が負傷した。 四川省でも同日、バスが横転して崖から100メートル下に転落。11人が死亡。さらに貴州省や広西チワン族自治区では2日に、バスや車が崖から転落、計19人が死亡、32人が負傷した。貴州省の事故ではバスの定員19人に対して34人が乗っていたという。 河南省では1日、高速道路上で、春節に使う花火や爆竹を乗せたトラックが爆発して、コンクリート製の橋桁が80メートルにわたって崩落。車が巻き込まれ、少なくとも9人が死亡した。 ■春節にみる「貧富の格差」 春節の帰省ラッシュの背景には、農村から都市への人口流入を厳しく制限する「戸口」と呼ばれる中国独特の戸籍制度がある。国民は「都市戸籍」と「農村戸籍」に大きく分けられ、それぞれ戸籍がある出身地で、社会保障や教育などの公共サービスを受ける。 だが、農村から都市へ出てきた農民工には都市戸籍がなく、都市の公営住宅に住めず、子供に公的な教育を受けさせることもできない。このため、多くの農民工が子供らを故郷に残して都市へと出稼ぎに出て、都市と農村を「渡り鳥」のように行き来する。 しかも農民工は工場や建設現場、食堂など不安定で低賃金の仕事にしか就けない。恵まれた都市戸籍の住民との貧富の差。昨年、暴徒化した反日デモは、こうした農民工らの不満のはけ口にされた。 大阪・船場など、日本の商家でもかつて、住み込みの丁稚(でっち)が正月と盆の年に2度、親元へ戻る休暇「藪入り」という習慣があった。落語や小説、新喜劇などの題材にもなっているが、中国ほど無情でも残酷でもない。 「春運」は中国社会が抱える矛盾の一つを改めて浮き彫りにしている。 |