03. 2013年2月01日 00:13:18
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JBpress>海外>Financial Times [Financial Times] ミャンマーが中国西海岸になる? 中国のパイプライン建設が浮き彫りにする争奪戦 2013年02月01日(Fri) Financial Times (2013年1月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙) 今年5月、中国の地理に興味深いことが起きる。猛烈な勢いの経済発展が東部沿岸地域の都市に集中してきた大陸規模のこの国が、西海岸という、これまで1度も手にしたことがないものを手にするのだ。 全長800キロのガスパイプラインが、ミャンマー中部を通って、雲南省の省都・昆明とベンガル湾をつなぐ。来年には同じルートに沿って石油パイプラインが開通する。道路と鉄道がその後に続く。 もちろん中国は文字通りに、大西洋と太平洋に面する米国の海岸線に匹敵するような2つ目の海岸線を手に入れるわけではない。だが、中国はそれに次ぐ2番目に良いものを手に入れる。 太平洋とインド洋へのアクセスを得たい中国 「中国に欠けているのは、中国のカリフォルニア、つまり遠く離れた内陸部の省に海への出口を提供するもう1つの海岸だ」。作家でミャンマー政府の顧問を務めるタン・ミン・ウ氏はこう言う。同氏はミャンマーの地政学的重要性に関する著書『Where China Meets India(中国がインドと出会う場所)』で、パインプラインは中国政府の「ツー・オーシャン」政策にとって画期的な出来事だと述べている。 影響力のある米国のジャーナリスト、ロバート・カプラン氏も同様に、世界で3番目に大きな水域であるインド洋でプレゼンスを確立する中国の能力が、中国が世界的な軍事大国になるのか、それとも太平洋に限定された地域大国でとどまるのかを決定すると主張している。 門戸開放に動いたミャンマーは、アジアの中でも戦略的に重要な国〔AFPBB News〕
西側諸国は長年、ミャンマー――多くの人が今でもビルマと呼びたがる国――を人権と民主主義というプリズムを通して見てきた。そこから見えてくるのは、アウン・サン・スー・チー氏がこの国から軍事独裁主義を取り除くのに悪戦苦闘している姿だった。 これは、特にミャンマーの6000万の虐げられた人々にとっては極めて重要な物語だ。だがそれは、恐らく全く同じくらい重要な話を覆い隠してきた。すなわち、アジアで最も戦略的に重要な国の1つを巡る争奪戦だ。 インド洋と中国を結ぶパイプラインが生まれることになった経緯を振り返ることには価値がある。ミャンマーは1990年代に、フランスのトタルが建設したパイプラインを通して海洋ガスの一部をタイに輸送し始めた。インド、韓国、中国は、より大規模な別のガス田の権益獲得に向けて動き出した。 中国の「マラッカ・ジレンマ」の解消へ大きな一歩 中国政府は2006年、ミャンマーの人権侵害を非難する国連安全保障理事会の決議に拒否権を発動した。それから間もなく中国は、雲南省のパイプラインの商談を成立させた。 インド洋に至るこのルートは、退任が近い胡錦濤国家主席が中国の「マラッカ・ジレンマ」と呼んだものを解決する手始めになる。中国の石油の約80%は、マレーシアとスマトラ島の間を走る狭いマラッカ海峡を通過している。ここは今でも事実上、米国海軍が支配している難所だ。 中東から運ばれてくる石油を輸送する新たな石油パイプラインは、マラッカ海峡に対する中国の依存度を3割程度引き下げる。一方、ガスパインラインの年間輸送能力は120億立法メートルで、中国の現在のガス輸入量の28%に相当する。 ミャンマーにおける中国の影響力は、もっと大きい。数百万人の華僑がミャンマーに移住しており、あまりに数が多いため、ミャンマー第2の都市マンダレーはまるで中国の開拓地のようだ。少数民族のワ族に属する領土は事実上中国との国境がないが、ミャンマーからは軍の検問所を通らなければ到達できない。 中国企業は何年もかけて、ミャンマーの鉱山やダムに巨額の投資を行ってきた。中国政府の影響力があまりに大きくなったため、2010年には当時米国の上院議員だったジム・ウェブ氏が、かつては英領インドの一部だったミャンマーが「中国の省」になる恐れがあると警告した。 中国の支配に対する不安がミャンマーの軍部と米国政府の双方を駆り立てて、妥協に至らせた。実際、2011年のミャンマーの劇的な開放は、米国のアジアへの旋回と時期が重なった。 突然のミャンマー開放、最大の要因は中国支配への不安? 結局、突破口が突然開けたのは、民主的な配慮よりも地政学的な配慮の方が決定的な要因だったということになるかもしれない。何しろミャンマーの軍司令官たちが取引を受け入れる用意があることを示した最初の大きなシグナルは、政治犯の釈放ではなく、中国が資金を提供する総工費36億ドル規模のミッソンダムの建設中止だった。 それ以来、ミャンマーの争奪戦が始まった。米国と欧州は、これまでのところ主に支援組織や多国籍機関を通じた技術支援の提供によって存在感を高めている。経済制裁の間も決してこの国を離れなかった日本は即座に関与を強め、63億ドルの債務を一方的に免除した。多くの人はこれを投資の波の序章だと見ている。 西側の債権国から成るパリクラブも今週、債務協定を結び、新たな資金流入に道を開いた。 欧米企業も日本企業もまだ新たな大型投資は表明していない。だが日本は、巨大なダウェイ港や南部の工業地帯に関心を持っているかもしれない。外交分野では、米国が今年、ミャンマーに米国とタイとの合同軍事演習を視察するのを認めることになっている。 中国は守勢に回っている。ミャンマーは、中国が所有するミャンマー最大のモンユワ銅山における土地の押収や環境破壊の疑いについて調査を行っている。またミャンマー政府は最近、カチン州の反政府勢力に対する空爆で、中国領にも砲弾を打ち込んで、中国政府を苛立たせる危険を冒している。 東西を競わせるミャンマー アウン・サン・スー・チー氏〔AFPBB News〕
それでも、ミャンマー政府が中国を見捨てることはないだろう。東側と西側を対抗させることでミャンマーが得られる利益はとてつもなく大きいからだ。 スー・チー氏でさえ、戦略的に何が重要なのか分かり過ぎるほど分かっている。「中国はミャンマーの隣国であり、米国は遠く離れているという事実を忘れてはいけない」。同氏はかつて控え目な言い回しでこう話していた。 スー・チー氏がいつか大統領になるようなことがあれば、地政学的な駆け引きを民主化の駆け引きと同じくらいうまくやるだろうか? その様子を見るのは大変興味深いだろう。 By David Pilling JBpress>日本再生>ずばり勝負 [ずばり勝負] 韓国共産陣営入りも:日韓対立で漁夫の利得る中国 外交の基本は信頼を得ること。言うべきを言い、なすべきをなせ〜田久保忠衛氏 2013年02月01日(Fri) JBpress マット安川 外交専門家の田久保忠衛さんを迎え、東アジア諸国との連携や日米同盟のほか、ロシア・中国に対して進められている水面下の安倍外交についてもお聞きしました。
安倍首相は大局観を持って外交を進めている 田久保 忠衛(たくぼ・ただえ)氏 外交評論家・杏林大学名誉教授。国家基本問題研究所の副理事長として取材・啓蒙活動にあたっている。(撮影:前田せいめい、以下同) 田久保 日本にとって今世紀中の最大の問題は、中国です。日本の13倍の人口を擁した広大な国が、アメリカに次ぐ経済大国、プラス軍事大国になってきている。それだけなら隣の友人で済むけれども、どうも国際法を無視するような行動に出てきた。これに対抗しなければなりません。
その点で、安倍(晋三、首相)さんはよく分かっています。安倍さんは最初の外国訪問先としてアメリカに行く考えでした。日本の今の実力では中国に対抗できないため、民主党が軽んじていたアメリカとの外交をきちっとやろうと。結果的にオバマ大統領の都合で延期になりましたが。 その後、安倍さんをはじめ麻生(太郎、副総理兼財務相)さんや岸田(文雄、外相)さんが、ASEAN(東南アジア諸国連合)諸国やオーストラリアに行きました。これは、日本の味方になるような国々をビシッと固めてから、中国といろんな交渉をしましょうという話なんです。 中国は今いい気になっているけれども、実は四面楚歌の状態です。東西南北で批判の嵐に包まれている。北のロシア、西側は中央アジアやインド、南は南シナ海を巡ってフィリピン、ベトナムと揉めている。 そうした状況下で、アメリカはピボット政策ということで、軸足を再びアジアに置き始めている。安倍さんの今回の外交訪問は、アメリカの波長とピタッと合っています。いわゆる「セキュリティーダイヤモンド構想」で、中国を包み込むように圧迫を加えている。 つまり、安倍さんは大局観を持って動いているということです。日本が21世紀に大きく飛躍するとっかかりができたなと思って私は喜んでいます。 韓国が中国と急接近、共産主義陣営に取り込まれる懸念も 対韓国外交については、安倍さんは韓国を無視しているわけではありません。額賀(福志郎、元財務相)さんが特使として、次期大統領の朴槿恵(パク・クネ)さんへの親書を持って行きました。
日本と韓国が仲たがいするのは、アメリカにとっても困ることです。というのも、アメリカは対中国政策として、5本指のように日本、韓国、フィリピン、タイ、豪州と同盟関係を結んでいるからです。 逆に中国にすれば、日本と韓国が仲たがいするのは、これほどうれしいことはない。だから、あの手この手で朴次期大統領に働きかけています。朴次期大統領も日本よりも先に中国に特使を送った。したがって、韓国と中国が密接に関係を結ぶんじゃないかという危惧はあります。 ここで我われが考えておかなければいけないのは、韓国の歴史において大きな影響力を行使してきたのは、日本よりも中国だということです。ですからヘタをすると、韓国は共産主義陣営に取り込まれてしまうということも大いにあり得ます。 今の韓国には北朝鮮に色目を使う人も出てきている。北朝鮮は中国とベタベタですから。したがって、韓国の人々が民主主義陣営にいるという軸足をしっかり持たないと、たいへん危ないなと私は思います。 外交と軍事力はコインの表裏。憲法を改正し立派な軍隊を持て 今回のアルジェリアの事件もそうですが、結局、日本に軍隊がないことが問題なんです。仮に、邦人救出のために自衛隊を派遣するにしても、今の法律のままでは死人がどんどん出ます。自衛隊を海外に派遣するには、武器の使用について法律を改正しなければなりません。 また、アメリカと同盟を結びながら、例えばアメリカと日本の船が一緒に航行している時に、アメリカの船が攻撃されても日本は何もできない。集団的自衛権の行使ができるように解釈すれば守れる。そういう形で、憲法改正との隙間を完全に埋めて、その上で憲法を改正するというのが私は順序だと思います。
アメリカのセオドア・ルーズベルト大統領の外交政策に関する言葉があります。「Speak softly and carry a big stick」 つまり、でっかい棍棒を片手に、猫なで声で話す。これが本当の外交であると。外交のうまい国を見ると、アメリカでも中国でもロシアでもEU(欧州連合)でも、みんな軍隊を持っている。外交と軍事というのはコインの表と裏です。棍棒を切り離して、猫なで声だけで外交ができるはずがない。 国力とは経済力、軍事力、外交力、技術力、情報力、教育の力などいろいろありますが、この中で戦後一番ダメだったのが軍事力です。だから、これから日本がやるべきは、侵略なんか絶対にできない仕組みにした上で、しかし土足で他人の領土に入ってきて殴ってくるような国には、どいてもらう。そういう立派な軍隊を持つことです。 私が安倍さんを信用しているのは、戦後の政治家の中で、「戦後レジームからの脱却」ということを言ったただ一人の政治家だからです。戦後をすべてご破算にして、新しい日本をつくるんだという見取り図を描いてくれる人がいたら、その人に私はもろ手を挙げて賛成します。私は別に安倍さんと特別の関係があるわけじゃないですが、今のところは安倍さんしかいません。 中国にしろロシアにしろ、外交の基本は、日本人として信頼できるかできないかということだと思います。一時的には中国やロシアが嫌がるようなこと、日本人の言いたいことはどんどん言うし、やる。その代わり、約束はきちっと守る。そうすれば、やっぱりこういう人間と手を結ばなければいけないかなというふうに、中国もロシアも考えるようになると思います。 もちろん、これは中国やロシアだけではなく、アメリカもそのほかの国もみんなそうです。他国にベタベタしてご機嫌をうかがうよりも、日本の利益をまっすぐ主張すべきです。ただし、約束したことは実行する。こういう人間的な信頼感が、国家としての信頼感につながるんです。 「マット安川のずばり勝負」2013年1月25日放送 マット安川(本名:安川昌之) (株)オフィスヤスカワ代表取締役。1973年1月10日生、神奈川県出身。O型。大学在学中から30種以上の仕事に携わり、のちに渡米。語学を学び、インターンシップ、のち現地法律事務所へ勤務、3年間マネジメントを担当する。帰国後、各界著名人のトレーナー兼マネジメントなどを手がけ、企業コンサルティング、事業マッチングのほか、TV・ラジオの番組DJ・企画制作など多方面に活躍中。
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