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中国の労働者差別、安定成長に難題:賃金上昇は意図的な政策:「労働力不足」説はたわごと
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/364.html
投稿者 あっしら 日時 2012 年 11 月 27 日 14:15:02: Mo7ApAlflbQ6s
 


日本の経済アナリストや経済ジャーナリストは、国家資本主義である中国の経済構造や経済政策があまり理解できていないようだ。

 輸出競争力の低下さらには外資の投資抑制につながる「賃金の上昇」は、労働力不足によって生じているわけではなく、国民生活の底上げと内需増大による新たな成長基盤をめざす政府の意図的な政策で起きている事象である。
 労働力不足のように見える事象も、政府部門が、都市部での失業者の横溢を防止するために、都市部に流入する労働力をコントロールしているからである。現在のところは、農村は困窮した国民を低経費で支えるバッファなのである。

 記事も指摘しているが、農村から都市に流入して働く農民工の過酷な生活条件は、中国が抱える重大な問題である。とりわけ、こどもの教育や家族全体の住宅及び医療支援で悲劇的な状況になっていると言われる。

記事は、「一部の地域を対象に今年2月、定職に就いている人とその家族は、いま住んでいる場所に戸籍を変えてもいいという通知を発表」と書いているが、先ほど開催された党大会で、この問題の改善策が決定されている。

内容は、農民工が安定的でかつ平穏に従業していることを前提に、働いている都市の規模別に「都市戸籍」が取得できる必要期間を明示するというものだ。

● 県庁所在地は半年間
● 中小都市は3年間(大部分がこの条件の適用になると言われている)

 腐敗はあるにしろ、中国政府のほうが国民生活の向上に合理的な政策を採っていると言える。

※ 関連投稿

「中国 、根深い成長鈍化:都市化率や農業人口比から言って、“労働力不足”とか「ルイスの転換点」に到達というのは錯誤」
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/311.html

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[検証]中国の労働者差別、安定成長に難題
新体制、GDP倍増目指すが… 農村から都市への移動阻む

 2ケタを超す高度成長の時代が終わった中国で共産党大会が開かれ、10年ぶりに国のトップが交代した。胡錦濤氏に代わり、新たに党総書記に就いたのは習近平氏。一党支配を引き継いだ習氏の前に、安定成長への移行という重い課題がのしかかる。

 党大会初日の8日、中国をこの10年間率いた胡氏は習氏にバトンを渡すのに先立ち、今後の経済目標を掲げた。2020年の国内総生産(GDP)を10年比で2倍にする――。
 7%程度の経済成長を続ければ達成できる数字で、実現すれば経済規模は日本の倍を超す。景気減速が続く今年でも成長率は7%を軽く上回る見通しで、これまでの延長なら手堅い目標にみえる。だが中国経済はかつて経験したことのない難題に直面している。人口問題だ。


賃金上昇へ転換

 「中国は2年前にルイスの転換点を通過した」。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストはこう指摘する。ルイスの転換点は農村の余剰労働力が底をつき、賃金の急上昇が始まる時期を指す。人件費の上昇は企業収益を圧迫し、輸出競争力を損ない、成長率を押し下げる。

 日本では1970年代に入ると、すでに転換点を過ぎたことがはっきりした。河野氏は「中国も10年ごろから賃金の上昇が加速し始めた。高度成長期はもう終わった」とする。

 これに対し、まだ転換点には達していないという意見もある。同志社大大学院の厳善平教授は「農村には余剰労働力が十分にある」と強調する。それが事実なら労働力不足はそう深刻にはならない。ただし農村から都市への移動を阻む仕組みを抜本的に改めることができればの話だ。

 中国は90年代から都市への大規模な人口流入が始まった。若くて体力があり、視力も高い出稼ぎ労働者は都市の工場で歓迎された。だが「そうした能力が衰えると使い捨てになる」(厳教授)。その結果、30代になると故郷に帰り始める。就職や医療保険、子供の教育などで農村出身者に差別的な待遇が、都市に定住することを妨げる。

 問題の根に出身が農村か都市かで戸籍を分ける制度がある。政府もこれを見直さざるをえないことは分かっている。だから一部の地域を対象に今年2月、定職に就いている人とその家族は、いま住んでいる場所に戸籍を変えてもいいという通知を発表した。
 画期的な政策にみえるがメディアは批判した。「なぜ中小の都市に限定するのか」(広州日報)。通知は北京や上海などの大都市だけでなく、成都などの省都も除外した。出稼ぎ労働者の受け入れが課題になっているのは経済規模の大きいそうした都市だ。
 しかも戸籍の変更が可能になるはずの地域でさえ反対意見が根強く、実際の制度の見直しは簡単には進まない。社会保障や教育など出稼ぎ労働者への差別的な待遇を改めれば地方財政を圧迫するからだ。


腐敗防止もカギ

 成長力を保つため、新政権が直面する課題はほかにもある。国有企業による主要産業の独占をどう改め、経済の効率を高めるか。党や政府の幹部の腐敗をいかに減らし、国民の不満が爆発するのを防ぐのか。そうした不平等な経済と社会の仕組みの根幹に出稼ぎ労働者の問題がある。

 胡錦濤・前政権は発足2年目の秋に開いた党の会議で所得の分配を公平にすることや、出稼ぎ労働者の就業機会を平等にすることを掲げた。だがどれも道半ばで前政権は退いた。これが胡氏が習近平氏に渡すバトンの本当の姿だ。

 習氏は党大会が閉幕した翌15日の記者会見で「人民の素晴らしい生活へのあこがれは我々の奮闘目標だ」と胸を張った。だがこの言葉は中国社会の現状に照らせばきれいすぎる。農村出身の出稼ぎ労働者の犠牲に支えられた成長方式を改める――。その成否が安定成長のカギを握る。
(編集委員 吉田忠則)


大型景気対策は禁じ手 バブル招く恐れ

 7〜9月の成長率が前年同期比で7.4%と、景気が減速し続けている中国だが、足元では底打ちの兆しも出ている。むしろいま危険なのは、政府が投資中心の大型の景気対策を打つことだ。

 そもそも中国にとってどの程度の成長率がふさわしいのか。政府は11年から始まった5カ年計画の年平均の成長目標を、前の計画から0.5ポイント下げて7%とした。

 「7%の発展速度でも低くはない」。温家宝首相は昨年3月の記者会見でこう説明した。前年に日本を抜くほど経済規模が大きくなっており、7%で雇用を吸収できるようになったためだ。

 生産年齢人口の減少が、経済を下押しし始めた可能性もある。同志社大大学院の厳教授が定年制度をもとに労働人口を試算したところ、すでにピークを越え始めた。

 いまは男性で60歳、女性で55歳の定年を延ばし、就労環境も改善すれば労働需給の逼迫をある程度和らげることができる可能性はある。ただ2ケタ成長を支えた「無限で安価な労働力」が過去のものとなったのは間違いない。

 こうしたなか懸念されるのは、再び巨額の景気対策を求める声が高まることだ。一時的に成長率は上がるかもしれないが、反動で設備や在庫の過剰が深刻になるリスクが大きい。資産バブルと崩壊が起きる恐れもある。
 いまのところ、中国政府が景気を無理に引き上げようとする気配はない。ただ雇用情勢に黄信号がともったとき、発足間もなく政権基盤も安定していない習政権が、国民の不満を抑えるために投資をふかす可能性も否定できない。


[日経新聞11月25日朝刊P.11]

 

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