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【第252回】 2012年11月21日 加藤 出 [東短リサーチ取締役]
日本の低成長を喜ぶ中国地元紙
尖閣諸島問題の余波は今
第18回共産党大会が北京で開かれている頃に、上海に出張した。北京では厳戒態勢が敷かれていたが、上海は自然体だった。
滞在中、OECDが「購買力平価ベースで見た中国経済の規模は、今年中にユーロ圏を抜き、数年内に米国を追い抜くだろう」という予測を発表した。多くの地元紙がそれを嬉しそうに報じていた。同予測が示した世界経済におけるGDPのシェア(購買力平価ベース)は、2011年は日本は7%、中国は17%だが、30年の日本は4%へと縮むのに対し、中国は28%へと拡大するという。日本の7〜9月期がマイナス成長だったことも中国メディアは嬉しそうに取り上げている。「日本の長期衰退の始まり」と報じる地元大手紙があった。別の新聞には、まわしのサイズよりも大幅に痩せ衰えた相撲取りの姿の漫画が載っていた。
キヤノンの一眼デジカメEOS650Dに対抗して、ニコンがD5200を発表した記事もあった。いつもなら中国のキヤノン好き、ニコン好きの間で、どちらが優れているか論争がヒートアップするが、今回は尖閣問題のために、盛り上がりに欠けるかもしれないという。一眼デジカメは市場を日系メーカーがほぼ独占しているので影響は比較的軽微だが、それでもそういった影が残る。破壊されるリスクがある日本車の販売は厳しい状況が続きそうだ。
とはいえ、9月に見られたような、激高したトーンの反日報道は減った。全体的には、反日感情は緩やかにトーンダウンしてきたように見える。10月上旬の際は、「釣魚島は中国のもの」というステッカーを貼って自衛した日本車が散見されたが、今回は見かけなかった。日常生活で日本人と気付かれないように警戒態勢を取っていた日系企業駐在員も、最近は警戒を解き始めている。
上海は、そう神経質にならずとも街を散策できる状態に戻っている。今回の滞在でタクシーに10回以上乗ったが、乗車拒否は一度もなかった。上海の最大手書店の外国文学コーナーには村上春樹ら人気日本人作家の作品が以前と同様に大量に陳列されていた。「10月の外国文学ベストセラー」には東野圭吾の本が2冊入っていた。
日系企業に聞くと、このところ地方政府からの投資の勧誘が非常に積極化しているという。北京の中央政府は中国経済の鈍化が底を打ったことを現在盛んにアピールしているが、手放しで楽観できる力強さはまだない。不動産収入が激減している地方政府は、海外企業の直接投資まで細ったらかなり困った状態に陥るため、日本企業に熱い視線を送っている。
http://diamond.jp/articles/print/28233
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