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中国の新たな指導者:選択の時
2012年11月21日(Wed) The Economist
(英エコノミスト誌 2012年11月17日号)
共産党最高指導部の新たな顔触れは、必要とされる抜本的なアプローチを取るだろうか?
共産党は習近平氏(上)を総書記に選んだ。以下、政治局常務委員になった(中段左から)李克強氏、張徳江氏、兪正声氏、(下段左から)劉雲山氏、王岐山氏、張高麗氏〔AFPBB News〕
11月15日に習近平氏が人民大会堂の赤絨毯の上に歩み出た時、紙吹雪が舞うこともなければ、互いに抱き合う場面もなかった。
習氏は第18回共産党大会で総書記に「選ばれた」ばかりだったが、同氏は5年前にこの役職に任命されていた。習氏の副官となる李克強氏――経済学者で、総書記を退任する胡錦濤氏の弟子――の任命も前もって予想されていた。
エリートの政治権力の性格は、毛沢東の時代から変わった。毛沢東の言葉は絶対で、彼は中国を大混乱へと導いた。毛沢東の後、ケ小平は、経済改革が中国の救いになると考えた。
次の2世代の指導者――1989年から2002年まで総書記を務めた江沢民と、胡氏――は経済改革を継続したが、党内の利益集団の影響力が拡大するに従い、自身の力を失っていった。
習氏は今、前任者2人の問題を引き継ぐ。国有企業のトップや軍の幹部、元指導者(江氏と胡氏を含む)は皆、直接的、あるいは今では合意による統治になってきた共産党の最高意思決定機関「中央政治局常務委員会」の代理人を通じて自らの利益を追求するだろう。
既得権が非常に固定化しているため、改革は難しい。新たな指導者たちは、この任に堪えるだろうか?
中国に必要な変革の数々
必要な変革のリストは長い。共産党は、信用を独り占めにし、民間企業の成長を妨げている国有企業の力を弱めなければならない。個人の貯蓄を不効率な国家部門の方に回す金融システムも改革する必要がある。福祉国家を建設することは、経済的および社会的な優先事項になっている。
政治的には、党内でさえ、幅広い改革が必要だと言う声が増えている。国家管理は洗練されるかもしれないが、政治的な変化の兆しはほとんど見られない。
地方政府は収拾のつかない状態だ。習氏は、経済を開放するだけでなく、国を足元から改革し始める必要がある。
政府の役人の任命にもっと競争を導入したり、裁判所を改革して、党は裁判所や法の支配の上に立つという党の主張を打破したり、生産性を高め、農民に力を与え、農地を強奪して開発のために売り払うことで私腹を肥やす地方役人に歯止めをかける方法として土地を民営化する必要がある。
中国には大胆な指導力が必要になる。激しい駆け引きの末、最終的な常務委員会の陣容は9人から7人に減らされた。これによって合意形成が容易になるかもしれない。習近平氏は、胡氏が2年間待たなければならなかった重要な中央軍事委員会も掌握した。
このような力の中央集権化や、7人の委員のうち少なくとも5人が概ね(江氏の支持を受けた)同じ派閥の出身者であるという事実は、習氏が改革の道を歩むことにした場合、改革を後押しするかもしれない全会一致の合意を暗示している。
悲しいことに、3つの要因が変革の可能性を低下させる。1つ目は、中国の不透明なシステムの中でトップまで上り詰める指導者のタイプだ。党の幹部は、大胆であることではなく、安全第一でいくことで、そしてハイレベルな後ろ盾を増やすことで昇進を手にする。彼らは今も、中国がソ連と同じ運命をたどることを絶えず恐れて暮らしている。
2つ目は、権力の座に就いている者の多くが「太子党」であることだ。つまり、中国の革命を率いた一族の子孫や義理の息子などで、自らの財を増やす世襲階級となった面々だ。習氏は、毛沢東の側近の息子だ。中国で最も有名な歌手の1人と結婚しており、娘は偽名でハーバードに留学している。
「赤い貴族たち」の集団は、自分たちの家族をこれほど裕福にしているシステムを改革する覚悟が本当にできているだろうか?
3つ目は、党の指導者の威光が引き続き存在していることだ。特に先日は、江氏がキングメーカーとして再び姿を表す様子がはっきりと見られた。
新たな革命
しかし、変革を求める根本的な力は下からやって来ている。中国の国民は政治に対して皮肉な態度を取っており、指導者には汚職以外にほとんど何も期待していない。だが、彼らは次第に怒りを感じるようにもなっている。
習氏は最初の演説で、党は「厳しい課題」に直面していると認め、汚職に対処しなければならないと述べた。運がよければ、これは、習氏が改革に対して単に口先だけの支持を表明しているのではなく、そうした既得権者に反した行動を取る兆候かもしれない。
中国の問題の大きさを考えると、安全第一でいくという選択肢はない。太子党の小君主たちは大胆な帝王にならなければならない。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/36589
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