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【第10回】 2012年11月16日
中国・習近平新政権発足
その性格、課題、対外政策を読む
――東京大学大学院政治研究科 高原明生教授に聞く
11月14日に中国共産党の第18回党大会が終わり、翌15日には習近平氏が、党総書記に選出された。02年から続いた胡錦涛(総書記・国家主席)・温家宝(総理)体制を引き継ぎ、習近平・李克強新体制がスタートする。東京大学大学院政治研究科の高原明生教授に、大国の自信と国内の不安定化の双方が増すいまの中国にあって、新政権はどのような性格を持ち、いかなる課題を抱え、対外政策はどう変わるのかについて聞いた。(ダイヤモンド・オンライン編集長 原 英次郎)
習新政権は安定した
権力基盤を築けるか
たかはら・あきお
東京大学大学院法学政治学研究科教授。1981年東京大学法学部卒、サセックス大学にて修士号および博士号取得。在香港日本国総領事館専門調査員、桜美林大学助教授、立教大学教授等を経て2005年より現職。在中国日本大使館専門調査員、英国開発問題研究所理事、ハーバード大学客員教授、アジア政経学会理事長などを歴任。現在、新日中友好21世紀委員会委員(日本側秘書長)、東京財団上席研究員などを兼任。主な著書にThe Politics of Wage Policy in Post-Revolutionary China (Macmillan, London and Basingstoke, 1992)、『日中関係史1972―2012 I 政治』(共編、東京大学出版会、2012年)など。
――習近平新政権が、正式に発足しました。まず、何に一番注目しておられますか。
私が注目しているのは、どれだけ習近平政権が安定するのか、そのためにどのような人事配置ができるかということです。
例えばその一つが、人民解放軍のトップである党中央軍事委員会主席のポジションを譲られるかどうかでした。それに習近平さんの呼称ですね。実は2代前の江沢民元総書記までは、中央指導部の「中核」という呼称を用いて呼んでいた。
これはケ小平さんが1989年の天安門事件の後に反省をして、党総書記と軍事委員会主席を別の人がやるのはよくないというので、それを統一すると同時に、中央指導部の中核が、だれであるかはっきりさせるために、江沢民さんを抜擢するわけです。その際「江沢民が第三世代中央指導部の中核だからな」と言い渡すわけですね。「第一世代は毛沢東。第二世代は自分、第三世代は江沢民である」と。「だからみんな言うこと聞け」、「団結しろ」というわけです。
ところが、江沢民氏はその遺訓に従わず、胡錦涛前総書記を中央指導部の中核と呼ばせてあげない。そのためもあり、胡錦涛時代にはずっと権力闘争が続いて、胡錦涛氏の権力基盤が安定しませんでした。例えば、胡錦涛さんの方に、権力がぐっと寄ったときには、対日政策上は日本に友好的になる。このように、他の政策も含めて、政権が安定するということは、中国にとって非常に重要です。そこが私が一番注目している点です。
今回の人事では、政治局常務委員のうち、胡錦涛さんに近い、いわゆる共青団系の人は李克強氏だけでした。下馬評では、あと一人か二人は常務委員になるのではないかと言われていました。実際に選ばれた顔ぶれからすると、江沢民氏の影響力が発揮されたラインアップになったと言わざるを得ないと思います。また、胡錦涛氏は中央軍事委員会主席の座をも習近平氏に譲りました。そこには、自分も完全引退するので、現役に仕事を任せ、長老が口を出すのはやめようという明瞭なメッセージがこめられているように思います。
もちろん、胡錦涛氏がまったくお手上げで辞めていくわけではありません。政治局委員には、共青団(共産主義青年団)系の有力な若手が二人入りました。5年後の党大会では、有力な政治局常務委員候補です。また、中央軍事委員会の新しい二人の副主席はどちらも胡錦涛に近い人物だと言われます。そのようなバランスの中で、習近平体制が始動するわけです。
もう一つは、胡錦涛さんが唱え始めた「科学的発展観」という考え方が、毛沢東やケ小平の思想と並ぶ、党の公式イデオロギーとして採用されたことです。党大会で党規約を改正して、科学的発展観が、党のイデオロギーとして格上げされた。
――そのことはどういう意味を持ってくるのですか。
胡錦涛さんにとっては自分の影響力を残すという点ではプラスですね。「中核」とは呼んでもらえなかったけれど、自分のイデオロギーが党の正統イデオロギーになったということで、なんとか面目も保った。
最大の課題は社会の安定
民意表出の仕組みを作れるか
――習新政権が抱える、最も重要な課題は何でしょうか。
統治上の課題は、大きく言うと社会の安定を保つことです。そのためには、いつまでも高い経済成長率が続かないことは、みな分かっているので、ソフトランディング=安定発展の軌道に経済をどう導くか。それも雇用を確保しながら。さらに、所得分配制度も改革し、環境問題も解決し、少数民族問題もうまく処理しないといけない。どれもとても大変です。
こうした問題に対処するためには、政治改革をしないといけないということを、これまでずっと言ってきたのが温家宝前首相ですね、トップの指導者層の間で、という意味では。今回の党大会でも、彼だけが大きな声で主張していました。
こうした課題をうまく処理し、社会を安定させることができるかどうかについては、実は多くの中国人は悲観的です。みんな将来に不安を抱えていて、お金持ちは海外に移民するし、不満の強い農民工は反日暴動に参加するし、心の拠り所を求めて宗教を信じる人が非常に増えている。果たして、中国は安定化に成功するのだろうか、一体どうなるのだろうか、という感じはありますね。
――政治改革を進めなくてはいけないとして、具体的には何をどういうように改革して、安定につなげようとするのでしょうか。
ひとつは民意の表出の制度化でしょうね。いま民意の表現は、インターネットに頼っているような状況です。それも大事ですが、それだけではなくて共産党と民意の間にきちんとしたパイプ、表出のメカニズムを作る。その場合、利害が衝突することも当然ある。民間同士の利害の衝突もあるし、民間と共産党の利害の衝突もある。そういう利害を調整する制度作り、そこが大事な問題です。
では、どうやるかということですが、もう25年前の13回党大会で、天安門事件で失脚した趙紫陽元総書記が、ブループリントを描いているのです。具体例を出すと、労働組合を自立させ、経営者協会を組織して、労使の間の利害調整を、話し合いを通してきちんとやらせる。要は、利益集団の組織化ですが、これが非常に重要なポイントとして設計図の中に入っていました。党が、それを復活させるという言い方はしないと思いますが、なるべく安定的に改革を進めるとすると、とりあえず方法はそれしかないでしょうね。
そういう社会集団あるいは利益集団の組織化だけでも、既得権益者からの抵抗が強くて、いままでできていない。習近平さんも、そこまでできるかどうか分かりません。それは他のどれだけの指導者が、政治改革の必要性を認識するかによります。
温家宝さんがなぜ政治改革を強く主張するかというと、総理(首相)は経済の責任者だからです。国有企業の寡占体制は崩せないし、経済的な利益はものすごく多元化、多様化してお互いに衝突する。だから、それをマネージする必要性がよく分かったからでしょう。
庶民が欲しているのは
「法治」による権力乱用の防止
――中国の場合は共産党一党支配です。政治改革といっても、共産党の中で、より自由な選挙の形で、代表を選ぶというような制度が取り入れられるのか、それにとどまらず多党制みたいなものまで、認められる可能性はあるのでしょうか。
一気に普通選挙や国民の全面的な政治参加を制度化することにはならないでしょう。それよりも、どうやって人々の基本的な権利が守られるかが問題です。要するに、利害がぶつかったときに、いまは力の強い方がその力を使って、解決してしまう。弱い方の利益を踏みつぶしているわけです。そうすると弱い方は、窮鼠猫を噛むではないけれども、暴動を起こしたりする。庶民が欲しているのは「法治」です。権力の恣意的な使用・乱用を防ぐメカニズムの構築です。
そうだとすれば、結局は民衆の政治参加を実質的に認めないといけなくなると思いますが、いきなりそこへは行けないので、まずは先ほど述べたような改革から始めるしかないのではないかと思います。
いわゆる民主化を進めるというのは、長期的な展望の下で、ということになる。そこに行き着くまでには、共産党の中で大げんかが何回もあると思います。政治改革のプロセスが、果たして平和的なものであるかどうか。多くの中国のインテリは、その点については必ずしも楽観していません。非常に大きな国なので、民主化は簡単なことではない。
民主化の一つのやり方としては、下から上へ選挙制度を持ち上げていくというということで、いま農村では民主的な選挙をやっています。次には地方政府そして最後は中央・全国的な選挙へと広げていく。これは共産党の公認の考え方です。ところが、やはりこれが難しい。票を買うような行為が蔓延しているし、結局、共産党も自分たちの候補者が支持されないことを恐れて、選挙を上のレベルに上げていかない。
だから逆に、上から下へ選挙制度を広げてく可能性はないだろうかという話もあって、5年前の党大会の時に、次の政治局委員はだれがいいかという投票――中国では民主推薦、日本語に訳すと民主的な推薦制度――実態は人気投票ですが、それをやった。今回もこの5月に、投票が行われたと言われているのですが、公式には報道されていません。
それからも分かるように、共産党は透明化と公開化については、まだまだ臆病です。前回の時だって結果は発表されていない。噂では前回、習近平さんの票が多くて、それが彼の地位を押し上げたひとつの理由だと言われています。
高成長・地方分権派vs
バランス成長・中央集権派
――習近平政権の性格はどのようなものになると予想されますか。いわゆる保守的性格が強いのか、改革に前向きなのか。
どう色分けするのかなかなか難しい。10年ほど前は、パターンが割とはっきりしていました。
一つは沿海部を中心に早い速度で成長することを好み、なおかつ中央の指示をあまり聞きたがらない地方分権的なやり方を支持するグループ、もう一つは中国の国民経済全体がバランスのとれた安定した発展を遂げた方がいい、そのためにはある程度中央集権的な、マクロコントロールの効いた経済運営方式の方がいい、というグループです。
そういうパターンは、今でも基本的にはあると思います。温家宝さんは総理として後者だった。しかし、2006年に解任された上海市・党委員会書記で江沢民系の陳良宇という人がいましたが、彼などは典型的な前者の人だった。では、習近平さんと李克強さんはどうか。中央にいて中央の立場で物を考えると、当然、国民経済全体のバランスが大事になる。もちろん成長と雇用の確保も大事です。つまり成長と分配の二つを追求しなくてはいけない。習新体制にとっては大きな課題です。
安定か成長かという政策論争は、恐らくは習・李体制の中でも続いて行くと思います。習近平さんは共産党幹部の子弟である太子党だし、沿海にある地方のリーダーも長いことやったので、成長志向型ではないかという声はあります。李克強さんは、これまでの経歴からすると、温家宝的な政策を目指すのではないかと言われています。
――短期的に習政権の性格や方向性を見極めるのは、難しい?
新政権の最初の頃は、前政権のやり方を踏襲して、そろそろと始めるとうのが通常のパターンです。2002年に、江沢民さんから胡錦濤さんが政権を引き継いだ時は、早く独自色が出てきたかなと当時は思いましたが、それでも例の科学的発展観が出てきたのは翌年の末くらいでしたから。
必要な経済界改革も
既得権益とぶつかる
――社会を安定化させることが最大の課題だということですが、今の中国はいくつもの大きな課題をかかえている。今後、利害対立が調整できずに不安定化していくのか、あるいは安定化していくのか。それを見るポイントはなんでしょうか。
温家宝さんに言わせると経済改革と政治改革は連動しているわけですが、ポイントはまず、経済改革ができるかどうかです。政治改革よりは入りやすい。ただ、必要な経済改革は、いまの利益構造に切り込むようなものにならざるをえない。具体的に言うと、国有企業による寡占体制の打破です。今は国有企業が、いろいろな重要産業を支配している。
国有企業改革については、温家宝さんは数年前から盛んに「このままでは中国経済はダメになる。効率がどんどん下がる。寡占体制では製品価格も高いし、民営化を進めないといけない」と言ってきたのですが、ちっとも実現されない。既得権益化していて抵抗勢力が強いので、改革できないわけです。
――既得権益が温存されることになると、要は富が「官」に集中していくと、庶民の不満が爆発する形で、社会が不安定になり経済成長にも影響するという可能性はありますか。
社会が不安定化する方向には向かいますね。まだ、国全体の経済レベルが底上げされている間はいいかもしれません。ただ、一昨年のある調査によると、都市の労働者の四分の一弱の人は、2006年からの5年間で、給料がほとんど上がっていない。その5年でGDPはおおよそ2倍くらいになっているのに。格差が広がるのも当然です。これは都市だけの話ですから、農村部も含めると、格差はもっと大きいでしょう。
――国家の方針としては、社会主義を標榜しているのに、正反対の結果になっている。
名に実が伴ってない。理想なき社会主義社会ですね。
外交政策でケ小平の
協調路線から転換!?
――習新政権の対外政策、特に対米、対日政策については、どうなるのとお考えですか。
習近平さんとしては、対米、対日ともうまくマネージして安定、発展させることが大事だと思うはずです。ただ、外交をめぐっても論争がある。そのひとつは、大国間関係をより重視するのか、それとも近隣諸国との関係をより重視するのか、という問題です。中国にとって、大国というのは、なんと言ってもアメリカです。いまの中国では、唯一の超大国になったアメリカとの関係を、より重視する立場が支配的ですね。
驚かされたのは、10月5日の朝日新聞に掲載された王緝思・北京大学国際関係学院院長のインタビューです。この人は胡錦濤さんのブレーンと言われている有力な国際政治学者。彼がインタビューの中で、もう韜光養晦(とうこうようかい)は現実にそぐわないと言っている。
韜光養晦というのは、低姿勢を保って協調的な外交をするという方針で、ケ小平さんが唱えたものです。これを巡って、ここ数年、共産党内部で論争になっていた。もう時代遅れだという声が出てきたわけですが、中国はまだ発展途上国なのだから、協調的な外交を続けて経済発展に専念するというケ小平のラインが主流だったのですね。
ところが、党中央は方針の変更を決めたようです。もともと穏健派の王さんが、韜光養晦はアメリカに対する姿勢を言う場合に限られる、日本やインドとの関係あるいは気候変動問題などについて韜光養晦を言う意味がどこにあるか、と明言している。彼がそういう言い方をしたということは、党の決定があったのだと思いますね。アメリカに対しては低姿勢で、そのほかの国に対しては自己主張していくと。
そう言いつつも、日本や近隣諸国とも、どうやって良い関係を築いていくのか。習政権として、非常に難しい外交のかじ取りを迫られると思います。
――尖閣諸島問題を抱えている日本とすれば、新政権にどういう姿勢で臨めばいいのでしょう。
当面の課題である尖閣の問題については、なんとか緊張を和らげないといけません。しかし、中国側が強い圧力をかけているだけに、安易な妥協や譲歩はできない。こちら側の立場は維持しながら、どうやってこの問題の沈静化を図るかは、確かに難しい。しかし、私は不可能ではないと思っています。
日本にとって何が一番いいかを考えると、現状維持でいいわけです。日本が尖閣諸島を実効支配しているわけですから。日本も中国も主権問題については、どちらも譲れない。だから主権問題については、お互いに触れない。Agree to Disagree(不同意であることに同意する)というか、立場が違うとうことは認め合い、実質的には棚上げする。
いまは中国が尖閣諸島の接続水域や領海に船をたびたび送りこんできているので、衝突など事故になったら、事態がエスカレートすることは、目に見えている。だから、中国が船を送るのをやめたら、日本としても1972年以来の状態を維持してもいいと、そのような形で合意できたらいいと思いますね。
ただ、いま中国は日中関係などどうでもいいと言わんばかりに、対抗措置を経済や文化の領域に広げ、いわば全面対決に出ています。だから、それに対しては「そんな馬鹿なマネはおやめなさい。あなた方は大国になったのだから、そういう立場を自覚して、アジアにも世界に迷惑をかけないようにふるまうべきではないか。日本で開かれたからといって、IMF総会に財務大臣も中央銀行総裁も送ってこないなんて、大国のすることではありませんよ」と、自覚を促すのがよいでしょう。
中国という国は、やはりメンツを大事にするので、「ちゃんと振る舞っていないよ、お前さん」と言われるのは、本当に嫌なのです。いつも自分は正義で、間違ったことはせず、みなのために行動していると思いたいのです。中国に限らず、いずれの大国も、非難されるばかりだとへそを曲げてしまいます。だから、そのプライドを尊重し、顔を立ててやって、自覚を促すことも大事です。
http://diamond.jp/articles/print/27948
【第1回】 2012年11月19日 塙 昭彦 [セブン&アイHLDGS.顧問]
何が起こるかわからないのが中国
心を強くし勝つ以外に解決の道はない
【日中両国への思いが語られたインタビュー】
今夏、中国に進出中の日系企業は、日系製品の買い控えやそれに伴う減産、従業員のストライキなどへの対応に追われた。北京に8店、成都に5店を展開するイトーヨーカ堂は、店舗の破壊や商品の略奪といった被害こそ受けなかったものの、中国人従業員が、中国人の顧客に嫌がらせを受けることもあったという。しかし、それを苦に辞める社員はほんの数名にとどまった。日本人幹部たちが膝詰めで中国人従業員たちと話し合い、「自分たちは誰のために仕事をしているのか?」「日本企業という場を借りているだけで、中国人の生活をよくするために働いているのではないか」と確認し合ったことが奏功したようだ。そうした風土をゼロから築いた、同社初代中国室長の塙昭彦・セブン&アイHLDGS.顧問に中国の動きについて見方を聞いた。
Q. 日系企業からは、なぜこんな目に遭わなければならないのか、と悔しがる声も聞こえてきます。
もともと、何が起こるのかわからない、それが中国です。そう思って商売をしなければいけないと思う。
先週は中国共産党全国代表大会が開催され、習近平新体制に移行するタイミングだったためか、各経済誌が中国特集を組み、チャイナリスクが大きく取り上げられていました。しかし現在の情勢下でも「右顧左眄することなく、なすべきことをなせ」という基本姿勢は変わらないはずです。
厳しい時代こそ、まず自分を変えるほかない
とかく相手が中国といえば、みな経済優先で、政治がどうなっているか、人脈をいかに確保するか等を気にしてばかり。真正面から取り組もうとしません。論語の教えに『行くに小径によらず』とあるように、裏通りでなく常に大通りを歩むべきでしょう。厳しい時代であるほど、自分を変え、会社を変え、考え方を変え、行動を変える以外ありません。
Q. しかし、今回の反日感情の高まりは従来以上に見えます。
もちろん私も、パナソニックやトヨタ自動車など、弊社以上に長く中国に根を下ろして貢献してきた日本企業までもが狙い撃ちされたことに、強いショックを受けました。
特に、中国近代化に協力してくれたと尊敬されてきたパナソニック・グループまでが襲撃されたのは、想像を超えた動きでした。かつて、天安門近くにある北京歴史博物館の展示として日本人としては唯一、(パナソニックの創業者である)松下幸之助展が開催されるなど、中国にとって非常に近しく尊敬される企業なのです。また、青島といった過去にデモなんて起こったことがない観光地でも、政府が手が付けられないほどの暴動が起こって驚きました。
識者も指摘しているように、そうした動きの背景で、ケ小平以前の時代のほうが『貧しかったけど、幸せだった』という一部の論調があり、格差や共産党の腐敗に対する不満が少しずつ高まってきているのは事実なのでしょう。
長期的視野に立って今こそ両国の交流深めるべき
そうした点も含め、昨今の尖閣問題だけを捉えてどうこうではなく、ロングスパンで物事を捉える必要があるのではないでしょうか。日中間の経済のみならず文化の交流をさらに深めていくにはどうするべきか、今こそ両国が考えなければいけない時期です。中国側も今は、上げた拳を下ろせないはず。それなのに日本国中がバタバタして浮き足立っている最近の風潮は、あまりに短絡的に思えます。
Q. 11/15に、中国人マネジメントにおける心構えや方法論をまとめた著書『中国人のやる気はこうして引き出せ』が刊行されました。
タイトルは「中国人のやる気〜」とうたっていますが、私は「日本人のやる気はこうして引き出せ」という趣旨と全く同じ内容を綴ったつもりです。海外であろうと国内であろうと、ビジネスマンの行動の原則は変わらないのだから。
中国ビジネスは、苦しいことの連続です。簡単には前に進まない。思ってもみないことが、次々に押し寄せてきます。しかし、負けてはなりません。逆境のとき、どれだけ真正面から闘って、自分に勝ったかどうか。それが問われます。自分の心を強くし、闘って勝つ以外に、解決の道はないのです。中国でビジネスをする、あるいは、しようとする多くの方々に、中国と、中国人からの信頼が得られ、大きな成功が訪れますように、そう願っています。
★次回から3回で、同書の一部をご紹介していきます!
(次回は11月20日更新予定です。)
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中国人のやる気はこうして引き出せ
ゼロから繁盛小売チェーンを築いたマネジメント術
酒やカラオケ、人脈に頼ることなく、
中国小売業で成功した秘密とは?
世界の工場から巨大市場としての存在感を増す中国。多くの日本企業が進出しながらも、慣れない商習慣や中国人社員のマネジメントに苦戦しているうえ、反日感情の高まりによる逆風にあえいでいます。
ただし、だからといって成長する中国市場への挑戦が終わることはないでしょう。厳しい環境に屈することなく、人心を掌握し、成功を掴むには何が必要なのか?中国人部下や彼らとともに働く日本人のモチベーションを向上させ戦力として育てていくための考え方と方法論について、まとめられた1冊です!
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