http://www.asyura2.com/12/china3/msg/335.html
Tweet |
中台の関係融和加速
経済協定「具体化協議を来年完了」 台湾通・習氏 政治面でも攻勢へ
【北京=山下和成】中国と台湾の関係融和が一段と加速する。中国の陳徳銘商務相は北京で開催中の共産党大会の記者会見で、2010年6月に台湾と結んだ経済貿易協定について「13年中に具体化協議を終えたい」と経済交流の早期拡大への意欲を表明。党大会後には台湾通とされる習近平・国家副主席が新総書記に就き、中台の敵対状態を終結させる和平協定締結を強く求めるなど政治面でも攻勢に出そうだ。
具体化協議の完了を急ぐのは、中台で自由貿易圏の確立を目指す経済協力枠組み協定(ECFA)。「物品」「サービス」など4分野で関税の撤廃や規制緩和を目指す。経済効果を早期に得たい台湾側が13年中の協議完了を求めており、9日の会見で中国側が受け入れを正式表明した形だ。
さらに胡錦濤総書記(国家主席)は党大会初日の8日、「両岸の和平に向けた協議を始めよう」と台湾側に改めて呼びかけた。和平協定の構想は胡政権が07年に表明したが、実現は習次期政権への宿題となる。
その習氏は台湾に近い福建省で1985〜02年まで勤務。アモイ市副市長や福建省長などを歴任し、台湾との経済交流を推進した。台湾に近い福建省・平潭(へいたん)島は昨年11月に中国政府の承認を受け、台湾との共同開発・管理を目指す「総合実験区」に指定。この承認には習氏の存在が大きかったもようで、「習時代に中台融和はさらに進む」とのイメージが膨らむ。
今回の共産党人事では福建省の孫春蘭書記の政治局員への抜てき観測も浮上。新政権では対台湾政策で習氏が福建人脈をフル活用する可能性がある。
08年以前まで対立が続いた中台関係が雪解けに転じたのは、台湾で08年5月に親中派の馬英九政権が誕生したことが大きい。台湾企業の中国大陸への進出も加速。台湾の経済部によると台湾の対中投資額は11年実績で131億ドル(約1兆400億円)。馬政権以前の07年比で35%増え、過去最高となった。
将来の「統一」を目指す中国は経済交流の次のステップとして政治面での成果を早期に得たい構えだ。
馬総統は8日、胡総書記の和平協定への協議開始の呼びかけに対し「最優先課題ではない」との談話を発表した。「中国との経済交流は必要だが、和平協定は将来の統一につながりかねない」との懸念が台湾では根強いためだ。
馬総統が慎重姿勢を取るのは昨年10月、「今後10年間で和平協定を協議・締結する可能性を排除しない」と発言した際、有権者の反発で支持率が急低下したことが背景。馬氏はもともと和平推進論者だが、与党・国民党でも「ハードルは非常に高い」(江丙坤・前副主席)との指摘が多い。
中国側には「ECFAなど経済交流で大幅に譲歩した」との思いがあり、今後は政治面での譲歩を求める構え。こうした中国側のプレッシャーをどうさばくのか。残り約3年半の任期での馬政権の手腕が問われる。
[日経新聞11月13日夕刊P.3]
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。