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引用する日経新聞の記事の締めくくりが、「いま必要なのは勇ましい発言よりも...」というものだったので期待したが、「海の警備を固めるための目に見える行動」で、「それには十分な予算と人員の手当てが欠かせない」というものだから笑ってしまった。言うなら、「いま必要なのは勇ましい発言よりも、勇ましい行動」というものでしかない結論だからだ。
海洋国家として海上警察力を強化することに異論はないが、現在進行形の尖閣諸島問題はそれによって解決されるものではない。
日中両国の警察力艦船が尖閣諸島海域で角逐状況にあることが問題なのであり、外国として問われているのは、中国の艦船をいかに“領海”から離れさせ、民間人の“強行上陸”は別として、かつてのように日本の警察力のみが及ぶ平穏な尖閣諸島にするかということである。
記事そのものも、「領土問題の存在を日本が認めるまで、中国は監視船を尖閣に送り込んでくる」という認識をベースにしており、中国政府が“実力”で領有権を奪うという認識をしているわけではない。
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[真相深層]日中、「尖閣」長期戦の様相
海の警備力、中国優位へ 大型船建造ペースに差
日中の対立が続くなか、沖縄県の尖閣諸島周辺の海域には今もひっきりなしに中国の監視船がやってくる。領海への侵犯も、やむ兆しがない。中国による強気の攻勢の裏には、日中の海上警備力が逆転しようとしている現実がある。
尖閣をめぐり、日中の空気がきな臭くなってきた今夏。野田佳彦首相のもとに衝撃的ともいえる内部報告が届いた。
「このままでは、日中の海上警備能力は2、3年以内に逆転してしまう」。ひと言でいえば、こんな内容だったという。政府はこうした状況も踏まえて急きょ、今年度の予備費を使って、4隻の巡視船の建造を前倒しすることにした。
米軍介入は回避
日本の海上警備を主に担っているのが、海上保安庁だ。領海や、経済的な主権がおよぶ排他的経済水域(EEZ)をパトロールし、外国船などが領海を侵犯しないよう目を光らせる。密輸や密航も取り締まる。
中国側でこれに相当するのが、国家海洋局と農業省漁業局、公安省など5つの機関。このうち、尖閣に姿を現すのは海洋局の監視船が多い。彼らの船が領海に侵入するたびに日本の海保が近づき、退去を求めている。
こうした日中の攻防は消耗戦の様相を呈している。「領土問題の存在を日本が認めるまで、中国は監視船を尖閣に送り込んでくる」(日中関係筋)とみられるからだ。
もっとも、中国も「今のところ、米軍の介入につながりかねない軍事対立の激化は控えようとしている」(日中外交筋)。そうなれば、情勢を大きく左右するのは、平時の海上警備力だ。
船の保有総数でみると、中国側の5つの機関は約1500隻と、日本の海保(約450隻)の3倍を超える。ただ、これには小さな船も含まれるため、単純に比べても意味がない。「中国から尖閣にやってきて長時間、活動できるのは、主に千トン級以上の大型船だからだ」(海保関係者)
この千トン級以上に限ると、海保は51隻。中国は詳しい数字を発表していないが、中国報道や資料を総合すると、約45隻との分析が多い。現状では日本が優位だ。
問題はこれからだ。「中国の国家海洋局と農業省の大型船の保有数は、2〜3年のうちに日本側を上回る公算が大きい」。この動向に詳しい防衛研究所の増田雅之主任研究官はこう警告する。
その根拠は中国の建造計画だ。中国海洋局は2015年までに千トン級以上を22隻、農業省も5隻増やす計画とされる。合わせると、中国側の大型船は2〜3年以内に72隻に跳ね上がる。
ところがこの間、日本の隻数は横ばいにとどまりそうだ。海保は14年度までに大型船11隻を配備するが、廃棄される船の更新分だからである。
5機関を相手に
それだけではない。「中国はその気になれば、本来の業務を中断し、いつでも尖閣周辺に公船をもってこられる」。海保の現場トップである警備救難監を3月まで務めた向田昌幸氏は指摘する。
領海の警備や海難救助、海での犯罪の摘発……。海保が一手に引き受けている任務を中国は5機関で分担している。消耗戦になれば、船のローテーション上、中国のほうが有利というわけだ。
米国防総省も日中の海上警備力の逆転をにらみ、影響と対策を検討し始めているという。では、日本はどうすべきか。まず中長期の計画をつくり、海保の体制を強めなければならない。
「こうした努力を怠っておきながらナショナリズムを鼓舞する言動に訴えたり、こちらから中国を挑発したりしても意味はない。尖閣の実効支配が強まるわけではないうえ、日本への各国の支持が離れかねない」(日本の安全保障当局者)
いま必要なのは勇ましい発言よりも、海の警備を固めるための目に見える行動だ。それには十分な予算と人員の手当てが欠かせない。
(編集委員 秋田浩之)
[日経新聞11月10日朝刊P.2]
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