http://www.asyura2.com/12/china3/msg/301.html
Tweet |
1つの問題が片付くと、また別の問題が出てくる───。中国全国人民代表大会(全人代、国会に相当)が重慶市の元トップ薄熙来氏を全人代から追放した26日、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)は温家宝首相一族に27億ドル(約2150億ドル)もの巨額蓄財があると報道した。
温首相は貧富格差の是正を訴えていた人物だっただけに、この報道は衝撃的だった。しかし、想定外の出来事という訳ではなく、投資家の計算を大きく狂わせるものにはならないだろう。
中国共産党の指導部交代まで2週間を切っているが、この問題が一大社会スキャンダルに発展していく可能性は小さい。中国当局による検閲はかつてないほど迅速で、NYT電子版へのアクセスは英語・中国語とも速やかに遮断された。ブロガーたちは温首相の名前を隠語に置き換えて遠回しに意見交換している。この報道の詳細は興味をそそるが、中国のエリート層が極めて裕福だということに特別驚く点はない。
今回の報道は、投資家にとってむしろ安心材料となった側面すらある。投資家の多くは、コネを持つ起業家の支援に多額の資金を投じている。プライベート・エクイティや欧米の投資銀行は、そうした人脈を知ることで、新規株式公開(IPO)前の企業への投資で数十億ドルを稼ぎ出している。
だからこそ、中国が世界最大の海外直接投資先であることには何の矛盾もない。国連の統計によれば、2012年上期の対中直接投資は590億ドルに上る。投資家が懸念するのは、型破りなシステムや内側の暴露より想定外の出来事だ。
もちろん、不正蓄財は長期的には中国経済を徐々に侵食する。米民間研究機関グローバル・フィナンシャル・インテグリティーによれば、中国では過去10年間で総額3兆8000億ドルもの大金が、資本逃避という形で国外に流出している。これは同じ期間の対中直接投資額を大きく上回る数字だ。そして、「蓄財仲間」に入れなかった一般の株式投資家などは損をしている。上海証券取引所と深セン証券取引所の株式が割安に見える理由はそれで説明できるかもしれない。
ただ、今のところ多くの機関投資家は、中国のこうしたシステムに対応できると感じており、一般投資家さえもそれに対処するための戦略を構築してきた。
今年の中国の公務員試験では、職種によって競争倍率が約9000倍に達するケースもあり、過去最多の応募者が殺到しそうな状況となっている。「権力が金を生む」というのは、中国では公然の秘密なのだ。
2012/10/29
http://jp.reuters.com/article/jp_column/idJPTYE89S01I20121029?sp=true
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。