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ヘイウッド氏毒殺の当局説明は疑問―中国法医学の権威が異議
2012年 9月 28日 10:22 JST
記事
【北京】中国の重慶市トップを解任された薄熙来氏の妻、谷開来氏によってシアン化合物で毒殺されたとされる英国人実業家ニール・ヘイウッド氏について、中国法医学の権威の一人が死因に疑問を呈した。過去数十年間で最大級の政治スキャンダル発覚の発端となった殺人事件で、中国当局の周到な公式説明とは矛盾する極めて異例の発言だ。
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Reuters
左から薄熙来氏、ニール・ヘイウッド氏、谷開来氏
中国の最高人民検察院の法医学専門家、王雪梅氏は26日、ブログ投稿で、ヘイウッド氏がシアン化合物で死んだと判断された証拠は不十分だと指摘した。谷氏がヘイウッド氏を毒殺したのではないかとの疑惑は、共産党のエリートだった夫・薄氏の失脚のきっかけになった。また谷氏はその後殺人罪で起訴され、執行猶予付き死刑判決を受けた。
中国の著名な人物やヘイウッド氏の友人は、事件に関する中国検察当局の公式説明に首尾一貫しない点があり、あいまいで脱落した部分もあると懐疑的になっている。10年に一度の共産党指導部交代という微妙な時期を数週間後に控えて、事件を処理している中国当局の信頼性が損なわれる恐れもある、と法律専門家や政治アナリストは述べている。
王氏は法医学の権威で、その業績が国営メディアから称賛されたこともある女性専門家。王氏の今回のコメントは、谷氏に対する裁判の処理をめぐって中国の一部でくすぶっている不透明感を浮き彫りにしている。
王氏は谷氏の起訴や裁判に一切関与していない。王氏は27日、インタビューに応じ、政治には関心がないが、中国の法医学専門家の仕事を擁護するため、コメントを発表する必要があったと述べた。27日までにこのブログ投稿は削除されたが、誰によって削除されたか不明。王氏は自分で削除していないと述べた。
王氏はこのインタビューで「わたしは決して後悔を残さないように望んでいるだけだ。政府の問題ないし政治には関心がない」と述べ、「わたしが知っているのは、自分がプロの法医学専門家だということだけだ」と語った。
法律活動家やその他の専門家は、ヘイウッド氏殺害事件の当局の説明に疑問を抱いているが、王氏のような中国司法制度への関わりが極めて強い人物が政治的に微妙な事件に憂慮の意を示すのは異例だ。
谷氏は8月、夫の薄氏が党のトップを務める重慶市のホテルで昨年11月にヘイウッド氏を殺害したとして起訴された。
その後、司法当局と国営メディアは、谷氏がかつて薄一家の信頼できる友人だったヘイウッド氏を殺害したと発表した。一家の使用人だった張暁軍受刑者も殺人に関与したとして有罪判決を受けた。
これについて王氏は、谷氏がヘイウッド氏を殺害したこと自体は疑っていないと述べた。
ただし、ヘイウッド氏がシアン化合物の中毒で死んだと結論するには証拠不十分だと指摘。シアン化合物を盛られたとすればヘイウッド氏の体には極端な急性毒物反応が出るはずだが、法廷に提出された情報には、そうした反応を示したくだりがなかったと述べた。
王氏はブログで「この事実は、全体について人々を懐疑的にさせる」と述べ、「『シアン化物』がヘイウッド氏の口に注がれたあと、同氏はシアン化物中毒に呼応した反応が一切出ていなかった」と書いた。
王氏は、ヘイウッド氏が検察当局の言うように、本当にシアン化物で殺されたのならば、ほとんど即座に死亡する公算が大きいと述べた。新華社通信によれば、谷氏は裁判で、ヘイウッド氏殺害にあたってシアン化物が用いられたとの検察当局の主張に異議を申し立てなかった。
王氏は、ヘイウッド氏毒殺事件に関する政府の公式説明に疑問の声を上げた中国で最も著名な人物の一人となった。王氏は最高人民検察院で働く数少ない女性法医学専門家として卓越した役割を果たしているとメディアで時々紹介されている人物。それだけに、中国政治の微妙な時期に出された王氏の今回のコメントは印象的だ。
例えば国営英字紙チャイナ・デーリーは2010年の人物紹介で、王氏を「立派で、気品があり、勇敢だ」と表現していた。記事は、王氏の検死の仕事が犯罪者を追跡して処罰する上で決定的になっているとしていた。
インタビューに応じたヘイウッド氏の友人たちもまた、検察当局の公式説明の一部に疑義を呈している。とりわけ、ヘイウッド氏が薄氏と谷氏の息子を脅していたとのくだりが疑問だという。
中国政府と司法当局は、谷氏の裁判について、法的な手続きに厳密に沿って実施するよう腐心してきた。これは、薄氏と谷氏に対する一件には政治的な動機があるとの人々の懐疑的な見方を払拭するためだ。政府の公式説明に欠陥があれば、谷氏は公正な裁判を受けたとの当局の主張が揺らぐ恐れもある。
記者: Brian Spegele
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薄熙来氏、中国共産党から除名
2012年 9月 29日 8:36 JST
【北京】中国国営通信の新華社は28日、薄熙来氏が中国共産党から除名され、多額の収賄、妻の英国人殺害事件の捜査に関する職権乱用、複数女性との不適切な関係などに対し「公正な裁き」を受けるだろうと報じた。
同通信社はまた、10年に1度の指導部交代が行われる18回党大会は11月8日に開催すると伝えた。
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Associated Press
薄熙来氏(3月)
この2つの同時発表は、中国共産党指導部が今後10年間の次期指導者について大筋合意したことを示唆するものだ。これまで指導者の世代交代時期の発表が遅れてきたのは薄氏の処遇をめぐって党内部で意見の食い違いが生じていたためと思われていた。薄氏は一時、共産党内部で昇進が有力視されていたが、今年3月に重慶市共産党トップの職を解任され、失脚している。
国民の間では、汚職と職権乱用、党幹部の多くが贅沢な暮らしをしていることなどに対する反発が広まっており、党幹部は薄氏に対する告発内容を明らかにすると同時に指導部交代の時期を発表することでそれらに関するメッセージを国民に向けて発信しようとしているようだ。また、今回の発表は、そうした問題が中国共産党の政権維持にとって直接的な課題となっていることを認める格好となった。
新華社は「いかなる汚職も、党および国の法制度による懲罰を免れることはない」とした上で、薄氏の行為は「党と国家の評価を大きく傷つけ、国内外に深刻な影響をもたらした」と報じている。
また、薄氏の違法行為は1993年から2001年まで大連市市長だった時期まで遡り、遼寧省省長、商務部部長、重慶市委員会書記といった党の要職を経る間、継続的に行われていたとし、「深刻な過ちと党規律の深刻な違反を犯した」と伝えた。
さらに、薄氏は職権を乱用して巨額の賄賂を直接、あるいは親族を通して受け取り、「公務員の地位を利用して重大な過ちを犯した」としている。
中国共産党は、薄氏妻の谷開来受刑者の殺人事件捜査や、重慶市元公安局長の王立軍受刑者が今年2月に米領事館に駆け込んだ件に関し、薄氏の行動について説明を受け、「この2件に関する薄氏の過ちと責任、ならびにこの2件の調査過程で明らかになったその他の規律違反の可能性に基づき」同氏の処分を決定したという。
中国ではそのような重大な嫌疑をかけられた場合、被告は極刑も含めて厳罰の対象となる可能性がある。
妻の谷受刑者は先月、英国人実業家のニール・ヘイウッド氏殺害の罪で、一方王受刑者は今月、収賄と職権乱用に加え、谷氏の罪を当初隠蔽しようとして「利己的な目的のために法を歪曲した」罪でそれぞれ有罪判決を受けている。
薄氏の所在は不明だが、何らかの形で拘留されていると考えられている。同氏からのコメントは得られていない。
新華社は同氏が「複数の女性と不適切な関係」をもったと報じたが、詳しくは説明していない。
人民大会では胡錦濤国家主席やその他68歳以上の共産党指導部が引退し、習近平副主席が国家主席として選ばれる予定だ。11月1日には通常通り人民大会に先立って370名の代表が集い、中央委員会総会が開かれる。
今年の人民大会は国内外から前例のないほど注目を浴びてきた。薄氏をめぐる疑惑に加え、経済が鈍化し、都市部の中流階級が政府の透明性や説明責任を求めるようになるなか、社会の安定性維持に向けて懸念が高まっていたためだ。過去3回の人民大会(1997年、2002年、2007年)の日程は9月初旬頃に発表されていたが、今年は新世代の人選や薄氏に関する問題によって発表が遅れていた。
今年の指導部交代を控えた中国の政治は、2月に成都市の米総領事館に駆け込んだ王氏が、谷受刑者がヘイウッド氏を殺害した証拠があると告げたときから混乱に陥った。
4月には薄氏は党の要職から解任され、「深刻な規律違反」の疑いで調査が始まった。当局はまだ、裁判をするのか、党内部で同氏の処遇を決定するのかは発表していない。
さらに、尖閣諸島の領有権をめぐる日本との緊張の高まりや、今月始めに習氏が2週間姿を消したことなどで指導部交代の準備はさらに複雑なものとなった。党関係者や習氏の家族に近い情報筋は、同氏は水泳中に怪我をして2週間療養していたと述べている。
党内部で現在ナンバー6の座にある習氏は、人民大会でに胡錦濤主席の後継者に選ばれ、来年3月に開かれる全国代表大会で正式に国家主席に就任すると広く予想されている。
ただし、党関係者や中国軍部に詳しい専門家によれば、中国軍隊の最高司令官である中央軍事委員会主席という第3の要職も人民大会で習氏が継承するのかどうかという点についてはそれほど確かではない。
胡主席は当初、中央軍事委員会主席からも退く予定だったが、薄氏をめぐる政治的な混乱や日本との緊張の高まりを考慮し、あと2年間留任する可能性もあるという。前任者の江沢民氏も2002年に国家主席を退いた後、2年間中央軍事委員会主席を務めた。
党関係者によると、現在党内ナンバー7の李克強副首相はナンバー2またはナンバー3の座に昇進して経済を担当し、3月の全国代表大会では温家宝首相の後継者になるとみられている。
ほかに全国人民代表大会常務委員会で指名が確実なのは、現在財務を担当している副首相の王岐山氏と、党内の人事異動を取り仕切り、指導部交代のロジスティクスでも重要な役割を果たしている中央組織部長の李源潮氏だ。
最近になって、政治評論家の間で、常務委員会の新たなメンバーの顔ぶれとその役割を記載したいくつかのリストが出回っている。
多くの党関係者や政治アナリストらは、新たな常務委員会は現在の9名から7名に縮小することで合意があったとみているが、党関係者によれば交渉はまだ続いており、間際になってコンセンサスが変更される可能性もあるという。
記者: Jeremy Page
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