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尖閣問題にオバマ政権が無関心なわけ 中国は本当に日本の脅威? 米「中国は最も危険な国」  中国政府に高まる弱腰批判
http://www.asyura2.com/12/china3/msg/247.html
投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 21 日 11:51:22: cT5Wxjlo3Xe3.
 


尖閣問題にオバマ政権が無関心なわけ

2012年9月21日(金)  菅原 出

 尖閣諸島をめぐる中国との対立が激化している。

 尖閣で日中が対立すると必ず、「困った時の米国頼み」で、「尖閣諸島は日米安全保障条約第5条の適用対象になるのか」と大騒ぎし、

米政府高官が「対象になる」との認識を示すと安心する傾向が、われわれ日本人には少なからずあるようだ。9月17日には、レオン・パネッタ米

国防長官がアジア太平洋歴訪の最初の訪問国として日本を訪れ、記者会見でこのいつもの質問を受け、

「これらの島に関する米国の政策は明確に知られているところでありまして、当然のことながら私どもの条約に基づいた義務を遂行して、これは

長年の間、そうでありましたし、変わっておりません」

 と述べていた。

 これを受けて日本のメディアの中には、尖閣周辺での日米合同演習などを提案するところもあるようだが、尖閣をめぐる中国との対立におい

て、米国からの過度なサポートを期待するのは誤りだ。

 米国は「条約に基づいた義務」すなわち、日本が「武力攻撃」を受けた場合にはその防衛のために動く義務が生じるが、中国が「武力攻撃」

に該当するような行為を行わず、じわじわと尖閣の実効支配を確立するような行動をとっていった場合、日本のために介入するようなことはない

と考えられるからだ。少なくともそのような条約上の義務はない。

尖閣問題にオバマ政権が無関心なわけ

 「日本は尖閣諸島を有効に支配しており領有権問題は存在しない」というのが日本政府の公式な立場である。一方の中国は、尖閣諸島

を台湾の付属島嶼と位置付けており、「尖閣諸島は日本が日清戦争を通じて掠め取った」ものなので、「台湾を解放し、尖閣諸島を(台湾

の付属島嶼として)回復する」と宣言している。

 これに対して米国は「領土問題においては中立」という立場をとっている。先日訪日したパネッタ国防長官も、

 「米国の政策というのは、このような相対する主権に関する紛争においては肩を持たない、立場を明確に取らないということであります。私ども

は平和裏にこの問題を解決して欲しいと期待しております。もちろん、現在その管轄に関する領有権に関する違いが双方にあるということは承

知しておりますが、外交的な手段を双方が活用することによりまして、何とか建設的にこれらの問題を解決していただくことを望む次第でありま

す」

と述べていた。

 日本政府は「領有権問題は存在しない」と主張しているが、この日本政府の立場は明確にパネッタ長官に否定されてしまっている。「領有

権問題は存在する」「これに関して米国は一方の肩を持たない」と同長官は述べているのである。この事の意味をわれわれはもっと深刻に受け

止めるべきではないか。

 日本の識者の中には、「米国は中国の封じ込めを狙っている」、中国のいわゆる「接近阻止・領域拒否(A2AD)」能力を警戒し、「エア・シ

ー・バトル構想を進めている」、「日米同盟を重要視している」、だから日本を助けてくれるはずだ、と過度に米国に期待し、日米同盟さえ強化

しておけば大丈夫、そんな風に考える風潮があるように思える。

 もちろん、米国防総省の特にアジア太平洋地域を担当している人たちは中国を警戒しているし、沖縄や尖閣諸島の戦略的重要性を十分

認識しているのだが、だからと言ってホワイトハウスが、同じように尖閣問題を、米国の安全保障の観点から戦略的に考えているか、というと残

念ながらそうではない。米国の外交・安全保障政策にとって中東やアフガニスタンの優先順位の方が圧倒的に高く、日本の「領土問題」など

二の次かそれ以下の扱いに過ぎない。

 試しに米国の主要紙を見ても、先日のリビアでの米大使の暗殺にみられるアラブ・イスラム諸国での反米運動の高まりやアフガニスタンでのテ

ロが外交・安保分野のニュースのトップを占める。

 アフガニスタンでは連日のように米軍基地が襲撃され、米兵が殺害されたり、米軍の航空機が爆破されるようなテロが相次いで起きている。

オバマ政権はパキスタンやイエメンでも無人機によるテロリスト殺害作戦を実施している。シリア内戦も泥沼で、このままでは中東全体に波及し

て米国自身も介入を余儀なくされかねない。イランの核開発も着々と進行しており、イスラエルは「早く止めないと手遅れになる」とイラン軍事

攻撃を示唆してオバマ政権に圧力をかけている。

 そしてそんな中で、何よりもオバマ大統領にとって大事な大統領選挙がもう目前に迫っている。正直、尖閣問題どころではないだろう。9月17

日の米国務省のデイリー・ブリーフィングは、そんなオバマ政権の無関心ぶりを象徴していた。同省のヴィクトリア・ヌランド報道官は、アラブ諸国

における反米デモについて説明した後、記者の質問に答えて、パキスタン、リビア、エジプト、スーダン、シリア、イランやミャンマーについて触れたの

ち、日中間の対立について質問を受け、「対話を通じて問題に対処するよう助言を続ける」とだけ短く述べた。

 しかも、それまでは尖閣諸島をめぐる日中対立に関する質問には答えないという姿勢を示しており、この日はパネッタ国防長官が訪日中だっ

たこともあって、渋々この一言だけコメントしたのである。

 オバマ政権にとっては、とにかく大騒ぎにして欲しくない、エスカレートだけはさせて欲しくない問題に過ぎないのである。

現行法では中国の公船を「追っ払え」ない!

 そんな中、中国は「釣魚島領域海域地図」を国連の藩基文事務総長に手渡し、「領土問題が存在する」事を国際的に認知させ、同時に

自国の主張の正当性を宣伝する外交戦を展開している。さらに中国の農業省漁業局所属の漁業監視船「漁政」や国家海洋局所属の海

洋監視船「海監」を尖閣諸島周辺の海域に送り込み、日本の領海にも侵入させている。中国の公船の活動を活発化させることで、この海域

が自国の領海であるとの既成事実を積み上げていく狙いがあるのかもしれない。

 一刻も早く、中国の公船に日本の領海内で自由な活動をさせない措置をとらなければならない。日本の政治家の中には「さっさと追っ払え

ばいい」と言った無責任な発言をする人もいるが、現状では外国の公船を「追っ払う」ための法律がない。そのことを認識し、早急な法整備を

進める必要がある。

 現状では、中国の漁船が領海に侵入した場合、海上保安庁は「退去命令」を出すことはできる。本来、「命令」に従わない場合、「命令に

従わせる」という強制力が伴わなければ「命令」にならない。しかし、現実に海上保安庁にはそのような権限が与えられておらず、命令の体をな

していない。

 船舶には他国の領海内を「無害通航」することが海洋法条約で認められている。これを担保するための国内法が「領海等における外交船

舶の航行に関する法律」である。外国の船舶が「無害」で領海内を「通航」するように監視、誘導するための法律だ。

 この法律に従えば、例えば外国の漁船が領海内にいる場合は、立入検査をした後に退去命令を出すことが出来る。先日この立入検査を

省略できる法律が成立した。もちろん、外国漁船が領海内で違法漁業をしていれば「漁業法」違反で検挙することができる。

 しかし、中国漁船が退去命令を無視して居座り続ける場合、海保は手が出せない。というのも、海上保安庁法で武器の使用は、「重大凶

悪犯罪(死刑又は無期もしくは長期3年以上の懲役もしくは禁錮にあたる凶悪な罪)の疑いがあること」となっており、上記の「領海等における

外交船舶の航行に関する法律」も「漁業法」もこれに該当しないからである。

 つまり、現行法の下では、領有権主張活動は「重大で凶悪な犯罪」には当たらず、その結果、海上保安官たちは「正当防衛」か「緊急避

難」でしか武器を使えないようになっている。

 さらに中国政府の漁業監視船のような公船の場合は、「領海等における外交船舶の航行に関する法律」の適用外とされているばかりでなく

、そもそも海上保安庁の武器の使用の対象として認められていない。海上保安官の武器の使用とは、警察行為、すなわち私人の犯罪に対

するものであり、罪を犯した私人を法の裁きにかけるための一手段と考えられている。公船やもちろん軍艦の行為は私人のそれではなく国家に

よる行為である。だからこれらの法律の対象とはそもそもなっていないのである。

公船に対して「強制力」を発揮できる法体系をつくれ!

 「海上保安庁で対処できない場合、海上自衛隊がいるではないか」と思うかもしれない。実際「海上警備行動」の発動を主張する政治家

も多い。しかし、自衛隊が出てきたところで対処できない状況に変わりはない。海上自衛隊は「海上警備行動」の下で行動するが、海上警備

行動による自衛隊の武器の使用も警察官職務執行法に準じているため、武器を使用できる条件は海上保安庁と全く同じだ。つまり、「武器

は強力になっているが、それを使える条件」は変わらないのである。

 つまり、「海上警備行動」の下では、本来自衛隊が持っている強烈な強制力を発揮することはできないようになっているのだ。もちろん、海上

自衛隊が行動するための法的根拠としては「防衛出動」もあるが、これは戦争を意味する。戦端を開いてしまったが最後、どこまでエスカレーシ

ョンするか分からないので、発動までのハードルは限りなく高い。

 こうみていくと、海上保安庁も自衛隊も領海内に侵入した外国の公船を有効に退去させることのできる強制力を持っていないことがご理解い

ただけるであろう。もちろん巡視船も自衛艦も砲や機銃を有しているが、使える場面があまりに限定され過ぎているため有効な強制力の体をな

していないのが現実なのである。

 このため、外国漁船に対しては「命令」はするものの武器を使った強制力は行使できず、軍艦や外国公船に対しては「命令」さえできず、ただ

「退去要求」という「お願い」をするしか出来ないのが実態だ。これでは、この海域に侵入を繰り返す中国の公船には対応が出来ない。

 今、早急にやるべきことは、外国の公船に対して強制力を発揮できるように法体系を変えることである。今回の中国の公船や漁船の活動は

、海洋法条約が定める「無害通航」には明らかに該当しない。このように明らかに領土と主権を侵害している(あるいはその目的で行動してい

る)という勢力に対しては、警察権でもなく、防衛出動でもなく、その中間に位置する法体系を新たに設けて対処する必要があるのではないか

。それにより公船に対しても漁船に対しても、海上保安庁法でも海上警備行動でも「強制力」のある対応が可能なようにすれば、結果的に相

手に対する抑止力も向上するはずである。

 と同時に「領有権問題は存在しない」などと念仏を唱えているのではなく、米国を含めて国際的に日本の立場の正当性を訴える本格的な

広報外交を展開して行かなければならないだろう。自民党政権時代も含め、こうした不断の努力を怠ってきたツケが今やってきているのである。

広報外交で気になるもう1つのこと

 広報外交と言えば、最近もう1つ気になることがある。

 先日、中国系の活動家が魚釣島に上陸した際に、中国漁船がメディアを同乗させライブで中継をしていたことだ。今後、例えば海上保安庁

の巡視船と中国漁船が衝突するような事態になり、そのショックで激しく揺れる船内の様子や、それで誰かが怪我をしたり、乗り込んできた海

上保安官と活動家がもみ合いになり、はずみで怪我をしたり船橋のガラスが割れたりする映像が、世界に向けて実況中継される可能性があ

るという事である。

 そうなれば活動家が勝手に海に飛び込んだのにあたかも海上保安官に突き落とされたり、あるいは自分で巡視船に衝突させた上にあたかも

巡視船がぶつかって来たように撮って海に落ちて見せる、さらには極度に怯えて助けを求めて見せるなど、日本側にマイナスになるように意図され

た映像を流すこともできるという点だ。

 海上保安庁の巡視船も証拠採取のために撮影をしているが、相手船の中までは映せないし、四方八方から撮れる訳でもない。前回尖閣

に上陸した活動家たちが、外国や中国国内に向けた宣伝戦のためにメディアを同乗させてきたことから考えて、今後はさらに多くのメディアを漁

船や公船にまで同乗させてくる可能性が高い。中国は、政府レベルの外交に加えて、この種の宣伝・プロパガンダ戦も総力を挙げて行ってくる

と覚悟すべきである。

 もちろん日米同盟は日本の安全保障の要だ。しかし、尖閣諸島をめぐる中国との問題に関しては、いつもの「困った時の米国頼み」で済む

ような話ではない。中国はあらゆる手段を講じた総力戦を仕掛けてくるのに対し、日本は法的にみても穴だらけである。自分たちで自国の領土

を守る強い決意を持ち、ここで提示したような具体的な対応策を1つ一ひとつ早急にとっていかなければならない。


菅原 出(すがわら・いずる)


1969年、東京生まれ。中央大学法学部政治学科卒。平成6年よりオランダ留学。同9年アムステルダム大学政治社会学部国際関係学

科卒。国際関係学修士。在蘭日系企業勤務、フリーのジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英危機管理会社役員などを経て、現在

は国際政治アナリスト。会員制ニュースレター『ドキュメント・レポート』を毎週発行。著書に『外注される戦争』(草思社)、『戦争詐欺師』(講

談社)、『ウィキリークスの衝撃』(日経BP社)などがある。


隠された戦争

この10年は、まさに「対テロ戦争の時代」だったと言って間違いないだろう。そして今、この大規模戦争の時代が「終わり」を迎えようとしている。

6月22日、オバマ大統領がホワイトハウスで演説し、アフガニスタンから米軍を撤退させる計画を発表したのである。
米国は一つの時代に区切りをつける決断を下したが、イラクもアフガニスタンも安定の兆しを見せておらず、紛争とテロ、混乱と無秩序は、世界

のあらゆる地域に広がっている。そして東アジアでは、中国という大国が着実に力を蓄え、米国の覇権に挑戦し始めたかに見える。
無秩序と混乱、そしてテロの脅威が拡大し、しかも新興国・中国の挑戦を受ける米国は、これから限られた資源を使ってどのような安全保障

政策をとっていくのだろうか。ポスト「対テロ戦争時代」の米国の新しい戦争をレポートする。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120920/237052/?ST=print

【第2回】 2012年9月21日 
中国は本当に日本の“脅威”となったのか
――防衛省防衛研究所・増田雅之主任研究官に聞く
経済力の増大を背景に、中国の軍事費は毎年大きな伸びを見せている。安全保障の観点からみて、果たして中国は日本の脅威となったの

か。防衛省防衛研究所・増田雅之主任研究官に、この40年間に生じた中国の変化を踏まえ、我が国はどう対応すべきなのかを聞く。

脅威とは意思と
能力の掛け算


ますだ まさゆき/慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科単位取得。上海大学客員研究員、東京女子大学非常勤講師など経て、

2010年から現職。専門は中国の外交・安全保障政策、アジア太平洋の安全保障。最近の著作に、『アジア太平洋の安全保障アーキテク

チャ』(共著、日本評論社)、『中国 改革開放への転換』(共著、慶應義塾大学出版会)、『日中安全保障・防衛交流の歴史・現状・展望

』(共著、亜紀書房)などがある。
――日中国交正常化してから、40年がたちます。この間、中国の安全保障に対する姿勢はどう変化してきたのでしょうか。ズバリ言って、中国

は日本にとって、脅威と言えるのでしょうか。

増田 40年前の1972年の段階で、軍事的な意味で中国が安全保障上の脅威を日本に対して構成してはいませんでした。

 もちろん、日本は核兵器を持たず、中国は核兵器を保有していたという能力の違いはありましたが、脅威とは能力と意図の掛け算です。

1972年当時は、中国にとって最大の敵・脅威はソ連だと認識していて、アメリカや日本も含めて、ソ連に対する統一戦線を組むことが政治的

な意図で、こうした中国と日本は国交を正常化しました。したがって、意図の面で、中国が日本に対して軍事力を行使する可能性はほとんど

ありませんでした。能力の面でも、文化大革命に伴う混乱が長く続いた結果、通常戦力の近代化はほとんど実現されていませんでした。

 それが40年経った今、「中国が脅威を構成しているのか」と問われれば、意図と能力ということですから、なかなかそう簡単に判断はできませ

ん。しかしながら、能力の面での中国の軍事力の近代化は急速に進んでいます。軍事力の近代化の進展がどういう中国の意図を示している

のかについて、日本のなかで警戒感が高まっています。この10年、例えば、日本の防衛白書あるいは防衛大綱の中で、中国の軍事動向に対

して注目、懸念、懸念事項という言葉が使われていることも、日本における対中警戒感の高まりを示しているのだろうと思います。

脅威とは断言できないが
警戒感は高まっている

――そう判断する背景には、どのような変化があったのでしょうか。

増田 日本側の大きな感覚の変化の背景には、やはり中国の大国化がある。一つが経済面で、中国の存在が大きくなってきたということです

。2010年にはGDP総額で、中国が日本を超えた。これだけを見れば、日中がようやく経済面で対等になっただけですが、将来的な見通しを

考えると、中国経済は相対的に高い成長率を維持しており、経済的なパワーバランスで言えば、日中対等の時代は余り長くは続かないでしょ

う。中国にどんどん差をつけられていくという感覚が日本の中にある。

 言い方を換えれば、中国への経済的な依存というものが高まっていることに対する、一種の不安感がある。その不安感を高めたのが、2010

年9月の尖閣事件後の中国の対応でした。中国はレアアースの実質的な対日禁輸措置を取ったりして、高まる国力を外交上のレバレッジ(テ

コ)あるいは圧力に使うという動きをみせた。そのことで経済的なパワーバランスが中国有利に傾く中で、日本の取り得る選択肢が限定されるの

ではないのかという不安が出てきたと思います。

 もう一つは、やはり尖閣事件で、あのときには人民解放軍自体はほとんど動いてはいなったのですが、先に述べた様々な圧力や船(巡視船)

と船(漁船)がフィジカルな意味でぶつかったということもあって、中国は軍事的な措置も取り得るのではないのかという「感覚」が高まったと思い

ます。

 そういう感覚が出てくるのは、何よりも中国の海軍力の急速な増強というものが、我々の目の前にあるからです。これは2008年以降だと思い

ますが、中国海軍の艦艇が編隊を組む形で日本の周辺海域で訓練・演習を実施するようになっており、それが「常態化」している。さらに能力

的には象徴的な意味しかないと思いますが、空母・ワリヤーグも正面に出てきている。


http://diamond.jp/mwimgs/4/7/-/img_47771465aacd65bfebc8918a0fd0934e103132.gif


 加えて、航空戦力の増強も進展しています。J-10やSu-27、Su-30という中国の第4世代戦闘機については、数で言うと、日本が保有して

いる同世代の戦闘機の数を上回っています。その結果、昨年度の航空自衛隊による中国機へのスクランブル(緊急発進)は156回に達し、

過去最高となっている。

 このように海、空における戦力の増強が、今我々の眼前に出てきた。この能力を我々として、どう捉えていくのか。もちろん、中国が日本に対

して軍事力を行使することは、このグローバル化した世界では中国にとっても致命傷になるし、日米同盟に限らず、この地域におけるアメリカの

軍事的プレゼンスが強化されている中で、アメリカを敵に回す可能性もあり、ハードルは高い。

 したがって、中国が軍事力を行使することは、意思という面ではそう簡単な選択肢ではないでしょう。ですから、中国が今日本に対して脅威を

構成しているとは言えないけれども、国交正常化から40年後の今、明らかに中国に対する警戒感が高まっているとは言えます。

海洋進出強化にある
中国の4つの狙い

――防衛研究所の『中国安全保障レポート2011』でも、中国の海洋進出ついて、詳しく分析をしていましたが、中国の狙いを、どう考えれば

いいのでしょうか。

増田 第一に、主権や領土をめぐる問題が海に存在しており、中国は主権主張を強めています。

 二つ目が、海上交通路の安定確保です。中国が持続的な経済発展を遂げるためには、エネルギー確保というものが絶対的に必要になって

くる。しかし、中国は石油などの重要資源の対外依存を高めており、海外からそれを安定して運んでこなくてはならない。

 三つ目が、二つ目と関連しますが、中国が主権を主張している海域で、資源開発を進めたいということ。特に、南シナ海における資源開発

が重視されています。

 四つ目は軍事的な側面です。これは主権問題と大きく関わってくるのですが、台湾問題はまだ解決はしていないということです。台湾問題の

解決のために、経済や政治面で中台関係の改善も進めているが、中国にとっては、やはりアメリカの軍事介入の可能性を低下させたいと考え

ています。

 95年から96年にかけて、中国が独立傾向を強める台湾に対して、ミサイルの実射を含む一連の軍事演習をやり、台湾の総統選挙に圧力

をかけました。そのとき、アメリカが、二個空母機動群を台湾付近の海域に派遣したために、中国は軍事演習の継続を断念しました。

 中国ではこの出来事に対する反省が極めて強い。中国に言わせれば、台湾を「回収」するためにアメリカの軍事介入を防ぐことが重要で、そ

のために台湾からより遠い海域で中国の軍事力を展開させたり、アメリカの艦艇などへの攻撃能力を高めることによって、アメリカの接近や介入

を拒否しようとしています。これが今、中国の軍事戦略や海軍戦略の根幹にあります。

 そういう意味で、海というものが、今後の中国の国家戦略の中で、極めて大きな意味を持ってくるというのは明らかで、中国政府自身も海洋

戦略の策定に取り組んでいます。

――日本の尖閣列島国有化の決定を受けて、中国では大規模な反日デモが起き、両国の関係は非常に悪化しています。

増田 尖閣を巡る問題が危機を拡大させることを、中国政府は懸念してきました。しかし、これは中国にとっても「主権」の問題ですから、原則

的なところで問題が大きくなると、妥協を許されなくなります。温家宝総理は、主権や領土の問題で中国は「半歩たりとも譲歩しない」と強調

しています。さらには国内世論が相当ナショナリスティックな方向に動いています。

 したがって、問題が顕在化した今、中国は尖閣諸島に対する「主権」の主張やその擁護活動を強化する方向に動いています。中国国内で

は、日本政府が尖閣諸島を国有化した今、人民解放軍の投入も必要との議論も高まっています。しかし、そうなれば、事態のエスカレーショ

ンは避けられない。となると、問題のエスカレーションを可能な限り回避しつつ、主権主張や擁護活動を展開しなければならない。これは極めて

困難な政策でしょう。ここで重要になるのが、レポートにも書いていますが、海上法執行機関で――日本でいう海上保安庁――その「法執行」

活動です。

偶発的な事故による
危機の可能性が高まっている

――海上法執行機関とは、具体的にはどのようなものですか。

増田 いわば海上治安部門ですね。日本の場合は、海上治安部門は基本的に海上保安庁に一本化されている。一方、中国の場合は一

本化されておらず、海上で法執行をする機関が5つもあります。

 一つが中国公安部の傘下にある「海警」。もう一つが、中国の排他的経済水域(EEZ)を含む管轄海域での法執行を行う国家海洋局傘

下の「海監」。さらには、漁業資源や漁民の保護を担う農業部漁業局の「漁政」。交通運輸部の直属部門である「海巡」。それに税関部門

の機関である「海関」です。

 軍事力を使って主権を主張いくと、対立をエスカレーションさせる可能性があるので、当面はそれはやらない。しかし、主権を守らないといけな

いから軍事力以外の手段を使うというときに、この5つの法執行機関をどう使うのかということになる。尖閣問題でもこの活動が我々の前面に出

てきています。

 日本政府による尖閣諸島の国有化後、海監と漁政という2つ法執行機関の動きが今活発化している。さらにここを使うことによって、主権の

及ぶ島嶼や海域で「法執行」しているという建前が整う。中国としては、この2つの機関のパトロール活動を強化し、常態化させる可能性が高

い。加えて、最近この海監の巡視船は急速に大型船の数が増えているし、新しい船には夜間運用も可能なヘリコプターを搭載できます。

 ここで問題になるのは、すでに生じていますが、海監などの巡視船が日本の領海を侵犯する頻度が高くなるだろうということです。また、それら

がヘリコプターを搭載すれば、領空侵犯も生じ得ます。こうした状況にどう対処するのか。

 これまで、日本と中国の防衛当局はホットラインを含む海上連絡メカニズムの構築について話し合いを進めてきました。報道によれば、話し

合いはかなり進んでいるようです。他方で、これら中国の海上法執行機関との連絡メカニズムはほとんどないのが現状でしょう。海監や漁政と

いう海上法執行機関の活動が活発化する中で、危機管理の相手も人民解放軍だけではありません。多層的な危機管理メカニズムの構築

が不可欠といえます。

――よく日本の保守派の人の中には、中国は今回のように大漁船団でやってきて、それが追い返されると、次は漁民保護の名目で法執行機

関が出てきて、最後には人民解放軍がでてきて、実効支配にまで持っていくという見方をする人がいますが……。

増田 もちろんその可能性は否定できないでしょう。現時点では、日本が尖閣諸島を実効支配しているからといって、中国がこれをよしとするこ

とはあり得ない。海監の責任者は日本の実効支配を打破していくと述べています。長期的に日本の実効支配をどうやって弱め、最終的に中

国の主権主張をどう具体化させるかを中国は考えており、それにはいろんな手段がある。

 先ほど述べた、海監や漁政の活動のほかに、中国が主権を主張するが海域で、主権行使としての資源開発を進めることもあり得ます。これ

には石油や天然ガスだけではなく、漁業資源も含まれます。また、漁業活動を認めることも手段の一つです。さらに、経済活動や漁業活動を

保護する活動を、何度も申し上げている法執行機関が実施することによって、主権が及んでいることをアピールする。最終的には軍事的な手

段も中国の道具箱の中にはあるでしょう。

 中国政府は漁民や漁船を使うこともできます。例えば2009年3月に南シナ海でインペッカブル事件というのが起こりました。アメリカ海軍の情

報収集艦・インペッカブル号に対して、ここは中国の管轄するEEZ(注)だから中国の許可なく活動できないとして、妨害行為を行いました。そ

こには海軍、海監、漁政とともに中国のトロール漁船2隻がいたわけですが、それはたまたまその海域にいたというのではなく、南シナ海を管轄す

る漁政部門が漁船に対して現場海域に赴くように指示を出していました。

(注)EEZ(排他的経済水域)=国連海洋法条約に基づいて設定される経済的な主権がおよぶ水域のことを指す。自国の沿岸から200海

里(約370km)の範囲内。経済的な主権に限定される一方、他国の船は自由航行ができる。

中国の軍事力行使の
コストを高める

――経済発展に伴い、中国の軍事費は毎年大きく伸びています。しかも、海洋進出の強化に伴い主権が絡んだ厄介な問題が起きています

。日本の安全保障という観点から見て、これから中国とはどう付きあっていったらいいのでしょうか。

増田 まず第一に、中国の軍事力が増強されるなかで、アジア太平洋地域におけるアメリカの軍事的なプレゼンスや役割を維持・強化していく

ことが、最も大事なことです。

 それは、国際システムの変更を目的とする中国の軍事力行使のコストを高めるということです。一番のコストは何かというと、やはり現状変更

を目論んで軍事力を使うと、アメリカの介入を招き、中国にとっても利益にならないことを認識させることです。

 その中核にあるのが、日米同盟でしょう。ただ、日米同盟だけなのかというと、そういうわけではない。中国が軍事的にもより遠い海へ出て行く

という大きなトレンドを考えると、これは東シナ海だけで起こることではなく、南シナ海から太平洋へ、さらにはインド洋でも起こる問題です。

 ですから、アメリカの軍事的な役割をアジア太平洋地域として支え、強化していくということが重要になります。日本はアメリカと協働する高い

オペレーション能力を持っていますが、他の地域・諸国がそういう能力を今持っているのかというと、そうとは言えない。

 中国の海洋活動に正面でプレッシャーを感じている沿岸国の、少なくとも海上での警備能力や対処能力を一定程度のレベルに押し上げて

いかなければいけない。そのために日本として何ができるのか。日本の場合、ODA大綱もあり、軍事面での直接的な支援は難しいでしょうか

ら、人材育成や技術支援という能力構築支援を、日本としてもやっていく。

 さらに日米同盟だけではなく、アメリカはベトナム、フィリピンやオーストラリアなどと2国間の同盟関係や安全保障協力関係をもっています。こう

した安全保障関係をアジア太平洋地域において、ネットワークとして繋げていく外交・防衛上の努力も継続する。つまり、地域全体としてのアメ

リカの軍事的な役割を維持・強化するアーキテクチャの構築を進めるということです。

 もう一つ、日本と中国との間で生じ得る危機に対して、どう我々は取り組んでいくのか。危機に対応する防衛態勢や警備態勢を強化するこ

とは当然ですが、先ほど申し上げた日中間の危機管理メカニズムの構築も急務で、その対象には人民解放軍だけではなく、海上法執行機

関も含まれなければなりません。本年5月には初めての日中高級事務レベル海洋協議が行われ、両国の海洋関連部門も参加しました。こう

した枠組みを危機管理メカニズムに発展させることも検討してよいでしょう。

 ただ、中国の海上法執行機関の活動は、中国の「主権」を主張するためのものですから、活動自体を抑制することはなかなか期待できない

。したがって、それを危機へと拡大させないためにも、こうした意思を両国の政治指導者が共有しておくことが不可欠です。中国は共産党による

一党支配体制ですから、各分野の政策執行部門だけではなく、最終的な意思決定が行われる党中央とのコミュニケーションが、危機管理の

面からも重要です。

 日中国交正常化から40年が経ち、さまざまな危機が起こり得る状況になっているにもかかわらず、指導者レベルでのコミュニケーションのチャン

ネルが、かなり細くなっているように思われます。両国の指導者間のコミュニケーションや信頼関係をどう再構築していくのか。さらに言うと、間も

なく中国では第18回党大会が開かれ、指導部が交代します。その意味でも、日中関係の安定と発展を図るべく、指導者同士の関係構築

を進めていかなくてはいけないでしょう。
http://diamond.jp/articles/print/25096


米世論調査「中国は最も危険な国」

 【北京=森安健】米調査会社ピュー・リサーチ・センターがこのほど発表した米国人の中国観に関する世論調査によると「中国は信頼できる

国」とみる米国民は26%、「中国は他国に配慮して外交政策を決める国」と考える人は33%にとどまることが分かった。日本に関しては62%

の人が信頼できると答えた。

 年齢層が上がるほど中国への信頼度が低い傾向がある。「信頼できる」とした人は65歳以上で20%、50〜64歳で23%、30〜49歳で

23%。18〜29歳は43%だった。

 「米国に対して最も危険な国」を聞いたところ、26%が中国を挙げ、16%のイラン、13%の北朝鮮を抑えてトップ。調査には全米50州の一

般市民1004人と専門家305人が回答。沖縄県尖閣諸島を巡る日中間の摩擦が高まる前に実施した。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM2101K_R20C12A9EB1000/

世界経済、日中間の領有権争いが回復の足かせ要因に=OECD
2012年 09月 20日 19:13 JST

[北京 20日 ロイター] 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長は20日、世界経済について、世界貿易の低迷や日中間の領有

権争いによって回復が阻害されており、2008─09年の金融危機以降で最もぜい弱な状態にあるとの見解を示した。ロイターとのインタビュー

で語った。

事務総長は、景気回復には世界貿易の再生が不可欠であり、それが達成できなければ、保護貿易政策が再燃するリスクが生じると指摘。

「貿易はわれわれを窮地から救い出す可能性があった。2009年に悪化して以降、伸びが加速し順調に見えた。だが現在は再び後退し、低

迷している。これが景気の回復力に影響を及ぼしている」と語った。

さらに、沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)をめぐる日中間の対立も景気回復の足かせになっていると指摘した。

グリア事務総長は「タイミングが良くないようだ。誰もがどのようにして危機を脱するかに重点を置くなか、おそらく現在非常に必要とされている信

頼を損ねている」と述べた。

また、各国政府が短期的な自国経済の支援のために保護貿易政策を用いることに警鐘を鳴らし、世界貿易機関(WTO)やその前身機関

を通じて長年促進されてきた富の創出が損なわれると警告。

「長年にわたって培われてきたものは、短絡的な保護貿易政策によって容易に消失する。保護貿易主義には断固として対抗する必要がある」

と強調した。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88J05J20120920?sp=true

韓国から見た中国の反日集会

「中国の行動は問題」「日本にがっかり」

2012年9月21日(金)  趙 章恩

 韓国のテレビニュースも連日、中国各地で起きている反日集会の様子を詳しく放送している。新聞は「日本と中国が一触即発の危機」「中

国の反日集会、最高潮に達する」「激浪の尖閣海域」「日中葛藤で日本企業衰退」「中国、日本に経済報復警告」といった刺激的な見出

しをつけている。

 尖閣諸島を日本政府が国有化したことに抗議する集会が、過激な暴動に変わっていることも、テレビや新聞、ネット新聞、Twitterを通じて

詳細に伝わっている。中国に住む韓国人らもTwitterやBlogで、「怖くて外に出られない」とつぶやいている。上海の韓国総領事館は「日本人

に間違われないよう言行を注意してください。日本食レストランなど、日本人がよく行く場所への出入りは自制してほしい」と中国に住む韓国人

に注意を呼びかけている。

 韓国メディアの報道によると、日本と中国がここまで激しく対立し、大規模な反日集会が中国全土で行われたのは、1972年の日中国交正

常化以降初めてのことだそうだ。

集会が過激化するにつれ、中国に冷静さを求めるコメント

 韓国のネット掲示板やポータルサイトのニュースコメント欄を見ていると、最初は反日集会に参加する中国人に感情移入する書き込みが多

かった。韓国も、日本と独島・竹島の問題を抱えているからだ。しかし、集会が過激になり、日本車に乗っていた男性が暴行され血を流しなが

ら道路に横たわっている写真や、日系スーパーに集会参加者が押し入り略奪を働く写真などがネットに出回るようになってからは、「これは間違

っている」と中国側に冷静さを取り戻すよう望むコメントが増え始めた。

 「領土紛争があるからといって中国にいる日本の企業に嫌がらせしても、そこに勤める中国人が職を失うだけ」「日本に強い姿勢を見せたいの

はわかるが、暴動を愛国といって見逃すと中国の国家信用度が落ちる」と、日中関係を心配する書き込みがどんどん増えている。

 過激になっていく反日集会が反韓集会に拡大するのではないかと心配する声もある。尖閣諸島(北緯25度44分−56分、東経123度30

分−124度34分)からそれほど離れていないところに韓国のイオド(離於島)(北緯32度07分、東経125度10分)という水中暗礁がある。中

国は、韓国のイオド(離於島)も中国の領土であると主張し、中国の領海を広げようとしているからだ。

韓国企業は“漁夫の利”を得るか?

 日中の葛藤によって韓国が漁夫の利を得る――と書く日本メディアの記事をちらほら目にする。しかし、韓国内では全くその逆の心配をしてい

る。日中関係が悪化すると、漁夫の利どころか、韓国も悪い影響を受けるしかない。

 漁夫の利と言われているものの1つが観光である。日本に行くはずだった中国人観光客が、反日ムードのため韓国に行くというのだ。しかし実

際は韓国でも、中国人観光客が減る可能性がある。

 中国は9月29日〜10月7日まで連休だ。連合ニュースの9月18日付け記事によると、連休の人気の観光コースは韓国を経由して日本に

行くツアーだという。韓国入国管理事務局は、中国人観光客が日本に入国できる観光ビザを持っていれば、韓国のビザ取得は省略できるよう

に便宜を計らっていた。しかし、中国人観光客が韓国だけを訪問する場合は、韓国の観光ビザを取得しないといけない。今から韓国のビザ取

得するのは面倒だからと、日本にも韓国にも行かず、他の地域へ行こうする人が増える可能性がある。

 9月19日には、大韓貿易振興公社の中国事業団関係者が、韓国メディアの取材に対して以下のように答えた。「中国で深刻な反日集会

が行われている。現地の韓国企業が得る反射利益(漁夫の利)はあまりないだろう。2005年にも今のような反日ムードがあったが、韓国企業

にこれといった影響はなかった」。

 「中国と日本の政府が直接衝突したのではなく、中国民の反日集会なので、消費財(例えば自動車)の不買運動はあるだろうが、規模の

大きい事業や生産財(エネルギーや鉄鋼など)に大きな影響はない」

 「日本製品の不買運動があるとしても、韓国製品を代わりに買うことはないだろう。現地で売っている韓国の製品と日本の製品は重なるもの

があまりない」

 日本の企業にしか提供できない固有の領域があるため、韓国が漁夫の利を得るとは考えにくい。逆に、中国や日本から「韓国の企業が漁

夫の利を得る」と誤って見られるかもしれないので警戒しなくてはと、韓国企業は慎重になっている。

 大韓貿易振興公社は2005年5月、「中国の反日集会で利益を得るのはASEANとインド」という内容の報告書を出した。また、韓国の経

済評論家らは、「日本車に代わって韓国の現代自動車が売れるかもしれない。だが、これも一時的な現象にすぎないだろう」と分析している。

日中の緊張体制は長くは続かないと見込んでいるからだ。

日本にもがっかり

 中国の行動は問題という意見がある一方で、日本にがっかりしたという反応もある。

 それは日本政府の中国に対する振る舞いに対してだ。例えば、藤村修官房長官が会見で「国有化」という言葉を避け「尖閣諸島の取得・

保有は、我が国の領土の一部の土地の所有権を、以前の所有者から国に移転するもの」と表現した、といったニュースが流れた。この記事に

対して、次のような批判的な書き込みが数多く寄せられた。「韓国に対しては強気だった日本の政治家も、中国には頭が上がらないようだ」「強

いものには弱く、弱いものには強く出る日本人の二重性が見える」。日本は、中国とは友好関係を守ろうと努力するが、韓国との関係はどうな

ってもいいと振舞っている、と映ったようだ。

 2012年は中国と日本の国交正常化40周年、韓国と中国の国交正常化20周年を迎える年である。韓国、日本、中国の交流をさらに深

めるための記念すべき年なのに、とても残念だ。

 韓国では、「中国の反日集会に同調するより、日本と中国の間に挟まれた韓国だからこそ、アジアの平和のためにできることを考えなくては」「

韓国の役割について考える時期が来た」と訴える社説やTwitterのつぶやきが増えている。日中関係の悪化は、日本と中国だけの問題ではな

くなっている。


趙 章恩(チョウ・チャンウン)

 研究者、ジャーナリスト。ソウルで生まれ小学校から高校卒業まで東京で育つ。韓国ソウルの梨花女子大学卒業。現在は東京大学社会

情報学修士。ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどにコラムを連載。著書に「韓国インターネットの技

を盗め」(アスキー)、「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)がある。
 「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送っています。日韓両国で生活した経験を生かし、日韓の社会事情を比較解説する講師として

、また韓国のさまざまな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです」。
 「韓国はいつも活気に溢れ、競争が激しい社会。なので変化も速く、2〜3カ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をす

ると『なんだかきつそうな国〜』と思われがちですが、世話好きな人が多い。電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多いのです

。マンションに住んでいても、おいしいものが手に入れば『おすそ分けするのが当たり前』の人情の国です。みなさん、遊びに来てください!」。


日本と韓国の交差点

 韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介す

る。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
 趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟

知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
 中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろ

うか?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20120920/237056/?ST=print

反日デモの保険金支払額、数十億から数百億円の可能性=損保協会長
2012年 09月 20日 16:48

[東京 20日 ロイター] 日本損害保険協会会長の柄沢康喜・三井住友海上火災保険社長は20日の定例会見で、中国での反日デモ

で被害を受けた企業に対する損保会社の支払い規模について、個人的な感想と前置きしたうえで、数十億から数百億円くらいの可能性があ

ると述べた。

柄沢会長は、被害状況について「われわれとしても把握したいが、お客様も把握していない中で想定は難しい」と指摘。そのうえで「全体では

、数十億から数百億円くらいの可能性があるが、政府の賠償もありまったく個人的な感想だ」と語った。

顧客への保険金の支払い方法は、契約の状況によって異なる。一般的には暴動や騒擾(そうじょう)は免責となり、暴動・騒擾(そうじょう)リス

クの特約でカバーされる。放火をどのように扱うかも保険内容によって異なるという。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88J04M20120920

アングル:中国の日系企業、リスク認識の下で事業展開進める
2012年 09月 20日 19:45 JST
[東京 20日 ロイター] 中国における大規模な反日デモによって、一部の工場や店舗の営業休止を余儀なくされた日系企業各社は、中

国のカントリーリスクを強く再認識させられた格好だ。反日デモは鎮静化に向かっているものの、政治問題だけに不安な状況は続いており、長

期化のリスクはくすぶる。

ただ、隣国であり、経済規模世界第2位の大国だけに、事業展開の手を緩めることも難しく「リスク認識を持ちながら事業を進める」というスタ

ンスで臨むしかないのが現状だ。

日本政府による尖閣諸島(中国名:釣魚島)の国有化に端を発した一連の反日デモは、一部が暴徒化。パナソニック(6752.T)の青島工場

の生産設備が破壊されたり、平和堂(8276.T)の店舗が壊滅的な被害を受けるなどし、現在でも操業を再開できていない。ただ、タイの洪水

被害のように、数カ月にわたって生産が休止したり、サプライチェーンへの懸念が生じることは、現時点で起きていない。中国政府が早期にデモ

の取り締まりに動いたことで「中国本土における事業への悪影響は短期的なものにとどまる」(ムーディーズ)という認識が強まっている。

目に見える被害は大きくならなかったものの、中国で事業を展開する経営者にとって今回の事態は、カントリーリスクを強く再認識させることとな

った。「隣の国であれだけの経済規模という一方、やっぱりこういうことが起こるということもある」と、友野宏・住友金属工業(5405.T)社長は話

す。

ただ、もともと中国へ進出している企業は、多かれ少なかれこうしたリスクを前提にしているだけに、すぐに事業の転換につながることはない。藤

原健嗣・旭化成(3407.T)社長は「投資抑制で、イエス・ノー的な結論にはならない。仕事を進めるうえでリスクがあることを認識することは大

事だが、(投資を)止めるとかいう状況ではない。中国以外でも国と国のトラブル、国内でもトラブルはある。リスク認識をしっかり持って行動しな

ければならない」と述べている。

友野・住金社長も「中国事業の見直しを判断するのは時期尚早。冷静に見なければならない。長い歴史の中ではいろいろなことが起こる。

脳みそを冷やして判断していく」とし、拙速な判断を避ける。

政治問題だけに、まだ、安心しきれない状況が続いている。イオン(8267.T)では、20日時点で休業している店舗は、大きな被害を受けた「

ジャスコ黄島店」と公安からの要請で休業している1店舗の計2店舗に縮小したものの、安全確保のため、駐在員の家族の一時帰国を決め

た。日本貿易会の槍田松瑩会長(三井物産(8031.T)会長)が日本から中国への通関に遅れの兆候が出ていると指摘するなど、影響が広

がる懸念も残っている。

中国での事業展開でリスクを回避するうまい方法はなく、現時点では、民間レベルでの信頼関係に依存するしかない。反日デモが激化してい

る中でも、イオンには、休業している店舗の早期再開を望む声も多く寄せられたという。

9月9―12日に中国を訪問していた三菱ケミカルホールディングス(4188.T)の小林喜光社長は、中国の大手石油化学トップと会った際、「

非常に友好的だった。事業のカウンターパートとしては友好的で、今後についてもネガティブな感覚はなかった」と振り返る。そのうえで、ビジネス

を進めるためには「日ごろの付き合いを築くしかない。腹を割って、一緒に事業をする態度でやれば、とんでもない影響は出ない」と話している。

(ロイターニュース 清水 律子)
http://jp.reuters.com/article/topNews/jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE88J05U20120920


焦点:中国政府に高まる弱腰批判、反日デモが新指導部の足かせに
2012年 09月 20日 15:20 JST

インタビュー:「プレステ3」でゲーム事業の黒字確保=SCE社長
アングル:日本車の中国販売に懸念、反日デモ沈静でも消費者が敬遠
関電、中間期最終赤字は過去最大の1250億円の見通し
反日デモの保険金支払額、数十億から数百億円の可能性=損保協会長


[北京 19日 ロイター] 日本政府による尖閣諸島(中国名・釣魚島)の国有化に端を発した中国の反日デモ。中国政府は当初デモを容

認する姿勢を取ってきたが、その方針は結果的に、胡錦濤政権から権力を引き継ぐ新指導部に影響が跳ね返ってくるリスクがある。

尖閣問題をめぐる大規模な反日デモは、中国政府が日本に対して弱腰だとの批判も含まれており、10年に1度の権力移行を目前に控えた

新指導部には強硬姿勢で外交に臨むよう圧力がかかっている。

中国の次期最高指導者と目されている習近平国家副主席は、療養中だったとされる2週間は姿を見せず、数日前になって公務に復帰した

。現在、習氏を含む指導部には、対日強硬路線を求める世論から耳をそむけようとしているとの批判が高まるリスクもある。

「政府は軟弱すぎると感じている。だから、われわれの考えを示したい」。北京の日本大使館前のデモに参加した食品販売業者のZhang Xin

さん(25)は怒りを吐露。「中国は強国としての要求を行うべきだ。今の政府には失望を感じる。民主的とは言えず、われわれの声を聞き入れ

てくれない」と不満を口にした。

反日デモで盛り上がった愛国心は、共産党には心強さと同時に憂慮すべき意味合いも含まれる。それは、デモ参加者が中国政府の領有権

の主張を熱狂的に支持している一方、指導部にはその主張を行動に移す力がないと公に訴えようとする参加者が多いからだ。

また今回の反日デモでは、中華人民共和国建国の父とされる毛沢東の肖像画が多く掲げられた。毛沢東の肖像画は、日本政府の尖閣国

有化について公にコメントを発表していない胡錦濤国家主席ら現指導部に向けた非難としても利用された。

海産物の販売員Shi Leiさん(25)は「毛沢東は新中国の最初のリーダーで、外国人に厳しく対応する策を知っていた。もし彼が生きていれば

、今ごろ戦争になっていた。胡錦濤らは日本の挑発を前にして役立たずで軟弱だ」と痛烈批判。

会社員のChi Lixinさん(29)も「毛沢東は日本と戦い勝利した英雄だ。今の指導部は平和外交しか口にせず、ただ見ているだけ。われわれ

の領土を手放そうとしている」と語気を強めた。

<愛国心と不満>

愛国心と不満が入り混じった感情は、北京や上海、広州など多くの都市に広がった。これに対し、当局は反日行動が反政府デモに発展する

のを防ぐため、数千人の警官や武装警官を配備。北京の日本大使館前では19日までに、警察がデモの封じ込めに乗り出した。

政治コメンテーターのLi Weidong氏は、「もちろん日本との問題は存在する。ただ、政府はそれを国内の不満のガス抜きに利用している」と指

摘。「政府は不満の度合いを見計らっている。統制不能にはしたくない」と語った。

中国政治の専門家は、習氏ら新指導部が直面するリスクについて、長い目でみておく必要があると口をそろえる。

中国政府は早ければ来月に行われる共産党大会での指導部交代を最優先。しかし、その権力移行はスキャンダルなどで揺らいだ上、政府

は予想外の経済成長の減速にも苦慮している。

そんな中、日中関係の不安定化は不確実性が増すことにつながる。強硬路線を求める世論に押されれば、中国指導部が弱腰批判を受け

ずに妥協点を探ることは一段と難しくなる。

米カリフォルニア大学のスーザン・シャーク教授は「誰だって日本に弱腰だとは思われたくない。皆が出世を競っており、弱腰だとの評判は将来に

とって決していいことではない」と説明した。

たとえ日中の軍事衝突の可能性は低いとしても、中国側に妥協を探る外交の余地は狭まっており、領有権問題を早期に片付けるための選

択肢も少なくなっている。

<歴史の新局面>

日本を研究する中国の専門家は、この先「大変な時期」が訪れると予測する。

「われわれは新たなステージに突入した」。こう話すのは北京・清華大学のLiu Jiangyong教授。「これまで中国政府は領土問題を脇に置き、

2国間関係の発展に努力してきたが、その時代は終わった。歴史の新たな局面を迎え、日本の(尖閣)国有化も不可避だった」と分析する。

胡氏のポストを引き継ぐ習氏にとっては特に、この新たな局面は対応が難しいかもしれない。習氏は、過去の指導者らの影響力が色濃く残っ

た状況においても、権威の確立に努めなければならない。また、胡氏よりも自己主張が強く機敏なリーダーになることへの期待感も高い。

中国のアナリストや西側の外交官らは、習氏は強硬派ではないとの見方を示す。しかし、尖閣諸島の奪還を目指す活動家らは、習氏はリス

クを冒してでも対日政策で前政権より強硬な姿勢を見せなくてはならないと主張する。

中国民間保釣連合会の代表で活動家のTong Zeng氏は、今年7月に習氏が行った演説を引き合いに出す。習氏は清華大学での演説で

、中国は「国家主権と領土保全を断固として主張する立場に基づき、近隣諸国との関係と地域の安全を守っていく」(新華社)と訴えた。

Tong氏にはその演説が、尖閣諸島などの領土問題で習氏が強硬路線にかじを切るシグナルに映ったという。Tong氏は「習氏が最高指導者

になれば、政府はこの問題に対して新たな政策を打ち出すだろう」と期待を込め、「国民は釣魚島を守ることに圧倒的多数で賛成だ。だからこ

そ、政府はこの問題に注力していくはずだ」と強調した。

(原文執筆:Chris Buckley記者、翻訳:野村宏之、編集:宮井伸明)

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【社説】理解に苦しむ中国デモ隊の反日過激行動
2012年 9月 19日 12:50 JST

 中国の多くの都市で過去数日間、デモ参加者が日本企業を襲撃したり、放火したりしているが、理解に苦しむ行動だ。「平和的」なデモ参

加者でさえ、激烈な文言を記した横断幕を掲げ、中には日本せん滅を求める横断幕もあった。一体何のためか? 

画像を拡大する

Getty Images
北京の日本大使館周辺の反日デモ隊(18日)
 日中両国は現在、中国で釣魚島、日本で尖閣諸島と呼ばれる東シナ海に浮かぶいくつかの無人島をめぐってもめている。これらの島々は

米国が1972年に(沖縄と一緒に)日本に主権を返還したものだ。米国のパネッタ国防長官でさえ、18日に北京の米大使館の外で小規模な

抗議活動に見舞われた。米国の同盟国である日本に軍事支援を行っている罪で抗議を受けたのだ。支援の中には米国がミサイル防衛のた

め、日本に2つ目の高性能「Xバンド・レーダー」を配備するとの発表も含まれている。 

 前回、中国各地で大規模な反日運動が起こったのは2005年だった。当時も、今回と同じような疑問が提起された。北京(中国政府)がど

の程度、抗議活動の指揮をとったかだ。その答えは完全には明らかでない。中国国営メディアは当初、憎しみの炎をあおっていたが、その後沈

静化を試みている。警察はデモ参加者に行動の自由を与えたが、怒りをはき出したら帰宅するよう命じた。 

 この二重のアプローチは中国政府の対応の典型である。同国共産党は反日感情をくすぶらせ続けることによって恩恵を受ける。それは共産

党の歴史的正統性が日本の侵略者を駆逐し(あるいは駆逐したと思われており)、中国を世界における適正な地位に復帰させたところに由

来しているからだ。しかし中国政府は、日本政府に対する態度が生ぬるいとデモ参加者に非難されないようにしながら、日本に対する怒りが度

を越さないようにしなければならない。

 一方、日本のナショナリストも過去の戦争の遺産への対応を難しくしている。05年当時の論争は主として、第2次世界大戦中の日本の残

虐行為を言いつくろった日本の教科書の是非だった。今回は石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島を民間地主から購入すると提案した。石

原氏は極端なナショナリストで、彼がトラブルを引き起こしかねないと懸念した日本政府が介入して尖閣諸島を購入した。 

 野田佳彦首相はこうすることによって、北京との摩擦を最小限にするため責任ある行動をしたといえる。ところが中国はこれに飛びつき、日本

の挑発行為だと主張した。北京が尖閣諸島の領有権を主張し続けるには、恐らく何らかの形の外交上の抗議が必要だったのだろう。しかし、

同国は軍事的な小競り合いのリスクを高める措置を講じた。14日には何隻かの沿岸警備船と漁船が日本の沿岸警備船とにらみ合い、17

日には中国メディアは漁船の大群が尖閣諸島に向かっていると報じた。 

 これらは全て中国政府が自国経済の悪いニュースや当惑せざるをえない政治スキャンダルから自国民の目をそらそうとしていることを示唆して

いる。だが中国のナショナリズムの深さを過小評価したり、共産党の行動を純粋にシニカルにみようとするのは誤りだろう。 

 学者Guo Yingjie氏が書いたように、現代中国には2種類のナショナリズムがある。文化的ナショナリズムと政治的ナショナリズムだ。文化的

ナショナリズムは伝統の温存と、中国人であることの本質とみなされる価値を強調する。政治的なナショナリズムは主権を防衛できる強力な国

家の建設に集中し、伝統文化を発展の障害とみなす。 

 こうした2つの見方の衝突は、外国文化との愛憎関係を生み出すとともに、アイデンティティの危機を生み出したとGuo氏は考える。近年、共

産党はこれらを一緒にしようとして、儒教的価値観を統合した「中国モデル」を称賛してきた。

 しかし、ネイティビズム(排外主義)への復帰は、外国思想の採用と、イノベーション(技術革新)に基づく経済への次の歩みに必要な改革を

阻害しかねない。これまで中国は、ソ連がかつてそうしたように、国際的な現状を覆そうとまではしていないが、このような新たな超ナショナリズム(

国家主義)は現状を変化させる恐れがある。

 究極的に中国は、外国貿易や投資を育んで安定的で理性的で信頼できる大国としての評判を得るという国益よりも、ナショナリスト的な衝

動を優先したことによって、代償を支払うだろう。

 問題は、中国の指導者たちがその最悪の衝動を抑えようとしないならば、その代償が高価にならざるを得ず、その代償を支払わなければなら

ないのは中国以外の何者でもない、ということだ。

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訴えたのは、EUとは直接関係のない尖閣問題だった。「日本は自作自演で茶番劇を演じている。全世界は釣魚島(尖閣諸島の中国名)が

中国固有の領土と知るべきだ」

 首脳会談の席上でも中国は尖閣問題にこだわった。関係者によると、尖閣諸島の領有権を主張する温首相に対して、ファンロンパイ大統

領らEU首脳は対話による解決の重要性を説いたという。

 相手国・地域に圧力をかけ、自分が不利になると引く――。これを繰り返すのが中国の伝統的な外交戦術だ。大規模な反日デモや暴動、

略奪に欧米が眉をひそめたと見るや抗議活動を抑止。矛先を変え、今度は国際社会に領土問題を宣伝する戦略に出始めた。

 今月中旬以降、中国共産党指導部が外国の要人に日本政府の尖閣国有化を批判し始めた。「国際秩序への挑戦だ」「民族感情を傷

付けた」。9人いる中央政治局常務委員の8人までが尖閣問題に言及している。

 中国の李保東国連大使は14日までに、潘基文(バン・キムン)国連事務総長に尖閣周辺の「領海」を示した海図を手渡した。近く東シナ

海での大陸棚の延伸を求める申請書も提出する。領土問題の存在を国際社会に訴えるため、既成事実を積み重ねようとしている。

 米ワシントンでは議会対策の準備に入った。在米中国大使館は顧問契約を結ぶロビー会社、パットン・ボッグス社を使って、米議員らに領

土問題が存在すると認識させるPR攻勢を企画する。中国が同社に払い込んだ契約料は昨年9〜12月だけでも30万ドル(約2300万円)

以上にのぼる。

 「日本がハワイを日本領と発表したら、米国民はどう思いますか」――。米紙ニューヨーク・タイムズには8月末、巨大な広告が掲載された。広

告枠を3万ドルで買ったのは江蘇省の実業家、陳光標氏。今後も新聞に広告を打ち続けるという。

 中国の外交攻勢に共通するのは、尖閣を「歴史問題」と位置付けていることだ。共産党機関紙の人民日報は、日清戦争の末期に「日本

が清朝に何の連絡もなく、秘密裏に(尖閣諸島を)窃取した」と解説。国民の不満をあおりたてる。反日デモでの暴動や略奪、投石を正当化

する狙いもうかがえる。

 もっとも、欧米では中国の外交攻勢に冷ややかな見方が多い。警戒すべき「異質な国」だという分析もみられる。19日付の米紙ウォール・ス

トリート・ジャーナルの社説はこう指摘した。「中国が道理をわきまえた、信頼できる国という評判を犠牲にしてまでナショナリズムを優先するなら

、代償を払うのは中国だ」

日本、外相会談探る 中国へ特使派遣など模索 (2012/9/21 2:00)

海保、尖閣周辺海域で監視活動継続 (2012/9/20 22:06更新)


米、日中摩擦の早期収拾に期待 (2012/9/19 23:50)

中国、東シナ海大陸棚の延伸を申請へ 国連の大陸棚限界委に (2012/9/16 23:24)

「政党への幻滅広がる」 米世論調査機関が指摘 (2012/7/7 3:30)  

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コメント
 
01. 2012年9月21日 21:59:35 : OL4cm77zNI
 嘘(共産党機関紙の人民日報は、日清戦争の末期に「日本が清朝に何の連絡もなく、秘密裏に(尖閣諸島を)窃取した」と解説)を100回云えば真実になる,というわけだ.竹島神話の朝鮮人並みだな.

02. 2012年9月22日 12:22:28 : mTrrHPep2Q
長すぎて読む気がしなくなる。 投稿には制限があったはず。 N.T

03. 恵也 2012年9月26日 17:38:46 : cdRlA.6W79UEw : EJowh2YWzw
>> オバマ政権にとっては、とにかく大騒ぎにして欲しくない、エスカレートだけはさせて欲しくない問題

間違い!
他所の火事は面白いし、金儲けにもなります。
日本が朝鮮戦争の特需で大もうけしたように、自国に戦禍がこなければこれほど
大儲けできるものはありません。

中国と日本がもめだしたら、アメリカとしては本音は大歓迎でしょう。
中国との貿易もアメリカに取られ、アメリカの武器は日本が大量に買ってくれて
アメリカの景気は急激に上昇すると思うよ。

日本はアメリカの核の傘を信仰してるので、どんな勢力が政権をとってもアメリカ
から離れる心配はない。

日中国交をやった田中角栄は犯罪人にされ、100人以上の議員を引き連れて
訪中した小沢幹事長は政治生命を抹殺されかかってる。中国は鬼門だ。
むしろ真の仕掛け人はアメリカではないかとさえ俺は疑ってます。

>> 海上保安庁は「退去命令」を出すことはできる。

言葉の遊びは止めましょう。
「退去命令」ではなく「退去要請」であり、官僚が適当に作ったものは信用しないように。

だから放水を尖閣で遊んでいるものであって、決して命令ではありませんし、台湾
漁船は明治時代以前から、尖閣を漁場にしてます。
海上保安庁は放水遊びをさせるために作られたものじゃないのだけど・・・

>> 監視船「海監」を尖閣諸島周辺の海域に送り込み、日本の領海にも侵入させている。

「日本の領海」という言葉が間違ってます。
尖閣諸島は、中国との領土紛争地であり棚上げすることで田中角栄と周恩来の
会談で決まってますので「日本の領海」という言葉が間違ってる。

間違った言葉を使用しては、思考も手段も結果もロクな事はないよ。
アンタは日本の世論操作のために使ってるのかな?

>>01 共産党機関紙の人民日報は、日清戦争の末期に「日本が清朝に何の
>>  連絡もなく、秘密裏に(尖閣諸島を)窃取した

これは事実でしょう。
どこが嘘なのか書かなくては議論にさえならん。


04. 2012年9月28日 23:07:36 : MEgeolNnl6
>>01 共産党機関紙の人民日報は、日清戦争の末期に「日本が清朝に何の
>>  連絡もなく、秘密裏に(尖閣諸島を)窃取した

これって 何か証拠があるのでしょうか。
「秘密裏に(尖閣諸島を)窃取した」というならそれを証明するものを提示して
もらえれば議論になると思う。

それがなかったから沖縄の一部として扱われてきたのではないでしょうか。

尖閣は琉球の領地だったという話もあるし・・・


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