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世界最大の自動車市場の中国で、地場メーカーが独自ブランド車の開発を急いでいる。洗練されたデザインで、安全性や燃費性能も高め、外資ブランド車に対抗したい――。そんな彼らがお手本にするのは独フォルクスワーゲン(VW)など欧米勢。かつて日本車のコピー車が席巻したのも今は昔。中国勢が日本車から学ぶものはもうなくなったのだろうか。
2日に閉幕した北京国際自動車ショー。世界中の自動車メーカーが小型車や中型セダン、多目的スポーツ車(SUV)などの新車を出展、モータリゼーションまっただ中にある中国の消費者の関心を呼び込もうとアピールした。
VWや米ゼネラル・モーターズ(GM)、トヨタ自動車など世界大手だけではない。中国メーカーも負けじと、独自開発をうたう新車を出展した。
米フォード・モーターやスズキなどと合弁を組む長安汽車集団(重慶市)が発表した「RAETON」。中国で激戦区の中型セダン市場に送り込む独自ブランド車だ。ブレーキ技術や電子制御技術は、米TRWや独ボッシュなど欧米の自動車部品大手の先端品を採用。「長安汽車の高い技術力をアピールしたい」。モーターショー会場で担当者はこう意気込んだ。
長安汽車だけではない。北京汽車集団(北京市)は今年秋に市場投入する新型セダン「C70G」を発表。第一汽車集団(吉林省)は共産党・政府首脳が愛用する最高級乗用車「紅旗」の新モデルを、上海汽車集団(上海市)も高級セダン「栄威950」を発表するなど、各社は外資ブランド車と見まがうばかりの洗練された独自ブランド車を相次ぎ出展した。
トヨタ自動車の「カローラ」やホンダの「CR―V」など、日本車のそっくり車で市場を席巻してきた中国勢。エンジンや変速機も日本の旧式モデルを使うなど「つぎはぎ」だらけのクルマだった。
もちろん、今もつぎはぎ感は残る。だが、外観はイタリアの設計会社に発注し、エンジンや変速機は構成部品ごとに欧米などの部品メーカーに丸投げしつつも、自ら組み上げていく。コピー車といえども着実に進化しているのだ。
気がかりなのは、日本が得意とする技術が「コピー」の対象から外れていることだ。
「あのVW車のターボチャージャー(過給器)をそのまま持ってきて」。日系過給器メーカーには中国車メーカーからこんな要請が相次ぐ。
エンジンを小ぶりにして低燃費化を図ると同時に、不足する馬力は過給器で補う「ダウンサイジング」。VWが先行し、GMやフォード・モーターなど米国勢も開発を強化しているエコカー技術を、中国勢は今、こぞって採用しようとしている。
中国でもガソリン価格が1リットルあたり約100円と日本とさほど変わらない水準になってきた。中国メーカーといえども、低燃費車ニーズは無視できない。
そこで目をつけたのが、既存のエンジン技術を活用できるダウンサイジングだ。英自動車調査会社LMCオートモーティブは中国の乗用車生産に占める過給器付きエンジン搭載車の比率は現在の約5%から2017年には25%前後に高まると予測。「5年内に大部分の中国車メーカーが過給器付きエンジンを搭載する」とみる。
同じ低燃費車なら、トヨタ自動車やホンダが力を入れるエンジンとモーターを併用するハイブリッド車(HV)もある。しかし、中国勢はこれには見向きもしない。技術的に複雑で、コストは割高。中核システムの現地調達も難しいからだ。
日本発の技術をブラックボックス化し、コピーされないようにすることは、日本車の競争力を維持する上で欠かせない。だが、本当に技術的に難しく、コストが割高なことだけが、中国勢がHV車になびかない理由なのだろうか。
振り返れば、中国車メーカーが日本車のコピー車を作っていたのは、ほんの7〜8年前。当時はホンダが中国市場をけん引し、日本車人気も高かった。
だが、今では日本車の相対的なシェアは下がり、中国市場では欧米勢の元気の良さばかりが目立つ。中国市場で日本車の輝きが失われたから、中国車もコピーする意欲を失っているのではないか。
エコカーに垣間見る中国勢の「ジャパン・パッシング(素通り)」。日本車への関心を弱める中国市場の映し絵のように見えてならない。
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