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女性実業家の死刑差し戻し 胡錦濤派が習氏らの「口封じ計画」阻止
産経新聞 4月28日(土)7時55分配信
■異例判断、裏に権力闘争
【北京=矢板明夫】詐欺罪などで死刑判決が確定していた中国南東部の浙江省の女性実業家、呉英被告(30)に対し、最高人民法院(最高裁)が、刑執行直前に審理を高裁に差し戻すとの決定をしたことは、呉被告に同情的だった世論の勝利と受け止められている。しかし、権力闘争に詳しい共産党筋は「背景には胡錦濤(国家主席)派と習近平(副主席)派の激烈な権力闘争があり、呉被告の存在は今後の中国政局に大きく影響する」と指摘している。
貧しい農家に生まれた呉被告は、10代から始めた美容室の経営をもとに事業を拡大。衣服、住宅を販売する会社を次々に興し、24歳にして「中国富豪ランク」の100位以内に入り、女性経営者の成功例としてメディアに大きく取り上げられた。一方、資金繰りのため高い配当を宣伝文句に投資家らから約8億元(約100億円)の資金を集めるなど、経営手法が疑問視されたこともある。
資金が焦げ付き経営が破綻した2007年3月に呉被告は逮捕され、浙江省の地裁、高裁で死刑判決を受けた。
呉被告の事業が急拡大していた時期に浙江省のトップを務めていたのが習近平国家副主席だった。共産党筋によれば、当時、多くの習氏腹心の浙江省高官が呉被告と親密な関係にあり、呉被告から多額の賄賂を受け取っていた。その腹心らは今秋の党大会以降に中央入りして、習近平政権を支える中心的存在になるとみられており、秘密を知る呉被告の口を封じるため、死刑判決を下すよう浙江省の裁判所に圧力をかけていたという。
中国は2審制だが、死刑の場合のみ執行する前に最高裁の「承認」が必要だ。呉被告の死刑判決を受け、多くの知識人や弁護士らが「重すぎる」として最高裁に嘆願書を提出するなど、同被告の裁判は中国で高い関心を集めていた。
今月20日に発表された最高裁の決定では「呉被告が多くの公務員への賄賂を自供した」ことなどを理由に「即座に死刑を執行することはできない」と高裁に差し戻す判断を示した。これによって、呉被告は最終的に無期懲役以下に減刑される可能性が高くなった。
最高裁が高裁の死刑判決を差し戻したのは異例。共産党筋は、胡主席率いるグループが最高裁の決定を主導したと解説する。習副主席が所属する元高級幹部子弟の太子党グループの有力者、薄煕来・元重慶市党委書記を失脚させた胡グループは最近、勢力を拡大しており、今回は世論に便乗する形で、習派の「口封じ」の動きを阻止したという。
共産党筋は「呉被告は習派を牽制(けんせい)する有力なカード。習派は浙江省からの幹部抜擢(ばってき)が難しくなり、政権がスタートする前に早くも弱体化した」と指摘した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120428-00000089-san-int
習近平一派が口を封じる目的で死刑執行を急ぐも最高裁が差止め。胡錦涛の勝利。いい傾向である。
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