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【石平のChina Watch】「異質人種」の中国指導者
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120202/chn12020211110000-n1.htm
2012.2.2 11:11 産経新聞
先月23日は中国伝統の春節(旧正月)である。その時は故郷に戻って一家だんらんを楽しむのが中国人長年の習わしだから、帰郷のための「民族大移動」が展開されるのである。
春節に家に帰らない中国人もいる。たとえば国家主席の胡錦濤氏と首相の温家宝氏がそうである。毎年の春節、2人は必ず地方視察に出かけることになっているが、今年は胡主席と温首相がそれぞれ、北京郊外と甘粛省の山村で村民とともに春節を祝った。この2人が過去10年間、家族とともにお正月を過ごしたことは一度もなかった、と中国のメディアが報じている。
政治的演出のために家族の気持ちや生活を犠牲にしても構わないというのが共産党指導者らしい行動パターンであるが、彼らの感覚はやはり、一般人の常識や社会的通念からかけ離れた異質なものである。
このような異質性は共産党の伝統でもある。往時の指導者である周恩来とトウ小平は若い頃に故郷を飛び出して「革命」に身を投じてから、終生、帰郷したことが一度もなかったと中国の「共産党史」関係の書籍が記している。もちろん周恩来もトウ小平も生前、自分の故郷以外の多くの地方に頻繁に足を運んで「視察」をしていたが、故郷だけは帰りたくなかったのである。
どうやら彼ら共産党指導者たちは、故郷に対する恋しさや帰郷してみたい気持ちなど、一般人の「人間的な心情」をあまり持ち合わせていないようである。
同じ中国系出身の政治指導者でも、たとえば台湾の馬英九総統は毎年の春節には必ず故郷の苗粟県馬家荘に戻って先祖を祭る宗廟(そうびょう)で拝むことにしているから、共産党の幹部だけが特別なのである。
前出の周恩来に関して実はもう一つ、ぞっとするようなエピソードがある。
人民日報のネット版である「人民網」が2011年6月25日に掲載した記事によると、中華人民共和国建国後、首相となった周恩来は何と、自ら命令を出して、江蘇省淮安市にある周家一族の墓地を片っ端から破壊して、それを土の下に埋めさせたという。
墓地の中には周恩来の祖父母も生母も眠っていたが、彼らの遺骨が事前に取り出されて移葬されることもなく、墓地の破壊とともに打ち砕かれたのである。
共産党政権の非情さをよく知っているつもりの筆者の私でさえ、この記事に接したときには鳥肌の立つ戦慄を覚えた。周恩来という「立派」な大政治家はなんという恐ろしい心の持ち主なのだろうか。何らかの政治的配慮のために、自分の祖父母や生母の眠る墓地を破壊してその遺骨を石ころの如く「廃棄」してしまうとは、もはや人間の子のなす所業ではない。党幹部の中で特に「人間味がある」と評されていた周恩来でさえこのありさまだから、「共産党指導者」という人種の精神的異質性がよく分かるであろう。
周恩来は今でも「理想的な指導者の模範」として偶像化されているし、上述の「人民網」記事は「墓地破壊」の一件を評して、「伝統的観念と決別した人民指導者の壮挙」だと褒めたたえている。つまり現在に至っても、生母の墓を平気で壊すほどの精神的異質性は共産党政権そのものが持つ文化的体質であり続けているのである。
このような文化的体質を持つ人たちにどう対応するのかが外部世界にとっての厄介な問題である。われわれは、絶大な政治力と軍事力をもつ中国共産党政権の指導者たちが普通の人々の心情や世の中の常識とは無縁な異質精神の持ち主であることだけは肝に銘じておくべきであろう。
◇
【プロフィル】石平
せき・へい 1962年中国四川省生まれ。北京大学哲学部卒。88年来日し、神戸大学大学院文化学研究科博士課程修了。民間研究機関を経て、評論活動に入る。『謀略家たちの中国』など著書多数。平成19年、日本国籍を取得。
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