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http://www.tokyo-np.co.jp/hold/2007/consti/news/CK2007051002115062.html
2006年11月30日
今のメディアを含めて政治の世界の議論で、北朝鮮の核実験からいきなり「日米同盟で集団的自衛権」の話に飛んでいる。私のような実務家からすると非常に違和感を覚える。憲法改正が先にありきで荒っぽすぎる。
与党側の議論は、集団的安全保障と集団的自衛権がゴチャゴチャになっていて、とにかく条文を変えて、ある種の武力を正当化するんだという議論が先に立っている。その前に最初の「核実験だったのか」の情報確認に始まり、もっと細かな議論を踏まえた上で検討すべきでないか。
しかし、私の意見は「憲法を改正するな」ではない。歴史を振り返ると、日本は外交上の危機がなければ憲法を変えてこなかった。大日本帝国憲法は不平等条約改正のため、日本国憲法も敗戦という“外圧”だった。今本当に危機があると皆が認定するなら、徹底的に変えるべきだ。
例えば九条の平和主義をめぐる論議の切り札として「領土画定規定」を憲法に盛り込むことを提案したい。憲法で領土はどこまでと対外的に鮮明にすることだ。「戦力はこれこれの領土の自衛のために持ちます」と。
竹島や北方領土などが議論になってくるだろうが、主張することがただちに武力行使をすることにはならない。そこから先は外交であり、政治の世界だ。
また、戦争を反省して「国家からの自由」をやりすぎた結果、国家をぶち壊し、国家から逃げることがいいという日本人ばかりになった。その結果、公がなくなってしまった。今必要なのは国家を皆でつくるという意味の「国家への自由」です。憲法制定という行為はそもそも「国家への自由」がなければ無理だから。国家から逃げているんじゃ誰も投票しない。
憲法改正とは日本人が日本人自身を見直すということ。その勇気がないなら、憲法改正など目指すべきでありません。
はらだ・たけお 1971年香川生まれ。東大法学部中退。93年外務省入省、北東アジア課課長補佐(北朝鮮班長)を最後に昨年3月退職。原田武夫国際戦略情報研究所代表。来年1月に「国家の読み解き方」(勁草書房)出版予定。34歳。
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