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安倍の靖国参拝問題から、その後の世界の動きを洞察、予言する。
投稿者:副島隆彦
投稿日:2014-01-31 17:10:32
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
副島隆彦です。 今日は、2014年1月31日です。
安倍首相の靖国参拝(昨12月26日)問題の発生のあとの世界規模の大きな政治のこれからの動きを、箇条書きで、私の考え(=未来予測)を書いておきます。今日は、細かいあれこれの傍証(ぼうしょう)の記事は載せません。 断言、断定、予言の言い切り文体で書きます。日本の国家戦略家(ナショナル・ストラテジスト)を自称する者としての自負心で書きます。
1.安倍晋三の 靖国参拝は、正しい。あれでアメリカ政府の怒り( アメリカの強い説得の制止を振り切って強行した)を買ったが、安倍晋三が、「首相として靖国に行かなければ、それが痛恨の極みだった」とまで当日、言ったのだから。
安倍晋三(自民党政権のタカ派路線)を支持しているのは、おそらく7割の日本国民だ。そのうちの、4割は、安倍の靖国参拝に対して、「アメリカを怒らせている。そこまでやってくれと、日本国民としてはお願いしていない」と、安倍から少し離れた。だから強固な安倍支持はあとの3割(30%)だろう。
しかし、だからと言ってこの4割の国民が安倍支持を公然とやめたわけでない。今も国民は音無(おとな)しの構えだ。靖国問題では国民の多くは、大きな真実を知らされていない。それは、私、副島隆彦がこれまでに、ここの重たい掲示板に書いた内容だ。
2.「どうして靖国に参拝したらいけないのか」の疑問を多くの国民は抱いたままだ。
「なぜ戦争で死んだ軍人兵士をお参りしていけないのか」と、安倍を強固に支持の3割の国民も、アメリカに対して疑問を抱いたままだ。だから感情、気分、気持ち、民族ロマンティシズム、情緒としては、安倍首相の靖国参拝は正しい。
日本国民の多くに、反アメリカ感情、反米(はんべい)感情の鬱積(うっせき)が見られる。この日本人の反米感情の薄っすらとした噴出(ふんしゅつ)は正しい。 この反米感情の日本国内での堆積、蓄積を、アメリカやヨーロッパの指導者層 (すなわち 欧米白人文明の側)は、気にして恐れている。外側世界(=国際社会)から見れば、日本国内は、安倍首相の元で団結しているように見える。 日本国内には、安倍政権への反対勢力は事実上存在しない。自民党内にも、倒閣運動(内閣を壊そうという動き。政局=せいきょく=と言う)は見られない。
3.だから安倍晋三の靖国参拝は正しかったのだ。ただしそれは国民感情としての、情緒、気分、感覚のところでの正しさだ。それは、「戦争中には、アメリカ「も」残虐なことをたくさんした。広島、長崎への原爆投下をアメリカは今も謝罪しない」という日本国民の重低音での怒りと不満だ。
しかし、これらの情緒、感情、気分を土台とする日本国民の、反アメリカ、反世界(=反白人文明)の理屈は、理屈=理論にならないものだ。世界で通用する理論的(ロジカル)な、理論的(セオレティカル)なものではない。だから、安倍晋三の靖国参拝は、世界基準(ワールド・ヴァリューズ、世界普遍価値観)からは、許されないことであり、間違いである。そのことを、私、副島隆彦がこれまでに論証して説明してきた。
4.個人の自由としては、安倍晋三が靖国参拝するのは自由である。しかし、「個人としての参拝」は、日本国の代表者(=首相)としては許されない。
それは、第二次大戦(1939年9月のドイツのヒトラー政権のポーランド侵攻から始まった)のさ中に出来た、カイロ会談、ヤルタ会談で成立した 連合国側= The United Nations (ザ・ユナイテッド・ネイションズ)の誕生(成立)と、ポツダム会議(そして宣言)、日本のその受諾、そして日本の敗戦後の1951年のサンフランシスコ講和条約(日本が48か国と結んだ平和条約。=戦争終結条約)の時の、条約内容(約束ごと)に違反するからだ。
この連合諸国の体制 (=The United Nations 連合諸国 ×「国際連合」)という体制が、現在の世界秩序であり、世界体制である。これに逆らった行動は、日本はしてはならないし、出来ない。そのように条約文で出来ている。
昭和天皇(裕仁=ひろひと=天皇)は。このことを重々(じゅうじゅう)知っていた。だから、昭和天皇は、日本は世界の大勢を敵に回しては いけないと、言った。そのことを私はこの「重たい掲示板」で、この1月になってから詳しく説明した。
5.アメリカは今も安倍政権に怒っている。しかしアメリカはもっと悪賢く、狡猾である。オバマ政権は、日本をさらに大きく外側から騙(だま)してくる。
私、副島隆彦は、はっきりと予測(予言)する。もうすぐ、あと数週間もせずに、ジョー・バイデン副大統領が、次の大統領に立候補を表明するだろう。だろう、とさえ書かない。する。このジョー・バイデンをオバマは、強く支持している。「ジョー。僕が、今度は、君の副大統領になろう」 とまでオバマは冗談で言っている。彼らが闘う相手であるヒラリーはすでに実質的に立候補表明した。
2016年11月の大統領選挙では、バイデンが当選して、次の2017年からの4年間(一期だけ)は、バイデンが大統領になる。民主党の政権が続くということだ。反対党の共和党からは、誰も満足に立候補しようする者さえ出てこない。共和党は初めから大統領選挙を投げている。だから、次はバイデンだと、副島隆彦ははっきり予測、予言しておきます。
6.だから、おとといの1月28日のアメリカ議会での、大統領の The State of Union (ザ・ステイト・オブ・ユニオン、一般教書(いっぱんきょうしょ)演説。「国民の団結」とも訳せる)で、これは、日本の首相の国会開催での所信表明演説に相当するが、ここで、オバマは、評判のあまり良くない演説をわざとやった。
オバマの真意は、ヒラリーの大統領選への立候補を、包囲して封じ込める、である。ヒラリーは、民主党内の軍事狂暴派(民主党タカ派)である。 これを、古村治彦研究員が、「人道主義的干渉主義者 (Humanitarian Interventionist ヒューマニテリアン・インターヴェンショニスト)」の勢力というコトバで「アメリカ政治の秘密」(PHP刊、2012年5月)で詳しく説明して日本に紹介した。
オバマとバイデンは、共和党系であるに決まっている軍人たちと、それと軍需産業(ミリタリー・インダストリー)の支持を、大きくその外側から取ってしまおうという戦略に出ている。だから、同じ民主党のタカ派のヒラリーを封じ込めるために、公務員や軍人の給料の値上げのような話ばかりを、一般教書演説でやった。あとは、軍需産業の業界への配慮が必要だ。
7.オバマと言うよりも、すでにバイデンが、「中東(アラブ世界)よりも、極東(東アジア)での 戦争の脅威を生み出し方がいい」と考えている。バイデンは、「中東のイランと、アジアの中国とで、どちらをアメリカの仮想敵国として、これからのアメリカの外交政策を作るか、と考えたら、それは、中国だ」と 判断している。
アメリカの仮想敵国(ヴァーチャル・エネミー)を、新たに中国にする、とオバマは決断したようである。中国と、あんなにG2(ジー・ツー)で仲よくして、3月にも中国に行って習近平と会談する、と決めているとしてもだ。 オバマとバイデンの狙いは何か。それは、中国と日本が軍事でぶつかることだ。
今も生き残っているネオコン派(元々は民主党の過激派だったが、今は共和党)は、なんとしてもイラン爆撃(小型の戦略核兵器を使ったもの)を、イスラエルと共にやりたい。ネオコンは徹底的にイスラエル寄りである。
だからネオコン派は、中東・アラブをアメリカの正面の敵にしたい。しかし、CFR(外交問題協議会。アメリカの財界、大企業の集まり)派であるバイデンは、イラン爆撃と、中東での新たな戦争を望まない。イスラエルの意思にアメリカが引きづり回されるのは御免だ、と思っている。それよりは、中国との緊張関係を作った方がいい、と考えている。
これには、ジョン・ケリー国務長官もチャック・ヘーゲル国防長官の同じ考えだ。「アメリカは、外国への爆撃はしない。軍隊の派遣もしない(介入主義への反対)。アメリカはお金がもう無いのだ」という強固な意志でオバマ政権は団結して動いている。
8.だから、オバマとバイデンは、中国との対話を押し進めながら、その一方で、日本が、勝手に、暴走して、中国と、尖閣諸島で、軍事衝突(ミリタリー・コンフリクション)を起こすことを、アメリカにとって、これ幸いのことだと考える。だから安倍政権が、さらに暴走して、中国と軍事的に紛争を起こすことは願ってもないことだ。
日中は、戦争(ウォー)にはならないが、その前哨戦である軍事衝突を起こすことまでを想定して、それに、仲介者、調停者(ミーディエイター)としてアメリカが登場することを考えている。
これが、CFR(シー・エフ・アール)の、offshore balancing オフショワ・バランシング 戦略である。アメリカのこの大戦略理論も、古村治彦研究員が、先の本で、日本に詳しく紹介している。今のアメリカ(オバマ政権)は、外国への爆撃と米軍の出兵を避けたい。国内に大きな財政赤字問題を抱えている。
自分の軍隊を戦線に投入しないで実質的に勝つことこそが、「孫氏の兵法」である。だから、海の外(オフショア)に遠くの方のアメリカ本国に居たまま、外国どうしの軍事紛争が起きることを予期し、それらを対立、拮抗させて、出来れば両方からの依頼を受ける形で、調停、和解の役目を買って出る、という戦略である。そうすればアメリカは、自分の軍隊を損耗(そんもう)することがないし、軍事出費がかさむことがない。
ここで大事なことは、日中で軍事衝突が起きれば、アメリカの兵器(ミサイル防衛網、戦闘機、輸送ヘリなど)を日本が、大量にアメリカから買うだろう、ということだ。それで、オバマとバイデンは、軍需産業界の支持を取り付けることが出来る。そうすることでヒラリー派を日干しに出来る。このハト派戦略で、世界が大きな戦争に突入することを阻止できる。
バイデンは、今、72歳だから大統領になると74歳で、終わるときは78歳の高齢だ。しかしこの男は、「どんな汚れ仕事も、俺はやるよ」と闘志満々だ。
9.だから、尖閣諸島 や竹島で、軍事衝突が起きることまでを、アメリカは、期待し、予想し、誘い込むように戦略を立てている。そして、今年中にも、尖閣での日中の軍事衝突が起きる危険がある。 中国は、このアメリカの戦略を見抜いているが、だからと言って、日本と同じで、中国海軍の中の一番、危険な部分が勝手に暴走することを、北京の共産党の指導部が止められるかどうかは、分からない。日本の海上保安庁や海上自衛隊には、十分に危険な人間たちが潜り込んでいる。
だから、安倍政権は、日本国民の7割の盲目的な「安倍さんは正しい」の支持を背景にして(国内の反対派はすべて抑え込まれている。勢力にならない。声にならない)、尖閣での軍事衝突に、引きづりこまれてゆくだろう。
今の日本で安倍政権と対立して、深く現状を憂慮しているのは、日本の財界人たちの集まりである経団連(けいだんれん)である。彼ら大企業経営者の集まりは、今の会長の米倉弘昌(よねくらひろまさ)を筆頭にして、「安倍さん。世界に向かってあんまり危ないことをしないでくれ」と苦言を呈している。「私たち大企業は、世界中で、工場を作って、現地の人たちをたくさん従業員たちとして雇って、それで商売をしているのだ。世界が何を考えているかを、私たちは現場のあれこれの苦労で、知っているのだ。安倍さん、あんまり勝手なことしないでくれ」と言っている。
彼ら、日本の財界団体は、一人一人はサラリーマン社員からのたたき上げだ。それでも能力があって、組織内で苦労を重ねて、人望があるから財界人にまで成れた人たちだ。だから世界の現実を知っている。今の経団連の本当のお親分は、トヨタの会長もし経団連の会長もした奥田ひろし氏だ。彼たち財界人が団結して、安倍晋三たちの暴走を食い止めようとしている。
10.7年前の安倍政権の第一次(2006年9月からの1年間)の時に、「中国包囲網」という戦略を組んだのは、ワルの外交官である、谷内正太郎(やちしょうたろう)だ。このたび、国家安全保障局( 「日本版NSC」 )の局長という日本の国家情報のトップに就任して、その正体を露わした。
谷内は、7年前に「自由と繁栄の弧(こ)」という戦略をぶち上げた。これは、中東世界までを包み込む、大きなアーチ型の地政学(ちせいがく)的な戦略図式である。
「日本の努力で、平和と安定を、遠く中東世界にまで及ぼす」とは、よくも言ったりである。 この「自由と繁栄の弧(アーチ)」とは、まさしく、日本による 中国包囲網(ちゅうごくほういもう)のことである。外務官僚の谷内が、無い知恵を絞って、このような大風呂敷を敷いた。そのあとの2008年から一年の麻生太郎内閣でも、この「自由と繁栄の弧」を吹き鳴らした。
そして、一昨年、2012年の12月からの安倍政権が、アーミテージたちのよって仕組まれたままに成立したら、この時とばかり満を持して、谷内を中心にして各省の幹部である官僚の”同志たち”が安倍の元に結集して、官僚組織(オール霞ヶ関)が一体となって、この「中国包囲網」という日本の独自の外交戦略の大綱を実行に移した。
この谷内正太郎の、「自由と繁栄の弧」は、1930年に出来た、かつての「大東亜共栄圏(だいとうあきょうえいけん The Great East-Asia Co-prosperity Sphere ザ・グレイト・イースト・エイシア・コプロスペリティ・スフィア)の 再来である。果たしてこの日本の隠された外交戦略を、現在の世界体制( 諸国連合 ×「国連」 The U.N.)が見抜いているか、そして許すか?
11. 谷内と安倍は、周囲の雑音も、アメリカらの懐疑の目もなんのその、で、今も着々とこの「自由と繁栄の弧」づくりに専念し、実行している。
そのために、安倍は、この1年2か月で30か国にも出かけた。ベトナムにも、ミャンマーにも、インドにも、そしてトルコやモンゴルにも出かけて、(その前に大臣たちを遣ってから)「日本が、新幹線(高速鉄道)と原発を、タダで上げますから、日本との同盟を大事にしてください」とこれらの各国の首脳を誑(たら)し込むことに精を出した。
一番最近は、インドにダメ押しに行った。1月22日のスイスのダボス会議(世界経済フォーラム。世界の超(ちょう)財界人たちの会議。ビルダーバーグ会議の表側 )で、靖国参拝問題で安倍は世界の“針(はり)の莚(むしろ)”に座らされて、ヨーロッパ首脳たちからの、「日本は戦争を始める気か」と疑惑の目で見られた。それなのに、帰ってきたらすぐに予定通りインドに行った。
12.だから、この谷内の「自由と繁栄の弧」戦略で、7年前から、コツコツと、中国包囲網を築いて来た。そのもう一つの大きな北側の「弧(こ)」が、ロシアの取り込みによる、ロシアと日本とでの“中国 挟(はさ)み撃ち“戦略だ。
これが、私が、これまでに何回か報告した、サハリン(北樺太、からふと)の天然ガスのロシアからの、海底パイプラインを引いての日本への直接の購入の商談だ。プーチンは、この話に乗ってきた。だから、中央アジアのカザフスタンや、今もロシアの家来であるモンゴルでの、日本の日立や東芝による原発作り(産出するウランとのバーター=物々交換方式=)にも反対しなくなっている。
サハリン(かつての北樺太で見つかった油田地帯)の天然ガスの日本への販売を起爆剤にして、その代金でシベリア大開発を何としてもやりたいプーチンとしては、日本と組んで、「中国包囲網」の話に乗るのは、損なことではない。だから、北方四島の「海の面積半分での2島返還」での話し合いも進めて、日ロの平和条約(=戦争終結条約)に持ち込むつもりだ。
13. ところが、年末から急に起きた、安倍晋三の靖国参拝で、ロシアのプーチンもユーロッパ首脳たちの顔色を窺(うかが)っている。ロシアは今、日本批判を全くしない。ソチのオリンピックを無事、テロ事件なしで乗り切りたいの一心だから、外国のトラブルに巻きこまれたくない。
ウクライナ問題だけで十分だ、と思っている。ウクライナ人の中のヨーロッパ寄りの「自分たちウクライナ人=キエフ公国=は純粋白人種であり、モスクワ公国の時のルース=ロシア人たちが、モンゴル人(タタールの頸木=くびき=、韃靼人、蒙古人)に卑屈に屈服したのとは違うのだ」で 騒いでいるので手一杯だ。ロシア人自身も、出来ることなら自分たちもヨーロッパ白人文明の一一部だと自分たちのことを思いたい。
それでも自分たちロシアは、第二次大戦の時の連合国側=連合諸国(=×国際連合)5大国(ファイブ・パーマネントメンバーズ。常任理事国)の重要な一員である。日本のような敗戦国とは違うのだと、と当然に思ってる。ロシアは、今は、中国とも長い国境線での貿易を仲良くやっている。
それでも、中国人が、どんどんロシア側に経済進出( 浸出=しんしゅつ=、浸みだして来るようにどんどん出てくる)ことを嫌がっている。 靖国問題が一段落しないと、サハリンの天然ガス輸出と北方領土問題(平和条約締結)も動けない状態だ。
14.韓国の パク・クネ 大統領は、去年の就任以来、安倍晋三と反目し合っている。日本国内に、韓国叩き、嫌韓(けんかん)、韓国嫌い、韓国蔑視の大きなキャンペーンが、計画的に去年から週刊誌を中心に作られた。今は、靖国参拝問題が起きたので、それどころではなくなった。弱い者いじめの韓国(人)叩きなど、まともな人間がすることではない。
それでも深い長い歴史の中にある互いの民族排外主義(ショービニズム)の感情の噴出であるから、これを簡単に止めることは出来ない。パク・クネのアメリカやヨーロッパ諸国への「言いつけ」、「告げ口」外交は、功を奏した。日本は、日韓併合(1910年から1945年、朝鮮半島の植民地化)や、戦争中のあれこれの所業での悪者になった。世界中に日本国がやった過去の行いの非人道は今も批判されている。
事実であることは認めなければいけない。ところが日本国内では、世界中では語られてる日本(人)による残虐な行為の数々は語られない。日本のヤクザ者たちが、ドスを腹巻に巻いて、何万人も日本軍よりももっと前方で残虐な破壊活動とかをしたのだ。ところが、「自分の民族を貶(おとし)めるようなことは言いたくない」という、情緒、感情、気分に基づく態度を日本人の多くは取る。 「自分たちは間違っていない。悪いのは自分たちだけではない」という安倍晋三支持層の日本人の頑(かたく)なな態度は、このあと、これからますます、日本を窮地に追い込むだろう。世界をどんどん敵に回してゆくことになる。
韓国は、日本との竹島(韓国名、独島、ドクト)問題で態度を硬化させている。それで、アメリカが音頭を取っての米・日・韓の 三国での軍事同盟の邪魔をしている。いつでも暴発しそうな北朝鮮に対抗する軍事協定を作ることに反対して、韓国はアメリカを困らしているようにさえ見える。韓国は、アメリカが買え、と言っている、TMD(ミサイル防衛網)を買わない、と言った。
サードも買わない。そして、在韓米軍(2万人ぐらい)の撤退問題も先送りにしている。朝鮮戦争の時の国連軍(こくれんぐん)の最高司令官の地位を、アメリカ軍人から韓国軍人が引き継ぐ交渉も、ほったらかしにしている。
韓国は、アメリカ軍の韓国からの撤退を望んでいない。韓国駐留のアメリカ軍師団は、今はもうソウル市の北方 (板門店、パンムンジョンの近く)には居なくて、南の釜山(プサン)にいるはずだ。このアメリカ陸軍の旧第5軍(マッカーサー元帥が率いてきた)は、逆に、韓国の人質になっている、という感じだ。
14. バイデンは、12月3日(日本)、4,5日(中国)、6日(韓国)に来た時に、「自分は、中国と韓国と日本の、国境紛争の 仲介、仲裁の訳はしない」と、はっきりと言っている。 勝手に争えばいい、という腹(はら)だ。アメリカは、困った、困った、「この地域(リージョン)の平和を乱すな」という振りをしているが、その実、バイデンは、今の極東の 事態を楽しんでいる。あの口を、ニーと横に開いて笑う、あの顔にそう書いている。
バイデンとヘーゲルは、米軍の戦争への のめり込みを避けて、オフショア・バランシング戦略で、米軍をどんどん撤退させる戦略で動く。米軍を戦争に投入する気はない。これは、介入主義に反対する現実主義(リアリズム)政治学の立場であり、自国平和主義だ。だから、何かあったら、米軍を、まずその家族たちからさっさと韓国からも、そして、沖縄からも飛行機に乗せて撤退させる作戦である。だから、韓国としては、米軍を逃がさないで、韓国に居させたままにする、という戦略になる。
パク・クネが率いる韓国は、深く中国と連携している。サムスンも中国およびその後背(こうはい)のユーラシアの大きな市場で生き延びようとしている。韓国の対・大国(日本を入れて4つだ。中国、ロシア、日本、アメリカ)を相手の生き残り戦略のは、今から冴えてくる。 まるで韓流ドラマの歴史ものを見ているようだ。
それが分からないで、ただ単に、感情、気分、気持ち、情緒だけで、韓国嫌いで自分の頭が一杯の日本人は、うまく騙(うまく)されるだろう。周りの動きを冷静に見れなくなって、傲慢(ごうまん)な態度で、相手を見下しているだけなら、やはり、歴史のあれこれの教訓からしても、知恵の足りない方が負けだ。
私、副島隆彦の態度は、すでに書いたが、「竹島は韓国にこころよく差し上げるべきだ。そして、あの海域を仲良く2国で共同開発すべきだ」論だ。このことは今日は書かない。
15.セオドア・ルーズベルトという男が出現したのは、1901年からだ。マッキンレー大統領が暗殺されて、副大統領から成り上がった。アメリカ合衆国が、それまでの素晴らしい“デモクラシーの元祖”の国だったのがどんどん汚(よご)れ出したのは、このローズベルト(イギリス英語と、古都ボストン読みならローズベルトだ)の時からだ。
この時から、アメリカは世界を支配する悪い国に変身していった。背後に石油財閥となって表れたロックフェラー家の暗躍が始まっている。ルーズベルト大統領が、1904、5年の日本とロシアの日露戦争( The Russo- Japanese War )を、上手に仲介、仲裁して両国にポーツマス条約を結ばせた。 そしてアメリカが漁夫の利を得た。
すべては深く仕組まれているのである。この後、ロシア帝国(ロマノフ王朝)は滅んだ。全く同じ時期に、オスマン・トルコ帝国(アラブ・中東全体を支配していた)も滅んだ。ヨーロッパの帝国だったオーストリア=ハンガリー2重帝国も滅んだ(1914年)。この頃、第一次世界大戦が勃発している。中国の大清帝国(満州人の清朝)も滅んだ。
そして、何と世界を支配した大英帝国(ザ・コモンウエルス・オブ・ザ・ネイションズ)までもこの時期に滅んでいる。4つの帝国が、全く同じ時期に、バタバタと倒壊、滅亡したのである。そしてこの地上にアメリカ帝国だけが残った。こういう歴史の大きな真実を知り、過去から真剣に学ばないないようなら、この先の世界ゲームにおいて、私たち日本(人)は負けだ。
15.安倍晋三の靖国参拝は正しい。正しい反米感情の吐露だ。「ヤルタ=ポツダム体制の打破」、「戦後レジームからの脱却(だっきゃく)」、「東京裁判史観の否定」を、自分たちの内心の信念とし、執念にまでして胸に刻んている者たちの、強い感情の現れた。その意味において安倍の行動は、正しい。
そしてそのせいでボロを出してしまった。押し黙って、本心を語らず、もっと狡猾に動くべきだったのだ。「靖国参拝をあれほどするなと、私たちはきつく言っただろ」と、自分を首相にした策略の最高責任者である、リチャード・アーミテージからさえも、” It's over . =
Abe is over .” と愛想(あいそ)尽かしをされてしまった。もっと上手にアメリカの裏をかいていたら、叔父の佐藤栄作並みの5年間の長期政権を作れただろうに。それももう無くなった。この5月まで持(も)てば大したものだ。
「お腹(なか)を壊して、また政権放り投げ」というのだけは、勘弁してほしい。私も自分の本にあれこれ書いて出す必要があるので。
それと、安倍が言い訳する、「非戦(戦争をしない)の誓いを新たにするために、私は靖国に参拝した」という明らかに弁解のウソじみた言葉は、世界(中)は、理解しないし、どうせ説得されないから、やめた方がいい。 日本(人)でだけ通用する「死んだら、どんな人も、みな神になるのだから、皆で、拝めばいい」というのも、世界では通用しない。
16. 私、副島隆彦が大いに気に入らない、あと一点のことを、最後に書いておく。 それは、だから、安倍信三たちは、第二次大戦の連合(諸)国=連合国側が、そのあと作った、今の世界体制、世界秩序(ヤルタ=ポツダム体制)が、私たちは気に入らない。そこから脱却したい。これを壊したい」と、 正直に言うべきだ、ということだ。
右翼、愛国者であるなら、そのように世界に向かって、正直に言ってほしい。
それを言わないで、「戦争の起きない、平和を願う気持ちを新たにしたいから、自分たちは、靖国に参拝するのだ」という、歯の浮くようなウソを言うから、私はお前たち、今の日本右翼 「ザ・カルト・オブ・靖国」勢力が嫌いなのだ。人間はまずおのれに向かって正直でなければいけない。
16.世界に向かって正直さがない。「日本は、もう一度、戦争をやって、今度こそ、アメリカに勝って見せる」と、きっぱりと言うだけの人物、保守言論人がひとりもいない。このことを私、副島隆彦は残念に思う。だから、日本国民の中の、素朴な人々の「靖国に東条英機大将まで祀(まつ)って、何が悪いのだ。戦争で死んだだけでなく、アメリカの勝手な軍事裁判で死刑にされて、絞首刑にされたのだ。だから、14柱のA級戦犯たちも、その霊、御霊(みたま)に私たちが参拝に行って、何が悪い」と、はっきりと言うべきだ。そうすれば、安倍支持派の3割の国民の、鬱積した感情が晴れ晴れとなる。
私は、彼らがそのように正直に、日本人の真心(まごころ)を赤心(せきしん)を、はっきりと言うなら、安倍信三は正しい、と考える。「非戦の誓いを新たにするために参拝した」というウソは、世界中にではなく、同族でありなんでも肌で感じて互いに分かる同じ日本人に対するウソにもなる。だから、それはやめてくれ。
安倍晋三は、自分の内面と、その燃え上がるような情念と、自分のお祖父さんの岸信介(戦争開始時の商工大臣でA級戦犯) の亡霊、怨霊の無念に報いたいの一心だろうから、その、おのれの執念と主観においては正しい。しかし、その正しさにはどうしても限界がある。世界では通用しない。そこにあるのは、世界の大きさを知らない、恐るべき幼稚さであり知能の低さだ。
ここまで来ると、安倍晋三の己の主観での正しさは、やはり、感情、情緒、気分での正しさだ。生来の深い知恵の無い、人生の苦労を知らない、ボンボン息子のこういう人間を、指導者に頂(いただい)たくかない国民の悲劇である。鍛えた頭脳と、苦労を重ねた体験を持つ、本当に知恵のある人間を自分たちの指導者に持てない国民は哀(あわ)れである。その末路は今のうちから、もう見えてきた、と私は言うしかない。 (了)
〔仁王像注〕
かつて東京裁判史観容認のこの男を批判したが、上の文脈であれば大筋として支持したい。
断言、断定、予言については保留する。
・「東京裁判史観」容認派の男のこっそりした言論すり替え事件!
http://www.asyura2.com/07/dispute26/msg/546.html
投稿者 仁王像 日時 2007 年 10 月 12 日 20:05:51: jdZgmZ21Prm8E
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