http://www.asyura2.com/12/bd61/msg/249.html
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http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n164416
もくじ
まえがき
本題〜モデルになった場所
本題〜モデルになったとはいえない場所
蛇足〜執筆者コメント
あとがき
まえがき
宮崎駿監督のジブリ作品である千と千尋の神隠しは2001年に公開されてより大ヒットし、10年以上たった今でも観 客動員数と興行収入が国内では(洋画も含めて)1位を維持しています。また、アニメ初となるベルリン国際映画祭で大賞の金熊賞を受賞し、TV放映時の視聴 率が46.9%というこれまた映画番組の歴代最高新記録を記録しました。
これほどに注目された作品ですので、様々な情報がネット上にあふれています。舞台のモデル地についても同様に様々な 情報が掲載されています。しかし残念なことに、参照元が不確かなものであったり、公式に否定されている間違った情報があふれています。ここではインタ ビューやジブリの公式サイトなど確実な情報源をもとにモデル地とそうでない場所を分類します。
※このノートを見て、聞きたいこと、疑問に思うことや「ここが変だ」「これはまちがいでは?」などと思うことがありましたら、遠慮なくノートの末尾にある「ライターに質問」をお願いします。また、「こういう点が面白い,参考になった」、「こういう点がつまらない,参考にならない」などの感想があればこれもノートの末尾にある「アドバイスを送る」からコメントをしてください。みなさんの質問やアドバイスは必要に応じてノートにフィードバックしようと思います。ご協力お願いします。
本題〜モデルになった場所
モデルになった場所として公式に認められている場所は以下の3つです。
1.道後温泉(愛媛県松山市)
2.江戸東京たてもの園(東京都小金井市)
3.目黒雅叙園(東京都目黒区)
1.道後温泉について
記載のある公式資料は以下の通りです。
・千と千尋の神隠しロマンアルバム(美術監督の武重洋二氏インタビュー)
・ジブリ公式ホームページ内「いつものジブリ日誌」2003年1月9日分
http://www.ghibli.jp/15diary/000060.html
千と千尋の神隠しロマンアルバム(美術監督の武重洋二氏インタビュー)によれば、
『外装は以前社員旅行で行った四国の道後温泉のことを思い出したりしながら作業をしました。』
とあります。
ジブリ公式ホームページ内「いつものジブリ日誌」2003年1月9日分によれば、
『また、湯屋「油屋」のモデルはどこか、という質問を映画の公開直後からたくさんいただきました。この件について、 宮崎監督に直接質問したことがありますが、監督の答えは、「色々な温泉が入っていて特定のモデルはないけれど、道後温泉は確かに入っている」とのことでし た。これは、「スタジオジブリ絵コンテ全集13 千と千尋の神隠し」(徳間書店刊)をお持ちの方なら「カット番号733」(333ページ)を見ていただけ ればわかると思いますが、河の神様が出て行く大戸に「導後」という文字がはっきりと書かれています。そう、これは松山にある「道後温泉本館」を示唆してい るのではないかと思われます。』
とあります。
道後温泉本館
絵コンテにある「導後」の文字
2.江戸東京たてもの園について
記載のある公式資料は以下の通りです。
・千と千尋の神隠しロマンアルバム(美術監督の武重洋二氏インタビュー)
・千と千尋の神隠しパンフレット(宮崎駿インタビュー)
・ジブリ公式ホームページ内Q&A
http://www.ghibli.jp/40qa/000026.html
・ジブリ公式ホームページ内「いつものジブリ日誌」2003年1月9日分
http://www.ghibli.jp/15diary/000060.html
千と千尋の神隠しロマンアルバム(美術監督の武重洋二氏インタビュー)によれば、
『「江戸東京たてもの園」には今回の背景スタッフ10人でロケハンに行きました。細かい質感はそういうところを生かしています。』
とあります。
千と千尋の神隠しパンフレット(宮崎駿インタビュー)によれば、
『あそこに出てくる町は都立小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」のような世界をイメージしました。そこは明治、大正時代の民家や商店などが移 築、復元されている博物館なんですけど、僕はもともとその頃の擬洋風建物が好きなんです。千尋が生活することになる湯屋の従業員宿舎は昭和20年代にあっ た工場の寮や、紡績工場の女工たちの部屋をイメージしました。』
とあります。
ジブリ公式ホームページ内Q&Aには『大いに参考にした場所』という扱いで記載されています。
ジブリ公式ホームページ内「いつものジブリ日誌」2003年1月9日分によれば、
『映画の設定である「商店街の一角にそびえ立つ銭湯」について、大いにインスピレーションを与えたのは、「江戸東京たてもの園」の「子宝湯」(こだからゆ)です。ただし、子宝湯の建物自体は「油屋」のように巨大なものではなく、建物のイメージは幾分異なります。』
とあります。
江戸東京たてもの園物語という今は絶版になってしまった本の中で宮崎駿は園内の武居三省堂に対する思い入れを述べています。武居三省堂は壁一面に筆 入れの棚があり、カマじいの部屋のモデルになっているのではないかと思われます。ほかにも園内の食事処には宮崎駿のサインが飾られていたりします。
江戸東京たてもの園内 子宝湯
江戸東京たてもの園内 武居三省堂
武居三省堂内 無数の筆入れ棚
江戸東京たてもの園東ゾーンの街並み
食事処内 宮崎駿サイン
宮崎駿と園内の路面電車
3.目黒雅叙園について
記載のある公式資料は以下の通りです。
・千と千尋の神隠しロマンアルバム(宮崎駿インタビュー)
・千と千尋の神隠しパンフレット(宮崎駿インタビュー)
・千と千尋の神隠しパンフレット(美術監督の武重洋二氏インタビュー)
千と千尋の神隠しロマンアルバム(宮崎駿インタビュー)によれば、
『あれは鹿鳴館であり、目黒雅叙園です。日本人にとって豪華というのは御殿と洋風(擬洋風)と竜宮城がごっちゃになってて、そこで洋風っぽく暮らすことなんです。』
とあります。
千と千尋の神隠しパンフレット(宮崎駿インタビュー)によれば、
『千尋が働くことになる湯屋は目黒雅叙園も参考にしています。』
とあります。
千と千尋の神隠しパンフレット(美術監督の武重洋二氏インタビュー)によれば、
『でもこの湯屋を描くのに一番参考にさせてもらったのは目黒雅叙園です。湯屋の中の壁の装飾とか天井などは特にそうです。目黒雅叙園の写真集を見な がら。あれはなかなかすごいですよ。壁中に装飾がしてあって、天井に二条城の丸い絵が埋まってたりして。ありとあらゆる擬洋風のものが寄せ集まっている感 じなんです。』
とあります。
本題〜モデルになったとはいえない場所
公式資料等に否定されている,または記載がないという理由でモデルだと断言できないという場所のうち、よくネット上で「モデルである」と断言した記述をよく見かけるものを紹介します。
・草津温泉(群馬県吾妻郡草津町)(ただし効果音の採集はここで行われた)
・いわき湯本温泉(福島県いわき市)(ただし効果音の採集はここで行われた)
・銀山温泉(山形県尾花沢市)
・鎌先温泉(宮城県白石市)
・四万温泉(群馬県吾妻郡中之条町)
・渋温泉(長野県下高井郡山ノ内町)
・羽合温泉(鳥取県東伯郡湯梨浜町)
・鶴巻温泉(神奈川県秦野市)
・湯原温泉(鳥取県倉吉市)
・九份(台湾新北市瑞芳区)
ジブリ公式ホームページ内「いつものジブリ日誌」2003年1月9日分
http://www.ghibli.jp/15diary/000060.html
に以下のような記載があります。
『映画の効果音の採集に協力していただいた温泉地として、「群馬の草津温泉」「福島のいわき湯本温泉」がありますが、これはもちろん「油屋」とは一切関係ないでしょう。
公開後、「山形の銀山温泉」「宮城の鎌崎温泉」「群馬の四万温泉」「長野の渋温泉」「鳥取の羽合温泉」などの温泉宿から、「うちがモデルではない か」というお話をいただきました。いずれも、古風で立派な建物で、なかには、正面に赤い橋が架かっていたり、大きな湖に面していたりする、映画にそっくり な湯屋もありました。また、同じ「油屋」の屋号を持つ温泉旅館は国内に何軒かあり、中でも長野県の諏訪湖畔に建つそれは、結構似ているようにも見えます。 これらの温泉地に監督が訪れたことがあるのか否かについては、残念ながらわかりませんが、監督が特定のモデルはないという以上、正解ではないようです。』
四万温泉については、積善館が「モデル」だとしており、温泉に向かう道に千と千尋の神隠し主題歌「いつも何度でも」が流れるメロディラインが設けられていますが、四万温泉は残念ながらモデル地であるとはいえません。
四万温泉に向かう道路を通ると流れる「いつも何度でも」
また、九份に ついてはネット上のあちこちにモデル地であると断言されたサイトが存在し、なかには宮崎駿がロケハンに行きスケッチをしていると記載されたものもありまし たが、そのような情報は私が知る限り、公式資料中に存在しません。なお美術監督の武重洋二氏インタビュー中には次のような記述があります。
『(宮崎駿)監督から「屋根の角度が違う」とか「これでは中国だ」とか細かいところまでチェックが入るんですよ。』
『中国というのは考えませんでしたね。堤灯の赤も日本で見た赤のイメージだったので。』
これらの記述から、少なくとも中国の街は100%舞台ではないと断言できると思いますし、台湾の九份についても「日本で見た赤のイメージ」にはそぐいません。
武重洋二氏インタビューのタイトルも『日本の風景の中にある”赤”』となっていますし、宮崎駿も千と千尋の神隠しパンフレットおよびロマンアルバム中のインタビューで
『湯屋っていうのは、今のレジャーランドみたいなところで、室町時代にも江戸時代にもあったものです。結局僕は日本を描いているのです』
『あれは日本そのものです。あそこに出てくる町は都立小金井公園内にある「江戸東京たてもの園」のような世界をイメージしました。』
とありますから、九份が舞台のモデルである可能性は極めて低いといえます。
追記:台湾(九份)がモデルでないことを証言した宮崎駿インタビュー動画の情報を閲覧者の一人の方からいただきましたのでここに紹介いたします。
https://www.youtube.com/watch?v=zkp6UtBcUns
その他の場所については公式資料に記載がないという消極的な理由ですが、モデル地とは断言できない場所です。
蛇足〜執筆者コメント
・そもそもなぜにこんな知恵ノートを作ろうと思い立ったかというと、知恵袋で「千と千尋の神隠し モデル」とか「千と千尋の神隠し 舞台」といったワードで解決済みの質問を検索すると、なんとほとんどの質問で間違った回答がベストアンサーになっているんです!
しかも中には舞台とはいえない場所をわざわざ訪問しに行く千尋ファンがいるんです(特に台湾の九份!)!
もちろん舞台訪問だけが旅行の目的ではないでしょうが、第一目的にしている人も多々います。なんだかもどかしくてしょうがありません。
九份はツイッター上では「モデルだ」と断言されたツイートが多く、多数の写真が掲載されています。本当にヒドイです。
みなさん誤った情報に惑わされないでくださいね!
ないとは思いますが万が一九份がモデルだと示す正確な情報や根拠があるならノートの末尾にある「ライターに質問」もしくは「アドバイスを送る」からその情報を紹介してください。私も長年探し続けておりますがいまだに見つかりません(笑)。
さらに、本編にも述べたとおり、四万温泉!!!!積○ 館の方はジブリに問い合わせて「舞台とはいえない」と回答を受けているはずなのにも関わらず、堂々と「舞台」と宣言していますし、それを支持するかの如く 「いつも何度でも」のメロディラインが設けられています。四万温泉に限らずこの知恵ノートで紹介した温泉や街は風情があり、千と千尋に関係なく訪れる価値がある場所ではあると思いますが、千と千尋の人気を商業利用(わるくいえば悪用)している感がある場所もあり、残念です。
↓誤っているベストアンサー群(一部正しい情報もごっちゃになっている)
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1223629882
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1258268137
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1462090394
その他多数
↓間違った場所に行っちゃった例
http://zapanet.info/blog/item/1668
http://tsurebashi.blog123.fc2.com/blog-entry-188.html
http://ameblo.jp/asamayama168/entry-11125828413.html
http://keikanri.com/archives/6375
http://d.hatena.ne.jp/katsura8/20120725/1343189161
その他多数
・この知恵ノートが「NAVERまとめ」で紹介されました。執筆者の方(見当はついていますが)、どうもありがとうございます!
http://matome.naver.jp/odai/2134427249855744901?&page=2
そのほかツイッターなどでこの知恵ノートを紹介してくださる方がいるようです。感謝しています。皆さんもぜひツイッターなどで引用していただければと思います。
・のべ35000人もの方々にご覧になっていただき、嬉しい限りです。このページを見ていただいた方はもうガセ情報に惑わされずにすむと思うと安心します。
あとがき
ここまで長いこと閲覧下さりありがとうございました!!!
いいたいことは言い切ってすっきりしました(笑)。モヤっとした疑問が残った皆さんは下の「ライターに質問」を、同じくすっきりした方や、ビミョーな感じで不満が残った方も下の「アドバイスを送る」をお願いします!
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