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『ニューズウィーク日本版2013/2・19』
P.57〜59
「ゲイ御一行様いらっしゃい!
旅行:イスラエルのテルアビブが世界中の同性愛者が押し寄せる新たな人気スポットに生まれ変わった
ロサンゼルス在住のテレビ局幹部スコット・パールムッターは44歳のゲイ男性。旅をこよなく愛する彼は毎年、娯楽と文化を同時に楽しめる完壁なバカンスを求めて、何カ月も前から旅の準備を重ねる。この数年だけでもリオデジャネイロ、ブエノスアイレス、ベルリンなどを訪れ、同性愛者向けのイタリア豪華客船クルーズにも参加した。
昨年夏にはギリシャ沖に浮かぶミコノス島で休暇を満喫した。ビキニブリーフ姿のハンサムな男たちに、息をのむほど美しい夕日。「同性愛者に優しい」と評判のリゾート地での10日間は、まさに珠玉の体験だった。
それだけに、流行に敏感な(そしてユダヤ人でない)友人たちから、次の施行先にイスラエルのテルアビブを凍案されたときは驚いた。「前回イスラエルを訪れた80年代には、空港は滑走路さえない原っぱだった」
だが先日テルアビブを訪れた彼を待っていたのは、正反対の現実だった。ベングリオン空港は巨額の改修工事で大変身を遂げ、テルアビブの町自体もまったく別の姿に変貌していた。「信じられない」とパールムッターは言う。「ラスベガスがパワーアップしたみたいな町だ」
同性愛者専用ビーチでくつろぎ、ゲイが集うバーやナイトクラブでパーティー三昧。宿泊は、この数年で急増したゲイ向けホテルヘ。さらに最高なのは、「いい男」が町中にあふれていることだった。「彼らを見過ぎて首がねじれそうだった」と、パールムックーは笑う。「ハンサムな男の写真をアメリカの友人に送り過ぎて、通信費が500ドル掛かったよ」
この3年ほどで、テルアビブは世界中の同性愛者たちが集まる「ゲイツーリズム」の注目スポットに躍り出た。今年は5万人のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)旅行者が訪れ、来年はさらに倍増する見込みだ。
昨年10月に発表された欧州同性愛旅行者協会の報告書によれば、ヨーロッパの同性愛者は年問650億ドル、アメリカ人同性愛者は640億ドルを旅行に費やすという。テルアビブ市当局が、ゲイ流行者の殺到を大歓迎するのは当然だろう。
数十年かけて「ゲイが集まる町」の地位を築いたアムステルダムやベルリンとは対照的に、テルアビブの突然の台頭は綿密に計算されたものだ。
きっかけは4年前、ロン・フルダイ市長(ゲイではない)がテルアビプには同性愛者に好まれる要素が満載だと気が付いたこと。暖かい気候、美しいビーチ、華やかなナイトライフ、活気あるゲイコミュニティー、世界に誇れる美しい男たち。問題は、そうした魅力が世界に知られていないことだった。
イスラエルは宗教色と戦争のイメージが強く、ゲイ旅行者に敬遠されがちだった。そこで市長は、国ではなくテルアビブの町を前面に出そうと考えた。
「一皮来た人はみんな、この町を気に入ってくれる」と、ゲイツーリズムに関する市長のアドバイザー、ヤニフ・ワイズマンは言う。「だからイスラエルではなく、テルアビプだけを売り込む方針に切り替えた」
美しい男の写真集でPR
まずイスラエル観光省とイスラエルホテル協会から助成金を得て、PR資金を確保。さらに、市の観光予算の3分の1をゲイ旅行者の誘致に充てた。
ルックスのいいイスラエル人著名パフォーマーを世界各地の同性愛者向けイベントに派遣し、ゲイ・レズビアン向け情報誌「アウト」や「アドボケート」にセクシーな広告を掲載。ベレス・ヒルトンのような有名プロガーを旅費持ちで招待して、市のPRに一役買ってもらったこともある。
その効果はてきめんだった。世界中から押し寄せたゲイ旅行者が町にカネを落とし、市の財政をよみがえらせた。
プロジェクト開始から3年足らずの2011年には、アメリカン航空とゲイシティーズ・ドットコム主催のランキングで「世界一ゲイな町」に選出された。ニューヨークやベルリンを大差で引き離しての栄冠だった。フルダイ市長の先見の明も高く評価されている。「先日もミラノ市長から電話があり、成功の秘訣を聞かれた」と、彼は笑う。
ゲイツーリズムの波及効果は国内の旅行業界全体に及んでいる。「昨年は約300のゲイツ
アーを募集したが、今年は500に増やし、来年はさらにその倍にしたい」と、イスラエル最大手の旅行代理店オファキムのイスラエル・ロドリゲは話す。
追い風に乗って一気に攻勢をかけようと、同社は豪華写真集『イスラエルの男たち』を制作中だ。国内のさまざまな風景をバックにポーズを取る筋肉美の男たち42人を売れっ子写真家が激写した写真集で、これを旅行業界の国際見本市で配り、旅行者誘致に役立てようというのだ。
「ゲイツーリズムにおける最大の観光資源はイスラエル人男性だ」と、ロドリゲは言う。「多
様な民族の血が混じっているから美形の男が山のようにいる」
フルダイ市長に言わせれば、テルアビブにはさらなる強みもある。「広告にどれだけ金をつぎ込んでも、現地の人々が同性愛に偏見を持っていればゲイ旅行者は来ない」
その点、テルアピブでは同性愛者も気兼ねなく過ごせる。目抜き通りでは手をつないだり、ベビーカーを押すゲイのカップルをごく普通に見掛ける。
同性カップルに育てられる子供が増えて「ゲイビー・ブーム」が起きていると、同国きっての人気ドラマ 『ママとパパたち』の生みの親アブネル・ベルンハイマーは言う。このドラマは独身女性の助けを借りて子育てをする男性同士のカップルを描いたもので、ベルンハイマーの実生活を基にしている。ケーブルテレビ局に企画を売り込むと、即座に採用されたという。
ニューヨークやロサンゼルスもゲイに寛容な街として知られるが、多くの同性愛者はチエルシー地区やウエストハリウッド地区のような特定の地域に集まって暮らしている。その点、テルアビブはより開放的で、「市内のあらゆるカフェやレストランがゲイを受け入れてくれる」と、ベルンハイマーは言う。
『ママとパパたち』に主演した3人の人気俳優の1人で、「イスラエルのブラッド・ピット」
と呼ばれるイェフグ・レビは、イスラエル軍の男性兵士同士のロマンスを描いた映画『ヨツシ&ジャガー』でも主演を務めた。
レビ自身は同性愛者ではないが、その甘いマスクはどんな広告より効果的な「看板」かもしれない。「同性婚の家族が社会で受け入れられることに貢献したい」と思ってこの役を引き受けたと、彼は言う。
奔放なセックスに批判も
一方で、ブームに批判的な声もある。HIV感染とドラッグの使用が急増している点は、一部の同性愛者も危供している。エイズ対策機関イスラエル・エイズ・タスクフォースによると、ゲイツーリズムのブームが始まる直前の07年と比べ、HIV感染者は30%急増した。「テルアビプはタイの二の舞いになりつつある」と、ベルンハイマーは言う。ゲイツーリズムは「基本的にセックスツアーだ。客の目的はセックスとドラッグで、テルアビブは乱交パーティーの会場になつた」。
もっとも、エイズ感染者が増えたのはゲイツーリズムのせいではないかもしれない。「新薬ができてエイズへの警戒心が薄れた」と、イスラエル・エイズ・タスクフォースの責任者エバル・リブナットは指摘する。「エイズが死に至る病気ではなくなり、無防備なセックスをする人が増えた。これは世界的な傾向だ」
イスラエルでは今も、HIV感染者は比較的少ない。昨年新たに感染した人は過去最多の4
54人。うち148人は同性との性行為で感染した男性だった(人口規模が同程度のニューヨークでは11年に2225人の新たな感染者が確認されている)。
フルダイ市長に言わせれば、ゲイツーリズムはいいことずくめだ。経済効果だけでなく、市のイメージアップにも役立っている。「テルアビブは宗教や性的指向、ユダヤ人かどうかを問わず、あらゆる人を歓迎する町だ。ゲイの人々の存在もこの街の魅力の一部になっている」
目頭のパールムッターもテルアビブ滞在を満喫したようだ。「モントリオールとマンハッタンとロンドンを一緒にして、もつとしやれた、もっと活気ある街にしたのがテルアビブだ」
イタイ・ホッド」
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