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日米韓3カ国首脳会談に臨む(右から)安倍首相、韓国の朴槿恵大統領とオバマ米大統領=25日、オランダ・ハーグ(共同)
【追跡〜ソウル発】安倍首相の韓国語挨拶 ガン無視の朴槿恵大統領の“お家の事情”
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140331/frn1403310849000-n1.htm
2014.03.31 夕刊フジ
米の強い働きかけと日本の深い配慮でおぜん立てし、やっと日米韓首脳会談の席に着いた韓国の朴槿恵大統領。日韓のメディアは「今回の3カ国首脳会談を関係改善のきっかけに」などと淡い期待を説く向きもあるが、改善のために朴政権が乗り越えなければならないハードルは果てしなく高い。実際のところ日韓の関係改善は今後、しばらく見通せないとの見方がもっぱらである。(ソウル 加藤達也)
「パククネ デトンニョンニムル マンナソ パンガプスムニダ(朴槿恵大統領様にお会いしてうれしいです)」
安倍晋三首相の韓国語でのあいさつに、朴大統領は完全なる無視で応じた。外交非礼この上ない態度と言える。
朴氏の仏頂面は単に「安倍嫌い」が顔に出ただけではない。
たとえば韓国のニュース専門ケーブル局、ニュースYはその無愛想の理由を「日本に対して穏やかならざる、われわれの心境を現したもの」と解説している。
これに対し左派系韓国紙の元東京特派員は、こんな見方をした。
「朴大統領は今回、これまで強くこだわってきた最重要テーマの歴史認識を一切、棚上げして首脳会談に臨んだ。これ自体が彼女にとっては大きな不安材料で負担だった。そんなところでにこやかに握手などしてしまえば野党やメディア、世論から政権に対する支持を損なう恐れがあった。安倍首相に対する外交非礼など眼中になかっただろう。両国の関係改善? 無理、無理」
これまで、慰安婦などの歴史認識問題を掲げては「責任を認めず、謝罪もしていない」と安倍首相を批判。その一方で首脳会談から逃げ、反日を率先垂範していた朴氏にとって、歴史認識でなんの成果も見込めない今回の会談への出席目的は仲介者の米オバマ大統領の顔を立てること以外、何ものでもないというのだ。
■自縄自縛の反日外交
韓国側には、対日強硬姿勢を止められない事情がある。
朴氏の支持率はいまのところ、調査機関によっては6割を超す高止まりだ。これは朴氏の支持層の特殊性に関連しているとみられる。
朴氏の支持者は、政策への賛否、評価を下す際、外交や安全保障など“国のメンツ”を特に重視することに偏重した有権者なのである。
このため朴氏は対北、対日の外交・安保政策において強気を崩さず「原則」を貫けば基本的な支持を失うことはない。
韓国では6月上旬に統一地方選挙、7月末には中央・地方の同時再選挙が控える。
こうした中の26日、2012年の大統領選挙で台風の目となり、非与党系の大統領候補を最終的に降板して現在は国会議員を務める安哲秀氏と左派系最大野党の合作政党が誕生。
新生野党は朴政権を「大統領選当時の公約が次々と廃棄されている」「国民との約束を一つも守っていないウソの政治に国民が審判を下すだろう」と批判する。
国会の議席数で与野が拮抗し「決められない政治」状態が続く中で、朴氏を支える保守系与党や大統領府は、危機意識を抱いている。
日本に対して一切妥協しない、などと突っ張ってきたおかげで朴氏は自ら、日本への対抗意識が強い国民の期待値を上げてきたが、振り上げた拳を降ろすタイミングを完全に失してしまったのである。これを「自縄自縛の対日外交」と批判する元官僚も出現するほどなのだ。
■暴走する“プロ被害者”
朴政権による反日扇動で勢いづいたのが、反日団体である。
彼らは親北朝鮮の反日勢力と、それにあおられて増長した“プロの被害者”、また左派に洗脳された学生、さらには票のために“反日英雄”になりたい政治家たちである。朴政権に同調して存在感を高めてきたこうした人々も、いまさら反日を止められない。
代表的な親北朝鮮反日の左派団体で、集会に高齢の慰安婦を引っ張り出してくる「韓国挺身隊問題対策協議会」が毎週水曜、ソウルの日本大使館前で記者会見と称して開いている違法集会に19日、首都圏の12大学の学生が合流。韓国側が主張する歴史観に沿った抗議を展開した。
26日の未明、北朝鮮は日米韓首脳会談を挑発するようにノドンを発射した。この同じ日、韓国の国会議員が大使館前に現れて「日本の蛮行を告発する」と演説。写真展示会を始めた。
展示された写真は斬首された遺体など残酷なものが多かった。だがそれらの写真について、いつ、どこで、誰がなんのために行った行為を、どのような目的で撮影されたものか−という情報は明示されなかった。韓国では、日本攻撃において、その根拠に関する真偽の検証などは一切、無用。こうして、虚偽の事実が韓国国内はもとより世界に拡散し、それに合わせて憎悪も広がり続ける構造となっている。
■政治・外交日程も関係悪化を後押し
今回の首脳会談をきっかけとした両国関係の改善には韓国政府も、既に相当に悲観的だと指摘する与党関係者もいる。
この関係者によると韓国は、近く公表されるとみている小学校社会科教科書の記述内容に「重大な関心を持って臨んでいる」という。韓国側はそこに、竹島(島根県隠岐の島町)の領有に関して「相当、踏み込んだ」記載があるとみている。
そして、4月下旬の靖国神社の春の例大祭への閣僚らの参拝状況も「日韓関係改善にとっては相当な負担だ」とみている。
韓国側はこうした日程を「日本の歴史挑発」(韓国外務省幹部)と認識。「その都度、抗議することになる」という。
韓国側は最大の対日懸案として「慰安婦問題」を挙げるが、今回の首脳会談で朴氏はこれを“封印”。その代わり、慰安婦など歴史認識問題について両国外務省の局長級による協議を開いて厳しくただしていくと国民にアピールしている。韓国側には、この協議で日本から慰安婦問題に関する前向きな姿勢を引き出したい思惑がのぞく。韓国政府内には、「4月中旬で調整が進む予定の日韓両国局長級協議での日本側の出方を見る」という認識もあるが、日本側は「日韓の懸案を幅広く扱う。慰安婦だけではなく、領土問題なども当然、含まれる」と、双方の狙いには微妙なずれがある。
日韓両国は、政治・外交日程上の爆弾をいくつも抱えながら、米国から突きつけられる関係改善要求を受けながら、関係改善を模索していくが、いざ歩み寄りを求められても、朴氏自身が高めてきたハードルは既に、乗り越えがたい高さに達している。
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