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“暴君”金正恩またナンバー2を粛清か 次なる「抹殺リスト」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140317-00000003-sasahi-kr
週刊朝日 2014年3月21日号
北朝鮮でさらなる“粛清リスト”がつくられているという。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が取材した。
北朝鮮は3月10日、最高人民議会(国会に相当)の代議員選挙で金正恩(キムジョンウン)第1書記が賛成100%で当選したと発表した。その一方で昨年12月に処刑された張成沢(チョンソンテク)・前国防副委員長の元妻で金正恩の実叔母、金敬姫(キムギャンヒ)書記らは幹部名簿に名前がなかったという。
「力を持った者は、裏切る前に必ず排除せよ」
簡単に側近を切り捨てるのが、金王朝の血塗られた“捉”なのだ。
そんな中、金正恩政権のナンバー2とされる崔竜海(チェリョンヘ)・軍総政治局長の“粛清”説が流れていた。
2月28日に韓国在住脱北者のラジオ局「自由北韓放送」が「崔竜海が監禁されて取り調べを受けている」と伝え、それを有力紙「朝鮮日報」なども報じたのだ。
叔父の張成沢に続き、さらに最高幹部の粛清という驚愕情報に、日米韓のインテリジェンス筋にはにわかに緊張が走った。
崔竜海は昨年、処刑された張成沢に代わり、金正恩の公式行事出席や現場視察に、他の誰よりも多く同行した最側近だったが、今年に入って激減していた。しかも、いくつかの重要な行事に呼ばれていないのだ。
「これは、張成沢が失脚したパターンと、非常によく似ている。張成沢も2011〜12年には金正恩に同行した回数が最も多かったが、昨年になって激減し、3番目に落ちていた。その間、金正恩の意向を受けた秘密警察が監視にあたったが、それでもいきなり消えたわけではなく、失脚直前の昨年11月には訪朝したアントニオ猪木議員と会談するなど、いちおう表舞台にはその姿を見せてました」(韓国国家情報院関係者)
極端な個人独裁体制の北朝鮮では、もともと金日成(キムイルソン)・金正日(キムジョンイル)の時代から権力層内部の粛清がしばしば行われてきたが、それは金正恩にも受け継がれている。
金正恩が世襲権力を継いでからの2年3カ月で、すでに多くの幹部が表舞台から姿を消した。なかでも目立つのは、北朝鮮社会で物理的な“暴力”という力を握る軍や秘密警察の実力者だ。独裁政権にとって、そうした勢力がもっとも警戒すべきものだからだろう。
たとえば、11年12月の金正日の葬儀で霊柩車に付き従った当時の軍部トップ4は、すでに全員が更迭されたが、うち2人は事実上の粛清といっていい。
国家安全保衛部のトップだった禹東測(ウドンチュク)・第1副部長(当時は部長ポストが空席)は、12年4月までに消息を絶った。病気などによる引退であれば、なんらかの情報が伝えられるはずなので、粛清は間違いないものとみられ、自殺説も流れている。
そして軍部でナンバーワンだった李英鎬(リヨンホ)・総参謀長も同年7月に逮捕され、現在も監禁状態にあるとみられる。失脚の要因は、政敵だった張成沢との争いに敗れたことだ。
「李英鎬と張成沢は、故・金正日が息子の後見人に指名した“金正恩体制のビッグ2”だったが、すでに金正恩はその両者とも排除した格好です。ますますワンマン体制を強化しつつある金正恩は、これからも“出過ぎた杭”とみなした政権幹部を次々と粛清していくでしょう」(同前)
その筆頭候補が崔竜海とされる。去就が注目される中、北朝鮮の朝鮮中央通信は3月7日、金正恩が朝鮮人民軍「第2620部隊」の飛行訓練を視察した写真を伝えた。
女性兵士たちに囲まれてご満悦の金正恩の背後に崔竜海が写っていたのだ。
この報道によって、崔竜海が健在であることが確認されたが、お供の激減から、崔竜海が金正恩に遠ざけられていることは明白。
いつ粛清されてもおかしくない危うい立場にあることは間違いない。
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