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2013年12月13日早朝、北朝鮮・平壌の地下鉄駅ホームで、張成沢前国防副委員長の処刑を伝える新聞を読もうと掲示板に群がる通勤者ら(AP)
【朝鮮半島ウオッチ】崩壊寸前、北朝鮮社会の不安定 「処刑」で拡大した民心離反
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140210/frn1402100850001-n1.htm
2014.02.10 夕刊フジ
張成沢氏の粛清処刑から約2カ月が経過し、北朝鮮中枢のその後が少しつづ分かってきた。権力層では張一党のあぶり出し作業が地方に拡大、表面的には忠誠競争だけが残った形だが、いつ告発されるか分からない疑心暗鬼が広がっているという。住民らは「叔父殺し」を衝撃的に受け止めており金正恩氏の神格化は完全に崩壊した。人々の間で金正恩氏の揶揄(やゆ)が聞かれ、北朝鮮消息筋は「北朝鮮社会は張成沢の処刑前と後で全く変わった」と述べた。そんななかで中朝国境は事実上の封鎖状態にある。(久保田るり子)
■恐怖政治と疑心暗鬼で混沌(こんとん)の北朝鮮暗黒社会
「第2人者(ナンバー2)は必要ないということだ。軍では崔龍海総政治局長をはじめ、すべての将軍が恐怖心にとらわれている」
北朝鮮の内部情報に詳しい複数の消息筋によると、張成沢処刑事件の動揺は収束どころか広く深く拡散している。特に軍部は忠誠競争が激しく、朝鮮労働党党中央や政府など行政畑では責任を追及されることを恐れて「誰も何も決められない状態が続いている」とされる。
権力中枢幹部から末端に至るまで「検閲」と呼ばれる取り調べが行われ、党組織指導部や国家安全保衛部(秘密警察)に加え、人民保安部(警察)とその傘下にある大学生で構成する「検閲団」などの権力組織が動員されている。
処刑事件後、金正恩氏は「脱北は指導者に対する最高尊厳冒涜(ぼうとく)として処罰しろ」と指令した。このため中朝国境では、国境警備隊に加え人民保安部傘下の「検閲団」が加わって密輸、脱北の取り締まりが強化された。海外送金と脱北は反逆罪に規定されたという。住民間で密告や裏切りが起き、当局による拘束や拷問で人々は疑心暗鬼に陥っている。「魚一匹、逃れられない」(韓国メディア)という国境付近は事実上の封鎖状態となった。
恐怖政治は強化の一途だが、政権側の締め付けは従来の恐怖だけでなく民心離反を拡大させた。「叔父殺しの残虐性の衝撃は大きい。金正恩の正体を知った住民らの間で恐怖と怒りが同時に進行している」といい、仲間内で金正恩氏を呼び捨てにすることも珍しくないという。
■統治資金が急減、張成沢氏の使途不明金疑惑が金正恩氏の逆鱗に触れた?
金正恩政権は年明けから平和攻勢で場面転換と支援獲得に乗り出した。年始演説で金正恩氏は南北関係改善を提唱、先月下旬には国防委員会が公開書簡で韓国に「誹謗(ひぼう)中傷を相互に中止しよう」と“重大提案”した。続いて離散家族再会について韓国と合意した。
融和姿勢の背景には、統治資金の枯渇による経済難と国際社会からの孤立がある。離散家族再会に応じたのはドル箱の金剛山観光の早期再開が狙いとみられている。
5年半前に中断した南北共同事業の金剛山観光は年間約5000万ドル(約51億円)の現金収入をもたらしていた。だが、金剛山観光再開に関して韓国が「まず離散家族再会が先」と条件を付けているため、資金不足の北朝鮮が環境整備に出てきたとの見方が多い。
資金逼迫(ひっぱく)に関しては張成沢氏の粛清処刑に関連し、「統治資金のかなりの額が行方不明になっているとの情報がある」(消息筋)
張氏は金正日総書記死後の金正恩氏の世襲政権立ち上げとともに権力を独占していく課程で、金正恩氏の希望する遊戯施設やスキー場などの資金を調達すると同時に、張一党を形成するためにもこの資金を使っていたとみられる。金一家がスイスを始め世界各地の口座に持つ秘密資金は米韓が把握しているだけで約50億円とされるが、「張氏が金を使い込み、これが金正恩氏の逆鱗に触れたのでは」との情報もある。
そうでなくとも金一家のぜいたく生活や特権幹部をつなぐための統治資金は年々、目減りの一途にあった。90年代には軍幹部にベンツやピアノを贈り朝鮮人民軍120万人に時計を贈ったこともあるが、近年の事情悪化は著しく、核実験、ミサイル発射による国際制裁に加え、武器輸出、偽ドルなどの不正輸出は国際監視網強化で収入が激減していた。
統治資金を管理する朝鮮労働党39号室の収入は、かつて年間10億ドルとされたが、近年は2億ドル前後に落込んだとみられる。北朝鮮情勢に詳しい米国情報筋はこう指摘している。
「張氏の事件で中国との関係が冷却化し中朝貿易の決済も滞っていて今後の見通しは暗い。米朝関係は核問題がネックで打開が困難。このため南北関係改善に出てきたが、統治資金の枯渇は今後、目に見えている。資金問題が暗黒社会となった北朝鮮で求心力を失っている金正恩政権の急所になる可能性が最も高い」
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