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「キーセンみたい」 平壌市民から正恩氏夫人に批判の声
李雪主氏を金正恩氏偶像化に利用するも深刻な逆効果
北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の妻・李雪主(リ・ソルジュ)氏について、平壌市民の評価が非常に否定的であることが分かった。故・金正日(キム・ジョンイル)総書記は生前、妻を表舞台に出さなかったこともあり、金正恩氏の妻である李雪主氏の登場は北朝鮮社会には文字通り「衝撃」そのものだった。ところが当初は若い指導者の「青二才コンプレックス」克服に役立つとされ、全世界のマスコミから注目を浴びた李雪主氏だが、現在北朝鮮では非常にマイナスの評価を受けていることが最近になって伝えられ始めた。
先日韓国にやって来たばかりという平壌出身のある女性は、李雪主氏の大胆ともいえるファッションに対する平壌市民の反応を伝えた。この女性によると、平壌市民は李雪主氏について「資本主義の尻軽な風潮に染まった健全さに欠ける女性」「指導者の妻となった女性が下品で派手な格好をして妓生(キーセン、芸妓〈げいぎ〉)のように振る舞っている」などと非難しているという。高齢世代はもちろん、若い世代の間でも「セシゲ(礼儀に欠けて出過ぎた行動を取る人間)のような女性が人民を統治できるのか」「重みがなく社会の雰囲気を悪くする」など批判的な声ばかりだという。
さらには「わずか1日の間に七面鳥のように12回服を着替えた」「ヘアスタイルも長くなったり短くなったりしている」「歌を歌っていた女がどのように政治をやるのか」など批判的な声はその後も次々と出ている。上記の女性は「政権に対する住民の不満が、比較的くみしやすそうな李雪主氏に向かっているようだ」との見方を示した。
李雪主氏の表情についても「しっかりしていない」「何がそんなにうれしいのか、自己満足に酔って口を閉じる暇もなく笑ってばかりだ」など、やはりネガティブな指摘が多いという。さらに「賢明さや心の広さ、大人の余裕が全く感じられない若いだけの卑しい女」など、かなり過激な批判の声もあるという。人民に対しては資本主義に染まらないよう厳しく取り締まりながら、模範を示すべき指導者の妻が先頭に立って資本主義の軽々しい雰囲気を出すことに、平壌市民は納得ができないようだ。これらの批判を意識してか、李雪主氏の服装は最近になってやや重々しい雰囲気に変わりつつあるとの見方もある。
世論が厳しくなると、国家安全保衛部(秘密警察)では「李雪主氏について一切口にするな」「何か言う人間がいれば通報して身柄を拘束せよ」などの指示が下されたという。かつて歌手をしていた李雪主氏の過去を消すため、関係するCDやテープはすでに回収され、またそのことについてはかん口令が敷かれているという。要するに李雪主氏を前面に立てて金正恩氏の偶像化に利用するという計画は、大きな逆効果を招いてしまったのだ。
北朝鮮では過去にも偶像化を進めて失敗した前例がある。金正恩氏の実母である故・高英姫(コ・ヨンヒ)氏の偶像化を進めたところ、金正恩氏の私生活に対する平壌市民の関心を高めるという逆効果を招いた。北朝鮮は2年前、高英姫氏偶像化のための記録映画『先軍朝鮮の母』を幹部用に制作したが、市民に金正恩氏出生の秘密への関心を持たせるだけで終わったという。また映画を見た市民は、高英姫氏が金総書記の現地視察にサングラスを掛けて同行しているのを見て「生意気過ぎる」「あのサングラスを取れ。夫がサングラスを掛けているだけでも不快なのに」などと非難したという。
さらに「あの母親(高英姫氏)は将軍様(金総書記)の妻らしいが、最初の妻ではないようだ。一体何番目なのか。名前は何だ」「将軍様は女好きで金正恩氏は愛人の子だ」などと各地で市民たちが語り合うようになったため、党と保衛部が関係するCDを急きょ回収する騒動が起こった。北朝鮮の内部事情に詳しい消息筋によると、平壌市民は金総書記が死去した際、涙を流すどころか「やっと死んでくれてすっきりした」という声が相次いだという。さらに「金正恩氏が登場するときに、父親(金総書記)ではなく祖父(金日成〈キム・イルソン〉主席)のまねをしたことも、このような理由(金総書記の女性関係)があったからだ」「(金日成主席のまねをしたので)金正恩氏はその恩恵にあずかった」という声もあった。
しかし金日成主席に似るため金正恩氏が整形手術を行い、意図的に太った事実を市民が知ると、平壌市内では「若造が肥満になって食肉用の豚みたいになった」などの悪評が広まったという。上記の消息筋は「『首領様(金日成主席)に似たいのなら、首の後ろにこぶも付けるべきだろう。腹を出すだけか』といったあざけりもよく耳にする」「幹部たちは指導者像の管理に失敗したとして非難された」などとも述べた。これらの理由のためか、北朝鮮では今年出版した教科書に、金正恩氏の偶像化を進めるための内容を記載できなかったという。最近韓国国内のある脱北者団体が入手した北朝鮮の新しい教科書は、分析の結果によると以前とはそれほど大きな違いがないという。
これら一連の状況から推測すると、北朝鮮では今なお金正恩氏の偶像化を本格的に進める準備ができていないようだ。今後北朝鮮が金正恩氏の妻である李雪主氏と母の高英姫氏をどのように美化するか、これまで以上に注意深く見守らねばならないだろう。しかし「傷ついた尊厳」を取り繕うのは簡単ではなさそうだ。
キム・ミョンソン政治部記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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