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金正恩氏が“中国のイヌ狩り”指示 中朝国境「無慈悲に進めよ」3千人超追放
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20140127/frn1401271551009-n1.htm
2014.01.27 夕刊フジ
北朝鮮の朝鮮人民軍が中朝国境で警戒体制を強め、処刑された張成沢(チャンソンテク)氏に代表される親中派の摘発に乗り出したもようだ。平壌のほか、国境都市でも「中国の犬狩り」と称した摘発が進み、3千人以上が追放されたという。一方、金正恩(キムジョンウン)第1書記が「戦線を一本化せよ」と指示したともされ、米韓軍との対峙(たいじ)と同時に国内の「敵」摘発と対中警戒という“両面作戦”を迫られることへの焦りをのぞかせている。
中朝関係者らによると、昨年12月の張氏処刑以降、首都平壌地域に加え、軍査察部隊や秘密警察が中朝国境の街、恵山(ヘサン)や茂山(ムサン)、経済特区の羅先(ラソン)に派遣され、貿易業者や中国人向けのホテル・カジノ従業員、脱北者の家族らが逮捕・拘束されたほか、計3千人以上が山間部に追放されたという。
背景に「中国の犬狩りを無慈悲に進めよ」という金第1書記名の指示があったとされる。「中国の犬」とは、金正日(ジョンイル)時代から秘密警察内で使われてきた中国への内通者を指す隠語だ。
国境の川から30メートル以内の家屋の撤去も命じられ、国境沿いに機関銃を備えたコンクリート製トーチカ(防塁)を建設。茂山には戦車が配備されたとの情報もある。主に摘発対象者の脱北阻止が狙いとみられるが、それだけではない。
対岸の中国では今月、瀋陽軍区の部隊約10万人と戦車数千台を投入した異例の演習を展開。中国共産党筋は「北朝鮮の反中勢力への牽制(けんせい)だ」と指摘する。これに対抗するように、北朝鮮も咸鏡(ハムギョン)北道(プクド)や両江道(リャンガンド)、慈江道(チャガンド)の将兵を動員した冬季訓練を続け、対中警戒をにじませている。
ただ、120万人といわれる朝鮮人民軍の8割が米韓軍に備え、南北軍事境界線沿いに配置されている。しかも輸送車両や燃料の不足から中朝国境側に容易に転戦できないのが現実だ。
こうした中、中朝の軍関係者によると、金第1書記が「米韓の妨害を排除し、国内の『犬狩り』に集中できるよう戦線を一本化せよ」と命じたとされる。
北朝鮮は韓国に対し、30日から互いの敵対行為の全面中止と、2月末からの米韓合同演習の見送りを求める「重大提案」を行い、24日にも受け入れを迫る公開書簡を発表した。消息筋は「戦線一本化指令に基づき、対南戦線の緩和を引き出す偽装和平攻勢だ」との見方を示す。韓国政府は、韓国世論の分裂や春以降の再挑発を狙った対話攻勢とみて警戒を強化している。
(桜井紀雄)
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【用語解説】張成沢派粛清事件
北朝鮮の金正恩第1書記の叔父で政権ナンバー2とされた前国防副委員長の張成沢氏と側近らが、クーデターを計画したとして昨年11〜12月に処刑された事件。中国に対し経済特区羅先の土地使用権を譲渡したり、石炭など資源を大量に「売り飛ばし」たりしたことが罪状に挙がっており、内実は中国の指導部と親密な関係にあった張氏と、親中派の粛清ともみられている。
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