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タイ、不在者投票で混乱
デモ隊妨害、中止続出 発砲で1人死亡
【バンコク=高橋徹】反政府デモによる混乱が続くタイで26日、2月2日に予定する総選挙の不在者投票が行われた。選挙阻止を狙うデモ隊は投票所を封鎖するなどして妨害。投票の中止が相次ぎ、首都バンコクではデモ隊と政府支持派との衝突で、発砲によりデモ隊側のリーダーの1人が死亡した。治安悪化の懸念も強まるなか、インラック首相は28日に選挙管理委員会と選挙延期の是非を協議する。
期日前の不在者投票は、首相がバンコクなどに非常事態宣言を発令するなか、全国計153カ所の投票所で実施。有権者4880万人の4%強の約216万人が登録を済ませていた。
選挙の前に汚職防止など政治改革が必要と訴えるデモ隊は早朝から各投票所に押しかけ、入り口に鎖を巻き付けるなどして投票を妨害。この結果、投票を中止したり、予定時間前に終了する投票所が続出した。
選管によると、バンコクではほぼ全域で投票が中止に追い込まれた。全国の375の小選挙区のうち、80を超す選挙区で不在者投票が完了できなかったという。
バンコク中心部のパトゥムワン区の投票所には、午前6時(日本時間午前8時)にデモ隊約500人が押しかけて門扉を封鎖。選管が投票箱を搬入できなかった。正午ごろ投票に訪れた自営業のアムナートさん(40)は、選管による告知の貼り紙で中止を知った。「自分の権利を盗まれた気分だ」と首を振り、投票所を後にした。
ビジネス街に近いサトーン地区の投票所は約100人の警官を配置。首都の投票所で唯一、混乱なく不在者投票を終えた。会社員のチャットさん(34)は「国民の義務として来た」としつつも「政府も反政府派も信頼できない」。投票用紙の「誰も選ばない」の欄に印をつけたと明かした。
バンコク郊外では午後1時半ごろ、投票所の妨害を終えて移動中だった反政府デモ隊と、タクシン元首相や現政権を支持する政治団体、反独裁民主統一戦線(UDD)のメンバーが衝突。発砲でデモ隊側のリーダーの1人が死亡、双方に計11人のけが人が出た。別の場所でも1人が負傷した。
昨年10月末に大規模な反政府デモが始まって以降、関連した死者は10人となった。
今回の選挙を巡って「混乱が避けられない」と危惧する選管は政府に再三延期を勧告。政府はこれを拒絶してきたが、選管の申し立てを受けた憲法裁判所が24日に「延期は可能」との判断を下した。これを受け、首相と選管は28日に延期の是非を協議する予定だ。
期日前の不在者投票は、総選挙を正常に実施できるかの試金石とみられていた。政権側は「首都や南部を除き、大半は混乱がなかった」(スラポン副首相)と総括したが、1週間後に迫る選挙の行方は不透明だ。
[日経新聞1月27日朝刊P.7]
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