壊滅的な被害を受けたレイテ島のアランアランでは、地元当局のコメ倉庫で略奪があり、５０キロのコメ袋３万３０００個が持ち去られたという。この際、倉庫の一部が崩壊し、８人が死亡した。

タクロバン市で撮影されたテレビの映像では、略奪者を追い払うため兵士が空に向けて発砲するのが確認できる。当局者は、同市の９割が破壊されたが、支援を受けているのは住民の２割のみだと指摘。「略奪は犯罪行為ではなく、自らを守るためだ」と述べた。同市では、地下にある水道管を破壊して水を手に入れる住民もいた。

台風３０号による死者数をめぐっては、これまで１万人に上るとの報道もあったが、アキノ大統領はＣＮＮに「１万人は多過ぎると思う」と述べた。

大統領は、政府が被災地からの情報収集に努めていると説明。最終的な数字、特に行方不明者数を把握するためには、まだ連絡が取れていない自治体から情報を得る必要があるものの、「死者数については今のところ２０００人、２５００人程度と想定している」と語った。

一方、救援関係者の間では、大統領が示した死者数は少なすぎるとの指摘もある。フィリピン赤十字社のグウェンドリン・パン氏はロイターに対し「今後増えていくだろう」との見方を示し、被災地の多くにまだアクセスできないと述べた。

国連によると、家を失った被災者は約６７万人に上り、多くは食糧、水、医薬品を入手できていない。世界保健機関（ＷＨＯ）は、日本、ベルギー、イスラエル、ノルウェーから支援チームが到着し、被災地で医療施設を開設したと発表。他の国も医療チームを派遣するとみられる。米海軍高官によると、現在２５０人を超える米兵が被災地で支援に当たっており、今後さらに増える見通しだという。

[１２削除理由]：無関係な長文多数

世界第２位の経済大国となった中国は、東南アジアでの投資を増やし、日米と競いながら影響力を強めようとしている。ただ、中国は南シナ海での領有権を強く主張しており、周辺各国と緊張関係にある。それが最も顕著なのがフィリピンだ。

中国政府は義援金１０万ドル（約９９０万円）の提供を約束し、中国赤十字社も１０万ドルを提供すると発表。これは他の経済大国と比べると極めて少ない。

日本は１０００万ドルの資金協力とともに、国際緊急援助隊を派遣。オーストラリアは９６０万ドルを寄付した。

「中国指導部は寛大さをアピールする機会を逃した」。こう語る香港城市大学のジョセフ・チェン教授は、「中国は台風被災者に支援を申し出たが、その規模は（フィリピン政府との）険悪な関係を反映している」と指摘した。

中国共産党の機関紙「人民日報」傘下の「環球時報」でさえ、今回の対応をめぐり、政府の国際的立場に与える影響に懸念を表明。解説記事で「中国は責任ある大国として、当該国との関係にかかわらず、被災した隣国を支援するため、救援活動に参加すべきだ」と主張。さらに「中国の国際的イメージは、国益にも極めて重要。今回フィリピン政府に冷たい態度を取るなら、中国は大きな損失を被ることになる」と強調した。

＜国民感情＞

８日にフィリピン中部を襲った台風３０号で、レイテ州タクロバンは壊滅状態になり、当局者らは同市だけでも死者数は１万人を超える可能性があるとしている。

このような状況を受け、フィリピンは国際的な支援を要請。米国は空母ジョージ・ワシントンなどを派遣するとともに、２０００万ドルを拠出することを決めた。

中国外務省の秦剛報道局長は、状況が深刻化すれば、さらなる支援を検討するとしたが、他国より支援金が少額にとどまった理由については明らかにしなかった。

秦氏は台風３０号により中国でも少なくとも７人が死亡し、７億３４００万ドルの経済損失が出たことに言及。「中国も今回の災害で被害を受けた。われわれはフィリピン国民が直面している苦難を理解しており、心から同情している」と語った。

シンガポールの東アジア研究所のLye LiangFook氏は、領有権問題と災害支援をめぐる問題は切り離せないとコメント。「政治的に信頼が欠如している。現状では、中国が支援の拡大を検討していることが極めて重要だ。２つの問題は互いにリンクしている」と述べた。

一方、中国版ツイッター「微博（ウェイボー）」では、中国政府による支援に反発する意見が相次いでおり、「彼らに何も与えるな」「過去に十分与えている」などと書き込まれた。

前出のチェン氏は、中国国民の感情が政府の決定を左右している可能性を指摘。「自然災害支援は、政治的関係に影響されるべきではないと思う」とした上で、「中国当局は国内のナショナリストの感情によって、不利な立場に置かれている。中国はイメージアップのためにこの機会を利用すべきだった」と付け加えた。

（Megha Rajagopalan記者、翻訳：野村宏之、編集：宮井伸明）

[１２削除理由]：無関係な長文多数

台風で甚大な被害を被ったフィリピンには、２００４年のスマトラ島沖地震から学べることがあるかもしれない。インド洋で発生した津波と同様、フィリピンを襲った台風では建物が破壊され、多くの人が亡くなった。次の課題は、復興に伴って起きる「経済のひずみ」にいかに対処するかだ。

台風によってもたらされた人的被害は一目瞭然だ。台風が通り過ぎた場所の建造物は最大８０％が破壊され、死者は推計１万人ともされている。

一方で、経済的な影響は不透明な部分がある。英ＨＳＢＣのエコノミストは損失について、２７２０億ドルのフィリピン国内総生産（ＧＤＰ）の０．１６─１．４％に相当するとの見方を示している。しかし、これはあくまで生産の損失分に過ぎない。破壊がもたらす本当の影響は、倒壊した住宅やインフラの再建が開始されて初めて明らかになる。

しかし復興作業が本格化する前でも、フィリピン政府はスマトラの津波から学べることがある。１つ目は建物などの修繕費用が当初の想定をはるかに上回る可能性があるという点だ。スマトラ島アチェの道路補修費用は、２００５年３月時点で１マイル当たり１６０万ドルと見積もられていたが、その１３カ月後には同２７０万ドルに跳ね上がった。これにはさまざまな理由があるが、米会計監査院によると、建設現場の責任者の賃金が約８割増となったことが一因と考えられる。またスリランカ南部のゴールでは、災害があった２００４年に石工の賃金が５─９割増加した。多くの建物の修繕が一気に進むことで、れんが職人や配管工、塗装業者らが急激に人手不足に陥ったことなどが背景にある。

２つ目の教訓は、２００５年のスリランカのように、海外からの援助によって自国通貨が押し上げられれば、問題はより深刻になるということだ。高くつく労働コストと通貨高が重なれば、国が再興を期す大事な場面で輸出の競争力が損なわれてしまう。

フィリピンのＧＤＰの大半は首都マニラ地域で生み出されたものであり、今回の台風は同市を通過することはなかった。したがって、ＧＤＰ成長率が４期連続で約７％を確保している同国の経済は、恐らくこの勢いを維持し続けるだろう。だが一方で、継続的な成長拡大はフィリピン経済に十分な柔軟性がないことも意味している。当局が注意しなければ、海外から資金援助を受けて復興作業を進めることで賃金と物価の悪循環を引き起こし、悲劇の上塗りとなる可能性もある。

　


[１２削除理由]：無関係な長文多数

　観測史上最大級といわれるスーパー台風の直撃を受けたフィリピン中部。被災者1000万人、死者1万人以上との推計も出ている。台風襲来の前後に撮影された航空写真で被害の激しさが実感される。

関連記事

・スライドショー：フィリピン台風被災地の現状

・スライドショー：台風去ったフィリピン中部、混乱続く

・台風被害のフィリピン、数万人が移動中か―人口倍増の町も

・フィリピン台風、困難極める復旧

・台風30号の破壊力増大に地理・時期的な要因
http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304698204579196700445998962.html?mod=WSJJP_hpp_MIDDLENexttoWhatsNewsThird#project%3D1112TYPHOON%26articleTabs%3Darticle

[１２削除理由]：無関係な長文多数