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ベトナムの「トラ」には日本の「爪」が要る
タグ: 政治, アジア・オセアニア, ベトナム, 解説, 日本関連, 国際
ウラジーミル フョードロフ 17.09.2013, 15:31
日本はアジアに補足的な支柱を探している。社会政治調査センターのウラジーミル・エヴセーエフ所長は、日本の小野寺防衛相のベトナム訪問についてコメントしたなかで、米国との同盟関係が中国と対抗するためにはどうやら不十分らしいことを日本が認識したからだろうと考察している。ベトナムという「トラ」にも南シナ海で中国と自信を持って対抗していくためには、米国以外に日本の「爪」が必要だからだ。
小野寺防衛相はベトナムでは最高官僚のもてなしを受けた。これから察すると、インドシナ戦争から残留する不発弾や地雷を撤去する技術援助を要請するだけがその目的ではなさそうだ。安倍首相はおおっぴらにベトナム、フィリピンとの友情に大きな期待をかけた。首相は1月に行った初の外遊で、まさにこれらの国々を訪問しているからだ。ベトナム、フィリピンにも日本との友好関係は非常に必要であり重要となっている。
小野寺防衛相のベトナム訪問の結果、二国の戦略的パートナー関係の強化がうたわれた。この共同声明についてエヴセーエフ所長は、二国が中国との緊張関係に抱く憂慮の念が反映されているとして、次のように語っている。
「もちろん、主たる課題は中国に対抗することにある。だが中国にはパートナーとの関係に立脚すれば対抗することができる。中国との領土論争は、私が思うにこの先も起こるだろう。おそらく中国とは他の問題も生じてくるであろうし、それは深刻化するに違いない。この条件下では地域内で補足的に支えを探さざるをえない。」
エヴセーエフ所長は、日本にある米軍基地も以前のように今や揺るぎのなさを与えてくれる存在ではないとし、さらに次のように語っている。
「日本がアジア太平洋地域、およびASEANで活発な活動展開を見せている原因のひとつに、何らかの軍事紛争が生じた場合、自国の安全を守りきれる保証がないことがあげられる。日本は一種の弱点を意識し始めているのではないか。このことから福島の悲劇があったにもかかわらず、核保有の必然性が話に上ってくるのだと思う。つまり、日本が米国に持っている支えはすでに不十分であり、この中で協力が行える他のパートナーを模索し始めているのだ。」
この日本の政策における軍事政治的方向転換はビジネスの最優先事項にも影を落としている。日本企業は中国への投資を縮小し、近隣アジア諸国へと生産拠点を移し始めている。そのリーダー格となっているのがフィリピンとベトナムで、この2国への投資の拡大は今年上半期だけでそれぞれ80%、34%増となっている。フィリピン、ベトナムに続いて投資が増えているのがインドネシアで19%増。これに反して中国への日本の投資は31%減となっている。
中国本土の反日的気運の高まりも多くの潜在的投資家らの意欲をそいでいる。トヨタ自動車に部品を供給する企業のショーワは、初の海外生産拠点を中国ではなくタイに開設する決定を取った。トヨタ自動車の海外生産工場は他のアジア諸国よりも中国にずっと多いことから、当初ショーワは中国で工場を開設しようと考えていた。ところが今年上半期で中国におけるトヨタの生産は10.4%ダウン。ホンダ自動車の中国での生産も3.7%縮小している。トヨタ、ホンダ、そして日産は政治的緊張のあおりをうけた中国での生産縮小が原因で2億5千万ドルの損益をこうむっている。
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