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中国・ミャンマー街道沸く 貿易拡大へ物流網整備
ウォルマート、マイクロソフトも拠点 潜在需要取り込み
第2次大戦時中に「援蒋ルート」と呼ばれたミャンマーから中国に向かう山あいの道が、高速道路や鉄道、物流網の整備で産業の集積するビジネス街道へと変貌しつつある。とりわけ中国が成長センターの東南アジアを取り込もうとこのルートの開発、利用に熱心だ。中国は南アジアまで広がる政治経済両面のネットワーク構築を視野に入れている。
ミャンマーとの国境に位置する雲南省瑞麗市。郊外では山々のふもとを縫うように高速道路の建設が進み、市内でも高速鉄道の駅の整備が始まった。街中には「改革・開放は止まらない」とのスローガンが躍る。
中国は2010年、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟先行6カ国と自由貿易協定(FTA)に基づき貿易品目の約9割の関税を撤廃。15年以降にはミャンマーなどとも関税を撤廃する。瑞麗でもミャンマーとの市場統合を見越した中国企業の進出が相次ぐ。
終着地を起点に
重慶を拠点とする二輪車大手の銀翔モーターはミャンマーの需要増を見込み、瑞麗に組み立て工場を新設。昨年は瑞麗からミャンマーに輸出されるオートバイの60%に当たる40万台を生産した。
援蒋ルートの終着地だった雲南省昆明市はインドシナ半島に向かうすべての起点となっている。昆明とバンコクを結ぶ高速道路「南北回廊」の整備で、雲南省とタイとの貿易は10年以降、農産物を中心に急増した。高速鉄道も昆明からヤンゴン、ビエンチャン、プノンペンにつながる3つの国際路線を建設中で、17年の完工予定だ。
雲南騰俊国際投資集団は12年、昆明郊外の200万平方メートルの敷地に物流倉庫を新設。将来は線路を引き込み、3つの国際路線を通じ各方面に輸出できるようにする。陳明清副総裁は「昆明を結節点にすれば、太平洋にもインド洋にもつながる」と地の利を強調する。
昆明にモノを集める力があるとみた外資系企業も動き始めた。
インドもつなぐ
米飲料大手コカ・コーラがこの倉庫を中国内陸向け商品配送センターに活用。ASEAN各国との商品の融通も検討する。米小売り大手ウォルマート・ストアーズも東南アジアの商品が昆明に集まるとにらみ、近く昆明にバイヤー事務所を設けて買い付けを始める。
米マイクロソフトは雲南省に東南アジア系言語を話す少数民族が多く住むことに着目。今後、周辺国からも人材が集まるとみて、昆明に開発センターを置くことを決めた。タイ語やミャンマー語などアジア18カ国の言語に対応するソフトを開発する。各国に個別に拠点を設けるより、人材獲得もソフト開発も効率が高まるという。
中国の視線は東南アジアからさらに遠方に延びる。昆明を起点にバングラデシュを経由しインドのコルカタまで結ぶ長距離物流網「中印経済回廊」の構想だ。援蒋ルートは中国への支援物資をインドから運んだ。モノの流れは逆だが、昆明からのルートがインドにつながるのは自然な流れだ。雲南省政府の幹部は言う。「もう自分たちを『辺境』なんて思っていない」
昆明=島田学
[日経新聞7月5日朝刊P.11]
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