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(Asia irks Japan over 'comfort women' legacy : DW English)
http://www.dw.de/asia-irks-japan-over-comfort-women-legacy/a-16680686
歴史
「慰安婦」という遺産をめぐり、アジアは日本に苛立っている
前世紀前半における軍の行き過ぎた行為については十分に謝罪していると、日本は確信しているが、その残虐な行為をめぐって日本政府は言い繕い続けていると、隣国たちは感じている。
20世紀にアジアの他地域で働いた残虐行為について、中道から右寄りの政権は再び言い繕おうと計画していると、日本の隣国たちは感じている。特に「慰安婦」の問題は、最初に何らかの歴史の見直しが行われそうだと、日本政府を中傷している人たちは主張する。
1930・40年代、日本はアジアの大部分の地域で、数千人もの女性を性奴隷として扱った−遠回しな言い方で「慰安婦」として知られている−ことを直視するべきだと、韓国と中国は要求を吊り上げている。両国の政府代表は国連人権委員会で、日本は謝罪と補償を行うべき潮時だと語った。
崔皙泳(Choi Seok-young)ジュネーブ駐在韓国国連大使は委員会で木曜日(2013年3月14日)、「日本は法的責任を認め、適切な措置をとるべきだ」と語った。
フィリピン代表はこの意見に同調し、一方、中国の劉振民(Liu Zhenmin)氏は、日本が補償を行うよう要求した。
岡田孝・日本国連次席大使は、日本は既にできる限りの償いをしてきたと即座に返答し、他国に対して慰安婦問題を政治課題に変えないよう促した。
『計り知れない痛み』
戦時中の性奴隷に対して日本が補償するよう、韓国の抗議者たちは繰り返し要求してきた
「このような、計り知れない痛みを被った方々のことを考えたとき、日本政府は悲しみを感じる」と、河野洋平官房長官(当時)が1993年に発表した声明と同様の言葉を使い、岡田氏は述べた。
その声明では、日本が「時々」女性たちを「本人たちの意思に反して」徴用したことを認め、慰安婦たちが被った「計り知れない痛みと苦しみ」に対して、河野氏は「心からの謝罪」を行った。しかし、日本政府は、1965年の日韓条約と1951年のサンフランシスコ平和条約により、補償問題は全て解決しているとの立場を変えなかった。
歴史家たちは、約200,000人の女性−主に、中国・朝鮮半島・フィリピンの出身−が帝国日本軍部隊に性的サービスを提供するよう強要されたと評価しているが、日本には、この問題の規模はかなり誇張されてきたと確信する人が多い。慰安婦とは自分のサービスに対して申し分ない給与を得た公認の売春婦に過ぎず、貧しい両親から身売りされて性交渉を行うようになった慰安婦もいると、論じる人たちもいる。どちらの場合も、日本に責任があるなどあり得ないと、その人たちは主張している。
河野談話は撤回すべきだと言い出す者たちさえ出ており、その一方で、安倍晋三氏は、7月の参議院選挙で良い結果を出すことができれば、歴史に対する日本の自己認識を大幅な再検討を指揮するという計画を持っているフシがある。
自衛隊が国際紛争を扱う余地を広げるよう、日本の憲法を変えることを企てる計画もある。さらには、保守の一部が「自虐的」であると批判している、教育システムの見直しも検討されている。同様に、領土問題から歴史認識の相違に至るまでの全てにおいて、中国や韓国により強硬な対応をとることも検討されている。
証拠はない
安倍首相は日本の憲法を変えることを計画していると言われている
2007年、安倍氏が首相としての前の任期に、日本の隣国での嵐のような抗議が発生したが、これは、女性たちが軍の慰安所で性奴隷となるよう、強制的に徴用されたことを証明する、具体的な証拠は見つかっていないと主張したことが契機となった。
この意見は、歴史事実普及協会などの国家主義的なグループに共有されている。この協会の事務局長を務める茂木弘道氏は、同氏の目的は本や歴史文書を翻訳し、前世紀前半の数十年間の日本に対する「悪の帝国」というイメージを再評価して貰えるよう、世界中の学者や歴史家にこの情報を供給することだと語っている。
茂木氏は、先日の中国・韓国による国連への苦情を「馬鹿げている」と一蹴した。
「この申し立ては全て捏造されたものだ」と、同氏は主張する。「あれには事実に基づく根拠が全くなく、その事実については私たちが検証済みだ。」
何人かの歴史家たちは論文に、慰安婦の主張の正確さと彼女たちがどのようにして性産業に入ったかについて書き、それには、驚くまでもなく、その立場を支持する文書の普及を促進している、茂木氏のグループも協力した。
例えば、西村幸祐氏は今年初めに刊行された論文の中で、「反日扇動家」が日本国民を心理的に「弱め辱める」ために、歴史的事実をねじ曲げていると結論づけた。そして、その操作の中心には、「中国・朝鮮("Korea"とだけ書かれています:投稿者)・両国の仲間である反日的な旅行者がいて、彼らは日本に反対する悪意に満ちた主張を執拗に繰り返す。」
日本を激しくののしる
韓国の最後の「慰安婦」の1人は、今なお謝罪を要求している
米国と米国メディアはこの問題を使って「80年代に経済的優位に立った日本を激しくののしっている」と、彼は語った。これはまた、「隣国に対する政策の実施においてあまりにも『高ぶって』いる日本への威嚇射撃」に使われていると、付け加えた。
しかし、茂木氏の異議申し立ては、前世紀の初めの数十年間にアジア各地で発生した、いかなる悲惨な出来事についても、日本に責任はないという協会の主張によって色あせた。
彼の主張では、日中戦争は1937年8月に中国が引き金を引いた。その4カ月後に300,000万人の南京市民を大量虐殺した事件は存在せず、また、1941年の日本による真珠湾攻撃も米国の挑発によるものだとする一方で、1930年代の朝鮮半島の併合は、その王国が独立を維持できなくなったためのもので、不可避だったとの立場を彼はとっている。茂木氏はまた、学校・病院・インフラの形成において、日本の支配は朝鮮の人々に大いなる利益をもたらしたと主張している。
主張や反論の背後にある真実がどのようなものであろうと、歴史を書き換えるいかなる試みも、既に手に負えなくなっている日本の隣人たちの間に、新たな怒りを爆発させる引き金になるような著しい脅威を提示することに、安倍氏は気づかなければならない。
発表 18.03.2013
執筆 Julian Ryall, Tokyo
編集 Gregg Benzow
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(投稿者より)
ドイチェ・ヴェレの英語サイトに掲載された記事です。2カ月くらい前の記事になりますが、慰安婦の問題などを取り上げた記事でしたので、連休中に落ち着いてやろうと考えました。まだ古い話題にはなっていないと思います。誤訳があるかも知れません。ご容赦ください。
ここに書かれている内容について賛否はある思います。それでも、これまで「軍国主義の回帰を狙う危険な考え」というステロタイプ的な見方しかされてこなかった、日本のいわゆる「修正主義」の歴史観について、その中身がどのようなものかを見る人たちが現れ始めた、ということは注目していい思います。記者の考えはこれに批判的ですが、その主張は記者自身のバイアスをかけずにそのまま伝えようとしており、その試みは大方成功しているように読めます。
茂木氏の主張によれば、日中戦争の開始は1937年7月7日の盧溝橋事件ではなく、同年8月13日から始まる第2次上海事変ということになるでしょうか。
他の事件の評価も含め、ヒステリックな荒々しい言葉の応酬ではなく、事実を踏まえた冷静な検討が今後進んでいくことを期待したいです。
これとは別に、戦中期の歴史をどう見るかについては、BBC所属の日本人記者が自身が受けた教育の経験を下敷きにして、冷静な視点からバランスのとれた記事を書いています。英文と和文の両方がありますので、この問題に関心のある方は、お読みになるのもいいかも知れません。
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