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株式日記と経済展望
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地政学上最も重要な朝鮮半島について、日本が主体的になしうることは何かを
議論しないのが不思議である。なぜアメリカ任せ、中国任せで済むのだろうか。
2013年2月23日 土曜日
◆北朝鮮核実験報道の思考停止 2月14日 田中良紹
http://www.the-journal.jp/contents/kokkai/2013/02/post_336.html#more
北朝鮮による3回目の核実験はアメリカのオバマ大統領が今年の施政方針を述べる一般教書演説の前日に行われた。その1日前に北朝鮮は核実験の実施をアメリカ、中国、ロシアに同時に事前通告している。これまで中国への連絡を最優先にしてきた北朝鮮が今回はアメリカをより強く意識している事が分かる。
それは核実験の1か月前に行われた長距離ミサイルの発射実験に成功した事と無縁でない。この実験で北朝鮮はアメリカ本土に到達しうるミサイル技術を持つ事を世界に示した。そのミサイルに小型の核弾頭を取り付ければアメリカ本土を核攻撃できるという「理屈」が成り立つ。従って北朝鮮は今回の実験で「小型化に成功した」事をことさら強調した。
ことさらに強調してみせるのは少しでも有利な形でアメリカとの戦争状態を終わらせたいためである。我々は朝鮮戦争を過去の「終わった戦争」と考えがちだが、実際には終わっていない。休戦したままの状態である。北朝鮮にとって強大な軍事力を持つアメリカとの戦争をどのように終わらせるか終わらせないかが国家の死命を決する話なのだ。
平和ボケした日本人にはなかなか理解しにくいが、戦争をしている相手との戦いをやめる時には、より激しく相手を叩いてからやめるというのがセオリーである。昭和20年に敗戦を覚悟した日本軍が最後まで「本土決戦」にこだわったのは、それで勝てると思ったからではない。アメリカに一撃を加えた後でなければ敗戦の条件が不利になると考えたからだ。
アメリカもベトナム戦争に敗れた時、和平の見通しがついた後で北爆をより一層激化させた。力のあるところを見せつけないと和平交渉が有利にならないからである。従って平和ボケしていないアメリカは、今回の北朝鮮の一連の行動を「対話への熱望」と見ているのではないか。
そうであれば簡単には乗らないのが外交のセオリーである。相手が言い寄ってきた時には冷たくあしらう方が「熱望」を倍加させて交渉を有利にする。だから強い言葉で北朝鮮を批判し、交渉に応じない姿勢を見せる。オバマ大統領の一般教書演説を聞くと、この問題をアメリカが最重要と捉えている様子はない。日本のメディアだけが部分を切り取って大げさに伝えている。
ミサイルと核実験に成功したと言っても、北朝鮮が現実に小型の核弾頭を取り付けたミサイルを発射することなど現段階で出来る筈がない。地上からミサイルを発射すればそれはアメリカの衛星によって逐一把握され発射直後に破壊される。冷戦時代にはソ連が地下にトンネルを掘ってミサイル発射場所を特定できないように移動させた事もあるが、探知されないためには海に潜った潜水艦から発射するしかなかった。
それには長時間潜水可能な原子力潜水艦が必要で、冷戦末期に米ソは広い太平洋を舞台に原子力潜水艦を探知できないように航行させ、その原子力潜水艦の補給基地を巡って太平洋の島々はCIAとKGBがしのぎを削る情報戦の前線になった。北朝鮮はソ連ほどの軍事力を持っておらず、アメリカにとっての懸念は中東などに核技術が流出する事である。
そもそも北朝鮮の核疑惑はソ連崩壊が契機となって発覚した。アメリカがソ連の核技術の拡散を懸念し、核拡散に焦点が当てられた時に北朝鮮の核開発が問題になった。国際社会が核施設を査察しようとすると北朝鮮はNPT(核拡散防止条約)から脱退し、インドやパキスタンと同じように核保有を目指した。
阻止するためにはその時点で北朝鮮の核施設を破壊する必要があった。クリントン大統領は爆撃を決断するが、爆撃すれば北朝鮮の反撃で韓国が甚大な被害を受ける。韓国の反対もあり爆撃は直前に回避され、カーター元大統領が訪朝して米朝対話路線が生まれた。こうして北朝鮮を支援する「米朝枠組み合意」が締結される。
しかしその後も北朝鮮は核開発を続け、03年に再度NPTを脱退、06年に1回目の核実験を行った。その時アメリカのブッシュ政権はイラク戦争を理由に北朝鮮の核問題を中国主導に委ねる。その間に北朝鮮の核開発は進歩を遂げ、アメリカが爆撃破壊する事も難しくなった。アメリカは北朝鮮の核保有を事実上認めたのではないかと私には思えた。
冷戦後の初期には「残された最後の分断を終わらせる」として、朝鮮半島の統一をアメリカ大統領の使命と考えた時期もあるが、そのうち統一させない方が国益になると変わった。日本と韓国にアメリカのプレゼンスの必要性を感じさせ隷属させられるからである。中国にとっても統一された朝鮮半島がアメリカ寄りになるのでは困る。朝鮮半島を分断させておく事は米中両国の利害と合致した。
そして北朝鮮の脅威はアメリカの軍産複合体に日本に兵器を売りつける絶好の機会を提供した。かつては国民の反対を懸念して自民党が購入を拒んだミサイル防衛などに日本国民の抵抗がなくなり、北朝鮮の存在は日本を世界最大の兵器ビジネス国家アメリカの思い通りの方向に導いたのである。
そしてそれを補強しているのがメディアの報道姿勢だ。誰も反論できない「正論」らしき論説を展開して日本をアメリカ隷従に押し込める。核保有などもっての他だー被爆国日本では誰も反論できない。戦争は悪だー敗戦国日本はそれも反論できない。日本は平和を尊重するーますます反論できない。こうして結論はアメリカに守ってもらうしかないというお定まりの結論になる。
しかし誰も反対できない論理を繰り返していると人間は思考を停止する。戦争は悪だ。平和は尊い。過ちは繰り返しません。あの戦争についての結論がそれでしかないと戦争について考える事をしなくなる。そうして戦後の日本人は現代史を直視しないままになった。北朝鮮の核実験報道を見ているとそれと同じ事を感じる。
かつてキッシンジャー米元国務長官は「脅威が現実になれば日本人の平和主義など一夜で変わる」と断言したが、思考を停止すればお定まりの結論が正反対になる事もありうる。国際社会と協力して北朝鮮を制裁するのは当然としても、日本にとって地政学上最も重要な朝鮮半島について、日本が主体的になしうることは何かを議論しないのが不思議である。なぜアメリカ任せ、中国任せで済むのだろうか。
(私のコメント)
アメリカ政府や戦略家達が、朝鮮半島についてどのように考えているかが不明だ。現状のまま二つに分断しておくのがアメリカや中国にとっては無難な選択であり、北朝鮮を緩衝地帯としておくのが常識的な戦略になる。北朝鮮が金正恩への代替わりで改革開放政策に切り替わるかと期待されましたが、長距離ミサイルの発射実権や核実験を繰り返しているところを見ると、期待は裏切られたようだ。
おそらく中国が、北朝鮮に対してアメリカとの対決姿勢を強要しているのではないかと思うのですが、長距離ミサイルの開発や核弾頭の開発などは、極秘裏に中国から技術が提供されているのだろう。中国としてはアメリカと友好的に外交をしながらも、北朝鮮を使ってアメリカに脅しをかけるということは定石だろう。これなら北朝鮮がアメリカの大陸間弾道弾を打ち込んでもアメリカは北朝鮮にしか報復は出来ない。
中国は、北朝鮮が核戦争によって無人地帯とされても、有り余る中国人を北朝鮮に送り込んで北朝鮮を自治区にすることくらい考えているだろう。はたして北朝鮮の核ミサイルがアメリカの何処に届くのかは不明ですが、そんな事になればアメリカ政府がひっくり返る。そうならない為にはアメリカも属国使って核武装させて北朝鮮や中国に核攻撃させる手段を持たせなければバランスが取れない。韓国や台湾では中国への核攻撃させることは不可能だろう。政府内にすでに中国勢力が入り込んでいるからだ。情報も中国へ全て筒抜けになっていると思われるからだ。
北朝鮮に核開発を止めさせるには、金王朝を倒して現実主義的な政権にしなければ無理だろう。金正恩と軍との関係は動きがありませんが、軍部がクーデターを起こして金王朝を倒す可能性はあるのだろうか? 経済制裁が強まり軍にも物資が行き渡らなくなり不満は高まっているようですが、それでも金正恩を立てていくのだろうか? ミサイルや核爆弾の開発によって金正恩の立場が強くなったとも考えられる。
田中良紹氏が書いているように、アメリカはクリントン政権時代に核施設の爆撃が計画されたが、韓国の反対によって中止された。既に韓国は中国の属国となり、アメリカは近い将来に韓国から追い出されるだろう。90年代の米中は日本を封じ込める事で利害は一致したが、中国が経済大国化するにつれて中華意識が甦り、アメリカの覇権に挑戦する態度を見せ始めた。オバマ政権も当初は中国とのG2で協調を呼びかけたが、中国が乗るわけがなかった。
中国は、独裁体制を強化して軍事力も拡大して西太平洋の覇権を求め始めた。その証拠が南シナ海であり尖閣問題である。中国の子分である北朝鮮がミサイル開発や核開発で成功する事は、痛し痒しの面がありますがアメリカに対する駒の一つになるだろう。このような中国の膨張政策に対してアメリカは大幅な軍事予算のカットが求められており防衛ラインを後退せざるを得ない。
90年代からの米中による日本封じ込めは、「円高」や「歴史問題」などでの米中の共闘で日本は物心共に弱体化して、河野談話や村山談話などを強要されて、それを覆そうとすると米中のマスコミが騒ぎ立てた。安倍総理の「戦後レジームからの脱却」と言う言葉にすらアメリカ政府は警戒心を持って批判した。しかしこのような日本の弱体化はアメリカにとって利益なのだろうか? 鳩山・菅・野田の民主党政権ではそれが最高潮に達して、鳩山総理は沖縄の米軍基地の移転を求めた。
この時点に立ってアメリカ政府は、初めて在日米軍基地の重要性を認識して、中国包囲網を構想するようになった。もし在日米軍基地が無ければ、韓国からシンガポールにかけての西太平洋の制海権が中国の手に渡るからだ。日本の戦略としてはアメリカのなすがままにさせておくしかなく、軍事予算も年々減ってきて経済も20年間の停滞も余儀なくされた。韓国の李明博大統領からも馬鹿にされて「天皇に謝罪に来い」とまで言われるようになった。
日本は北方領土はロシアの大統領が二度に渡って上陸し、竹島は韓国の大統領が始めて上陸した。中国からも尖閣の領土権を主張されるようになり日本は三方からの領土の脅威を受けるようになった。「寸土を守ろうとしない国は、やがて全土を失う」という格言がありますが、朝日新聞の若宮氏は「竹島をあげてしまえ」とまでコラムで書いた。これは日本のマスコミにまで中国の工作員が入り込んできている証拠ですが、日本が弱体化していけば韓国のように「米軍は出て行け」と言う様になるでしょう。
安倍内閣の発足は、アメリカの対日政策の変化をものがたるものであり、円安政策を認めて経済を強化して、国防予算の増大も認められるようになった。東アジアにおいて中国に対抗できる国は日本しかなく、「日本の弱体化はアメリカにとってもマイナスである」と言う事がようやくアメリカ政府も認識するようになったのだろう。北朝鮮問題が拗れれば日本の核武装すら認めるようになるかもしれない。つまり時計の振り子は逆に振り始めてきたのだ。
田中良紹氏は最後に次のように書いている。「しかし誰も反対できない論理を繰り返していると人間は思考を停止する。戦争は悪だ。平和は尊い。過ちは繰り返しません。あの戦争についての結論がそれでしかないと戦争について考える事をしなくなる。そうして戦後の日本人は現代史を直視しないままになった。北朝鮮の核実験報道を見ているとそれと同じ事を感じる。」 このように状況は刻々と変わっているのに、日本人の思考停止が止まったままだ。
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