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韓国の「成功モデル」岐路に 大統領に保守の朴氏
経済と外交の懸案、日本と共通
2012/12/20 2:01
韓国大統領選は朴槿恵(パク・クンヘ)氏による保守政権の継続で決着した。大接戦が示したのは、広がる格差を背景に有権者が真っ二つに割れた現状だ。リーマン・ショックからV字回復を果たし、サムスン電子などの財閥系企業が好業績をたたき出す韓国が抱える病をどう癒やすか。新大統領の課題は重い。
大企業と中小企業、正規職と非正規職、高齢者と若者たち――。分裂する社会の不満は爆発寸前だ。「経済」が伝統的な保革の理念対立に拍車をかけ、激しい選挙戦と高い投票率につながった。
接戦を制した朴氏は最後まで「生活大統領をめざす」と訴えた。革新系野党の文在寅(ムン・ジェイン)候補のキャッチフレーズは「雇用大統領」だ。5歳児までの無償保育や年金拡充など福祉政策を公約で競った。
内向きの選挙戦は韓国の「成功モデル」が岐路に立っていることを示している。李明博(イ・ミョンバク)政権はウォン安を志向し、大企業規制を緩和。自由貿易協定(FTA)網を整備し、財閥を中心に輸出主導の成長を目指した。
ところが、財閥の隆盛はかつてほど国内を潤さない。「1997年の通貨危機以降、効率経営を徹底する財閥は利益がでても簡単には雇用を増やさない」(早大の深川由起子教授)からだ。
朴氏は選挙中「経済を活性化して公正な分配を実現する」と強調した。ただ、成長のエンジンをこれまでのように財閥系輸出企業に頼るばかりでは格差は解消しない。雇用の受け皿となる中堅企業の育成や生産性の低いサービス分野の改革ができるかがカギを握る。
貿易額で世界トップ10入りした輸出立国を取り巻く環境にも変化の兆しがある。米財務省は議会報告書で韓国の為替介入に警告を発し続けている。欧州では韓国車の輸入急増に警戒が広がる。韓国企業への知的財産権訴訟も相次いでいる。
格下の挑戦者ならともかく、手ごわいライバルになれば相手も座視しない。国をあげての追いつき追い越せ型の成長モデルをいつまで続けるのか。グローバル企業であり続けるにはどうすればいいのか。新大統領だけでなく財閥自身、いずれ答えを迫られる。
輸出主導経済からの脱却や少子高齢化への対応、サービス分野の高度化など、韓国経済の懸案をあげれば驚くほど日本と似る。外交に目を向けても、米国との同盟強化、北朝鮮問題、台頭する中国との付き合い方など共通の課題は多い。
李大統領の竹島(韓国名・独島)上陸で最悪となった日韓関係の改善が急務なのは、そのためだ。関税の引き下げだけでなく、サービス分野の交流拡大を促す日韓経済連携協定(EPA)は、お互い新しい成長モデルをつくる契機になりうる。
選挙期間中、朴氏は歴史や領土で厳しい姿勢を示しながらも「日本は重要な友好国」とメッセージを送った。大統領就任は2月25日。一足先に首相になる安倍晋三自民党総裁はどう答えるのだろうか。
(ソウル支局長 内山清行)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1908O_Z11C12A2EA2000/?dg=1
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