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2012年韓国大統領選:安氏、出馬を断念
朴、文両氏の保革一騎打ち 野党系が一本化
【ソウル=小倉健太郎】12月19日投開票の韓国大統領選挙は23日、出馬表明していた無所属の安哲秀(アン・チョルス)候補(50)が記者会見し、立候補を取りやめると発表した。焦点だった野党系候補の一本化問題は決着。革新系の主要候補は野党・民主統合党の文在寅(ムン・ジェイン)候補(59)に一本化され、選挙戦は事実上、保守系の与党セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)候補(60)との保革一騎打ちの構図となる。
「政権交代のために白衣従軍(一兵卒として従軍の意)する。候補を一本化するための方式がどちらに有利かという議論を離れ、新しい政治を望む国民の意に従わなければならない」。安氏は会見で、自ら譲歩して出馬を断念した理由を涙混じりに説明した。
与党の朴氏、野党系の文、安両氏の有力3候補のうち、これまで一貫して朴氏の支持率が他の2氏を大きく上回っている。三つどもえの状態では朴氏が有利との世論調査もあり、野党側の2陣営は候補一本化を探ったが調整は難航。交渉期限に設定した候補者登録が迫る中、安氏はこれ以上時間をかけられないと判断したようだ。
野党系陣営の候補一本化は6日に文・安両氏が合意した後で協議がスタート。25、26両日の候補者登録(告示)までに統一候補を決めることを目指し、具体的な選び方を実務チームで検討に入った。
党組織を持つ文氏側が予備選形式を提唱したのに対し、安氏は世論調査に基づく選考を主張。交渉中断も経ながら、21日深夜には「世論調査」による選考で双方が一致し、両氏は外交や経済などで初の公開討論も実施したが、23日には実務チームの協議が決裂した。
23日の安氏の「撤退会見」の後、文氏はSNS(交流サイト)の「ツイッター」で「安氏と安氏の支持者に誠に申し訳ない」と発信。その後「重い責任を痛感する」とのメッセージも発表した。朴氏の広報幹部は「安氏の辞退は遺憾。政治刷新に対する安哲秀式の努力が民主党の旧態依然とした政治の壁に阻まれたように見える」と話した。
過去の韓国大統領選は候補を一本化した陣営が勝ったケースが多い。今回も世論調査などの支持率を単純に合計すれば、候補を一本化した野党系の統一陣営の支持率は朴氏と拮抗しており安氏の支持層がどの程度、文氏支持に回るかが勝敗を分かつことになりそうだ。
無所属候補の限界示す 50歳の安氏、次回に照準か
【ソウル=内山清行】医師、ベンチャー起業家でかつ大学教授という多彩な顔に加え、社会貢献に積極姿勢を示す清新なイメージ――。既存の政治家にない魅力を武器に若者や無党派層から絶大な人気を得ていた安哲秀氏が、大統領選出馬の取りやめを宣言した。「安哲秀シンドローム」が示したのは、韓国の政治不信の深刻さとともに「大統領職」を前にした無所属候補の限界だった。
安氏への待望論が盛り上がったきっかけは、全国の大学を回って実施したトークイベント「青春コンサート」だ。医師でありながらコンピューターウイルス対策ソフトを開発した異色の経営者が、格差拡大で不安が広がる若者をソフトな語り口で励ました。昨年10月のソウル市長選で出馬が取り沙汰され、政界でも注目を浴びるようになった。
世論調査では与党セヌリ党の朴槿恵氏に次ぐ支持率を維持。9月に「政治刷新」を掲げて大統領選に出馬宣言した。ただ、同時期に最大野党、民主統合党の文在寅氏が候補に選出されると、じわじわと支持率は下降線を描き、11月に入ると逆転するようになった。
保革勢力が拮抗する韓国で朴氏が保守層を固めるなか、安氏と文氏が革新層と中道層の一部を食い合った結果だ。
民主統合党が「政党に足場のない大統領で本当に国政運営ができるのか」などとけん制。南北分断国家で強大な権限を持つ大統領としての「ふさわしさ」にも焦点があたった。
支持率の優位が揺らいだ以上、世論調査方式による一本化で文氏に敗北するリスクを冒すより「名誉ある撤退」を選んだ方が得策との判断があったとみられる。安氏はまだ50歳。十分、次を狙える年齢だ。23日の記者会見ではこう言った。「自分に与えられた歴史の使命は忘れない。その道を歩んでいく」
[日経新聞11月24日朝刊P.5]
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