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タイ、TPP交渉参加へ
国際競争力を強化、アジア広域FTAと並行
【バンコク=高橋徹】タイが米国主導の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加意向を表明する。加盟する東南アジア諸国連合(ASEAN)を経済連携の軸におく従来の方針から一歩踏み出し、自由貿易を進めて国際競争力を強化する。ASEANや日中韓などアジア16カ国で近く交渉開始する広域自由貿易協定(FTA)と並行して協議に臨み、それぞれから関税撤廃の例外規定などで有利な条件を勝ち取る狙いもありそうだ。
TPP交渉への参加意向表明は、18日にタイを訪問するオバマ米大統領とインラック首相の会談後の共同声明に盛り込む。TPP参加についてタイ政府は態度を明確にしていなかった。
一方、カンボジアで東アジア首脳会議が開かれる20日には、16カ国が広域FTAの交渉開始を宣言する見通し。
ASEANは15年に域内関税を撤廃する経済共同体を発足させる予定。タイは従来、ASEAN中心の枠組みを優先する姿勢で、TPPには慎重だった。ただASEAN内からベトナム、マレーシアがTPP交渉に加わったこともあり、競争力維持の観点からも交渉参加が得策と判断した。
タイを加え12カ国となるTPPは米国、16カ国広域FTAは中国がそれぞれ経済規模で突出する。ASEANでインドネシアに次ぐ規模のタイが両方をてんびんに掛ける姿勢を示すことで、「アジア回帰」を鮮明にする米国と、域内での影響力拡大に躍起な中国の綱引きも激しさを増す。
タイはTPP交渉に参加する11カ国のうち米国とカナダ、メキシコを除く8カ国とFTAを締結済み。このためTPP参画は、かつて2国間交渉に失敗した米国との再交渉の意味合いが強い。
タイと米国の昨年の貿易額は351億ドル(約2兆8千億円)。最近10年間で7割増え、全体の8%を占める。タイは電子製品やゴム製品を輸出、宝石や半導体を輸入しており、タイ側の輸出超過だ。タイに工場を持つ米電機大手は「(部品輸入や製品輸出で)電機業界は特に利点が大きい」と早期実現を期待する。
TPPはタイに集積する日系企業にも影響を及ぼす。日本貿易振興機構(ジェトロ)バンコク事務所の助川成也主任調査研究員は「対米輸出のハードルが下がることは基本的には利点」とみる。
トヨタ・モーター・タイランドの棚田京一社長は「日本製なら高関税がかかる排気量3千cc超の高級車を北米工場から輸入できる可能性がある」としつつも「タイと米国では車の売れ筋が違い、輸出入が増えるとは一概にいえない」と話す。
ただ参加実現へのハードルは高い。交渉参加表明は閣議決定したものの、実際の交渉参加までには公聴会開催や議会承認が必要で「1〜2年はかかる」(商業省幹部)。かつての米とのFTA交渉で足かせとなった知的財産権問題や、農業分野での利害調整も課題だ。
[日経新聞11月15日朝刊P.7]
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