http://www.asyura2.com/12/asia14/msg/184.html
Tweet |
東アジア16カ国FTA、途上国の関税撤廃に特例
妥結へ枠組み優先 ミャンマー・ラオスなど、所得格差に配慮
東南アジア諸国連合(ASEAN)と日本、中国、韓国など16カ国を結ぶ自由貿易協定(FTA)の実現に向け関係国は所得の低い一部途上国に特例を認める見通しになった。ミャンマー、ラオス、カンボジアなどを念頭に、関税の撤廃や軽減で猶予期間を設ける案が有力だ。域内の貿易自由化の速度に差はつくが、自国産業の保護を望む途上国の事情に配慮し、枠組みづくりを優先する。
関係する16カ国は今月18日からカンボジアで開く東アジアサミットの際に、野田佳彦首相ら各国首脳が交渉開始で合意する方向で調整している。2015年末の妥結を目指す。日本は環太平洋経済連携協定(TPP)や中韓とのFTAの準備作業が軒並み滞る中、前進が期待できる16カ国の枠組みを重視している。
域内では1人当たりの国内総生産(GDP)が4万ドル(約320万円)を超える日本、シンガポール、オーストラリアなどの先進国と、1千ドル前後のインド、ミャンマーなどが併存している。低所得層が大半を占める途上国では、関税の撤廃で先進国並みのルールを採用すると、自国の産業が育たないうちに外国製品や農産品が流入するとの懸念が強い。
FTAに関係する16カ国は交渉の入り口を確保するため、一部の国に限り特例措置が必要との見解でまとまる見通しだ。先進国は交渉妥結から5年間で特定の物品にかかる関税を下げたり撤廃したりする半面、一部の途上国は10年間程度かける案が浮上している。個別の品目で関税の特別扱いを認める可能性もある。
現時点で対象はミャンマー、ラオス、カンボジアの3カ国が念頭にあり、ベトナムも特例を求めているもようだ。国内で貧富の格差が目立つ中国やインドの出方も焦点になる。
政府は2日、経済連携を進めるための関係閣僚会議の幹事会(各省庁の副大臣で構成)を開き、16カ国のFTAや日中韓FTAの交渉開始の方針を確認する。中韓との関係は悪化しているが、政府はいつでも交渉入りできる体制を整える。
日本が交渉参加を目指してきたTPPは米国が主導し、すべての品目の関税撤廃を原則とする。政府は高い水準の貿易自由化を目標とするTPPや日中韓FTAに同時並行で取り組む構えだが、与党の民主党でも反対論が根強いTPPを中心に政治の推進力を欠く状況が続いている。
〈ことば〉東アジア16カ国FTA
東南アジア諸国連合(ASEAN)を中心に16カ国が参加する自由貿易協定(FTA)で、正式名称は東アジア地域包括的経済連携。英語の頭文字をとり「RCEP」ともよばれる。ASEAN10カ国のほか、日中韓、オーストラリア、ニュージーランド、インドが参加する。対象となる域内の人口は34億人、国内総生産(GDP)は約20兆ドル(約1600兆円)で、実現すれば世界最大級のFTAになる。
[日経新聞11月2日朝刊P.5]
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。