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北、遺骨で外貨稼ぎ 返還費狙い対日工作 米から22億円
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120702/kor12070207010001-n1.htm
2012.7.2 07:00 産経新聞
北朝鮮に残る日本人の遺骨について北朝鮮が昨年7月、外貨獲得手段とみなし、返還交渉を進めるよう内部決定していたことが1日、6カ国協議筋などへの取材で分かった。遺骨返還では朝鮮戦争に参戦した米、英、オーストラリア、トルコとも交渉し、20億円超に相当する資金が北に渡ったとされる。日本側にも「邦人墓地」を公開するなどしてきたが、背後には金正恩(キム・ジョンウン)第1書記直轄の工作機関の指令があったという。人道を盾にした外貨獲得工作の実態が浮かび上がった。(桜井紀雄)
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北朝鮮に残る遺骨をめぐっては、朝鮮戦争(1950〜53年)で行方不明になった米兵について93年に米朝が遺骨収集を行うことで合意、約220柱が米に送還された。収集費用などとして約2800万ドル(約22億円)が北朝鮮に渡ったとされ、国際社会から経済制裁を科されている北朝鮮が「遺骨はカネになる」と判断した可能性が高い。
北朝鮮の内情に詳しい消息筋や6カ国協議筋によると、昨年7月の内部決定で日本にも目がつけられた。日朝関係は拉致被害者の再調査をめぐり行き詰まっており、「遺骨問題は日朝間の重要な人道問題だと日本世論を誘導する」(消息筋)ことに重点が置かれたという。
北朝鮮側は宋日昊(ソン・イルホ)朝日国交正常化交渉担当大使らが中国などで日本政府関係者と接触するたびに遺骨問題を取り上げ、「返還の用意がある」と表明。6月には日本のメディア3社を招請して平壌郊外の「邦人墓地」を公開した。
表向き北朝鮮外務省が招請したとされたが、6カ国協議筋によると、工作機関の偵察総局などの指令に従い、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)関係者らが複数のメディア関係者と接触していたという。金第1書記の最側近が率いる偵察総局は対南、対日工作の中心を担っている。
米兵の遺骨収集は北朝鮮の核開発を受けて2005年に中断。昨年10月に再開で合意したが、今年3月のミサイル発射予告で白紙に戻った。日本への働きかけが強まった背景には、対米事業の頓挫があるようだ。
国連軍として朝鮮戦争に参戦した英、豪、トルコ3カ国とも接触を始め、英国に対しては兵士1人の遺骨を送還した。
豪州とも2月に収集調査を行うことで合意し、着手金が支払われたという。トルコからは行方不明兵ら166人分の名簿が北朝鮮に提出された。
日本からも遺骨問題に絡み、関係者の訪朝費用などとして既に1千万円前後のカネが北朝鮮に渡っているとの情報もある。
日朝関係者は「平壌の邦人墓地も場所が移されており、遺骨が日本人のものかも鑑定しない限り分からない」と指摘している。
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【用語解説】北朝鮮の邦人遺骨
先の大戦末期の混乱で、日本の植民地だった北朝鮮地域には満州からの避難民ら多数の日本人が残り、約3万5000人が病気などで死亡。引き揚げ者が持ち帰るなどした遺骨を除く約2万1000柱が北朝鮮に眠ったままとされる。北朝鮮側は「平壌中心部で工事中に日本兵の遺骨が見つかった」などと主張し、日本側に早急な対応を要求している。
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