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中国・青島の薬局で医薬用カプセルをチェックする中国検査当局の女性(AP)
中国製人肉入りカプセルが「万能薬」? 韓国に大量密輸
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120527/kor12052718000001-n1.htm
2012.5.27 18:00 産経新聞
韓国税関当局は今月、中国から「人肉入りカプセル」が大量に密輸されている実態を公表し、摘発を強化する方針を打ち出した。人肉カプセルとは、死産した胎児や乳児の遺体を粉末にして詰めたもの。滋養強壮のほか、がんなど万病に効くとしてヤミ取引されてきた。実際には、多種の細菌が検出され、健康に極めて有害との指摘も。一方で需要がある限り、摘発を強めても販売価格がつり上がるだけだとの声も上がる。(桜井紀雄)
■医薬品と中身のすげ替えも 「韓国当局が放置」
韓国関税庁は今月6日、昨年8月から今年3月までに「人肉カプセル」1万7451錠を摘発したと発表した。内訳は、中国人旅行者らが携行品として持ち込もうとして空港などで摘発されたケースが29件(1万1430錠)で、国際郵便で送られたケースが6件(6021錠)にのぼった。
密輸元は、中国朝鮮族が多く暮らす吉林省延吉など中国東北部が大半だった。
一般医薬品の瓶の中身だけをすげ替え、もともとの薬品の説明書を添付したもののほか、人肉カプセル特有の生臭い臭いをごまかすため、漢方薬を混ぜるなど偽装されたものが多く見られた。
関税庁は、中国からの旅行者の携行品や郵便物のうち、成分表示のない薬品・粉末は全て開封検査するほか、表示があるものも中身を確認する方針を打ち出した。
それでも「摘発されたものは氷山の一角で、はるかに上回る量が韓国内に出回っているだろう。水際で全て摘発するのは無理だ」との見方が大勢だ。
そもそも関税庁が昨年8月から密輸の把握に乗り出したのも、韓国の月刊誌が昨年8月に「人肉カプセル」の実態を暴露し、中韓両国で大々的に報道されたからだ。
このため、韓国メディアの批判の矛先は「税関に任せきりで対策を講じてこなかった」と医薬品などを管轄する食品医薬品安全庁(食薬庁)など保健当局に向かった。
保険当局側でも言い分はある。人肉カプセルは本来、食品でも医薬品でもないため、取り締まる法令自体ないというのだ。
有力紙、朝鮮日報は「食薬庁が正式に見解を表明すれば、韓国人が人肉カプセルを摂取してきたと国際的に認めることになり、国のイメージ失墜も懸念される」との同庁関係者の声を報じた。
■故意に死なせた? がんに効く?
人肉カプセルはどのように作られるのか。
人肉カプセルの製造現場に潜入取材した韓国の追跡報道番組などによるとこうだ。
同番組が取材した吉林省の産婦人科医院の薬剤師は、“原材料”となる胎児の死体をポリ袋に入れ、自宅に保管。それを切り刻んで乾燥させて粉々にすると、黄褐色の粉末になる。これがカプセルの中身となる。
胎児1体から約1000カプセルが作られるという。原形をとどめた胎児もあったことから、番組は「生きている状態で死なせた可能性もある」との産婦人科専門医の見方も伝えた。
なぜこのようなカプセルが国境を越え、韓国にまで流通するようになったのか。
中国や韓国での胎児の神秘性に対する迷信が背景にあるとされる。生命の始まりである胎児には、特別な成分があり、摂取することで精気を吸収して健康になるというのだ。
当初は中国人労働者が滋養強壮剤として韓国に持ち込んだものが、「万病に効く」として、「わらにもすがる思い」の末期がん患者や重病患者の間に需要が生まれ、ソウルの薬剤市場などでヤミ取引されるようになったという。
韓国メディアは「関節の弾力に優れているとネコを煮て食べた風習や、精力がつくと太った雄イヌやオットセイの性器を食べるのと同じ迷信だ」と切り捨てる。また、「小麦粉を薬と思って飲んで効能を感じる『偽薬効果』と同じだ」との専門家の解説を伝えている。
■1錠3000円超に高騰 責任はどっちの国に?
へその緒に含まれる「臍帯(さいたい)血」が医療に活用されていることは広く知られるが、人肉カプセルが臨床試験を経て科学的に効果が立証された臍帯血とは全く別物。むしろ韓国メディアや専門家らは、「人体に有害でさえある」と警告している。
人肉カプセルの成分は、人体を形作るタンパク質や無機質に過ぎない。ほとんど衛生管理のない中国の一般住宅や町工場で製造されており、腐敗した胎児の死体が使われることもあるという。
保健当局が人肉カプセルを分析したところ、17種類の細菌が検出され、うち8種はほとんどの抗生物質が効かない「スーパー耐性菌」だった。重病者が摂取すると、病原菌が血液を通じて全身に広がり、中毒症状を起こす敗血症につながる恐れが指摘されている。
朝鮮日報は、「税関が取り締まりを強めても需要がなくならない限り、今後も密輸は続く」と指摘する。その上で「摘発を強化すればむしろ販売価格が上がりかねない」との薬剤販売業者の声とともに、昨年1錠8000ウォン(約540円)だった売値が、最近は4万〜5万ウォン(約2700〜3400円)に高騰している現状を伝えている。
韓国関税庁の発表を受け、人肉カプセル騒動は、中韓を超え英国紙も報道した。韓国有力紙、中央日報は、報道を受けた英国民の反応をこう紹介した。
《記事を見た英国市民は驚きを隠せずにいる。オンライン記事には、500件を超えるコメントが続き、「中国人が問題なのか、韓国人が問題なのか」と論争まで広がっている…》
少なくとも言えるのは、中国、韓国両国が犯人捜しでなく、協力して悪習を根絶するときにきているということだ。
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