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【カイロ和田浩明】反体制派の武力弾圧を続けるシリアのアサド政権に対し、欧米や一部アラブ諸国は退陣圧力を強めている。しかし、反体制派も一枚岩にはほど遠いのが実情だ。「アサド後」に民主的な国家統治が可能な組織は存在せず、混乱状態が生じる可能性もある。
反体制派の代表的組織の一つは、昨年8月にトルコのイスタンブールで結成された「国民評議会」だ。主にシリア国外で活動する世俗主義者とイスラム教スンニ派の穏健派原理主義組織「ムスリム同胞団」関係者らが同居する。代表はパリに拠点を置く政治学者、ブルハン・ガリユン氏。
評議会幹部は昨年12月にクリントン米国務長官とジュネーブで会談した。今月24日にチュニジアで開催予定の「シリアの友人」支援国会合にも参加するとみられる。だが、幹部は長年亡命生活を送っており、シリア国民一般への影響力は極めて限定的。幹部間の路線対立もささやかれ、指導力を発揮できるかは未知数だ。
昨年7月、アサド政権の武力弾圧から民間人を保護することを名目に発足した離反兵士組織「自由シリア軍」も、現在は反体制派。幹部はトルコに拠点を置き、シリア内部の戦闘部隊と連携して当局側の軍・治安部隊と衝突を繰り返している。
司令官はリヤド・アサド大佐で、兵力は自称「約5万人」(クルディ副司令官)というが、実数は2万人程度との推測もある。指揮命令系統ははっきりせず、武器・弾薬不足で政府側に正面から対抗するのは困難な情勢だ。自由シリア軍には、イスラム原理主義的な傾向を持つ者も少なくないとされる。英BBCによると、拘束した政府治安要員を見せしめのように殺害した疑いも持たれている。国際テロ組織アルカイダの浸透を懸念する声も米国やイラクの情報担当幹部から出ている。
評議会と自由シリア軍は連携を表明しているが、リヤド・アサド司令官は、評議会が約束した財政、装備面での支援を実行していないと批判しており、緊密な共同歩調を取るには至っていない。クルディ副司令官も毎日新聞に「武装闘争路線を好まない反体制派もいる」と語り、評議会との意見対立を認めた。
一方、シリア国内の世俗系既成政治勢力を中心とした「国民調整委員会」は、政権側との対話を通じて民主体制への移行を目指している。反体制派には他に、英国を拠点に弾圧情報を収集・発信する「人権観測所」や、シリア国内に拠点を置く「地域調整委員会」もある。
多様な組織の一本化が実現できるかは、反体制派支援を表明した欧米やアラブ諸国も懸念しており、連携強化や今後の民主化の行程明示を求めている。
アサド政権側は反体制派を「外国の支援を受けた武装テロ集団」と厳しく批判し、ロシアや中国、イランなどの支持を受けて徹底弾圧の構えだ。
首都ダマスカスの反体制派ジャーナリスト、ファイエズ・サラ氏(61)は「政権は依然強力で、現状打開には政権側の言い分も聞く必要がある。国際的圧力を強化しつつ、シリア内部での解決が望ましい」と語る。
http://mainichi.jp/select/world/news/20120219k0000e030097000c.html
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