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シリア反体制派「シリア国民評議会」幹部が１７日、アラブ首長国連邦ドバイで朝日新聞記者のインタビューに応じた。シリア軍離脱兵らでつくる武装組織「自由シリア軍」との間で調整機関設置に合意しトルコ国境に「解放区」をつくる作戦を近く始めると述べた。
親子２代のアサド政権下で政治犯として長年拘束された、国際的にも著名な人権弁護士ハイサム・マレハ氏（８１）。アサド政権が国際的な孤立を深めるなか、反体制派の政治、軍事部門の連携を強め、政権打倒に向けた国際社会の支援を加速させる狙いだ。自由シリア軍の兵力は現時点で数万人規模。解放区を作るには、欧米、湾岸諸国による軍事、財政支援や国際社会による「飛行禁止空域」設定などがカギになる。２４日にチュニジアである反体制派支援の「シリアの友人」会合について「政権打倒に向けた決定的な転換点だ。８０カ国以上が出席する見通しで、国民評議会の政府承認を期待する場になる。会合後、暫定内閣を組閣し本部をカイロに設置する」とした。
アサド政権に弾圧の即時停止を求める国連総会決議が採択されたことを受け、拘束力を持つ国連安保理決議案の再提出を求める意向も示した。前回、拒否権を行使したロシア、中国には「アラブ諸国による両国製品のボイコットが起きる」と警告した。アサド政権による武力弾圧で「死者は１万人、不明者は１万５千人に上る」と指摘。「人権、人道に反する虐殺だ。銃口を向ける政権との対話に応じる反体制派はいない。アサドはカダフィと同じ運命となるだろう」と語った。マレハ氏は、民主化要求や政権批判を理由に父アサド政権下で約７年投獄。現政権下でも昨年３月まで約１年５カ月間、獄中にいた。（ドバイ＝石合力）
シリア国民評議会幹部の発言要旨
シリア国民評議会幹部ハイサム・マレハ氏のインタビューでの発言要旨は次の通り。
●軍事部門との連携
ドーハでの幹部会合で、軍事部門「自由シリア軍」との調整機関新設に合意した。機関は国民評議会の下で運営される。政治部門と軍事部門が連携し、統合指導部を持つことになる。
●解放区の構築
トルコ国境に地域を解放し、反体制派の「解放区」にする。近く攻撃を開始する。
●チュニジア支援会合
80カ国以上が出席し、政権打倒に向けた決定的な転換点になる。会合後、我々は直ちに暫定内閣を組閣。本部をカイロに置く。
●財政支援
アラブ湾岸諸国から5千万ドル（約40億円）、フランスから100万ユーロ（約1億円）の財政支援を受けた。エジプト、カタール、トルコに反体制派の口座がある。
●国連の対応
アサド政権退陣を求める国連総会決議が採択されたことを受けて、（強制力を持つ）安保理決議を再び提出するよう求めていく。（前回拒否権を行使した）ロシア、中国は、アラブ諸国による両国製品のボイコットを恐れている。
●政権の命運
アサド（大統領）は（リビアの）カダフィと同じ運命になる。彼はこれまでに1万人以上を殺害した。家族とともに出国するよう何度も書簡で促したが、聞こうとしなかった。
（ドバイ＝石合力）
2月19日 朝日新聞より
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