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イランは日本をモデルに核開発! [春名幹男「国際情報を読む」]
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2012/2/16 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
厳しい制裁にも軍事的脅威にも屈せず、核開発を続けるイラン。実は、イラン核開発の「モデルは日本」だというのだ。
イランのラリジャニ国会議長は2010年2月に来日し、当時の江田五月参院議長と会談した。その際、イランの核開発では日本をモデルにしていると表明した。イスラエルの有力紙エルサレム・ポストも昨年8月、「イランは日本オプションを模索している」と書いた。
新聞報道はともかく議長発言は極めて重い。彼は最高指導者ハメネイ師に近い実力者で、05〜07年に国際原子力機関(IAEA)などとの核交渉責任者を務めた大物だ。
しかし、日本メディアはこのことを全く伝えなかった。江田氏も自分のブログで「濃縮問題では、やや緊張したやりとり」としか記していない。
イランと日本の関係は深い。85年7月には、中曽根康弘首相がイランに特使を送っている。故レーガン大統領の回想録に出てくる。「レバノンで誘拐された米国人の解放を目指して(日本が)イランに極秘に特使を送ってくれた」と書いていた。
09年1月には日系米国人の女性記者が「違法な取材活動」を理由に逮捕され、スパイ罪で禁錮8年の実刑判決を受けた。控訴審で執行猶予付き判決を言い渡され釈放されたが、その裏で、当時の中曽根弘文外相からアハマディネジャド大統領やモッタキ外相への働き掛けがあった。日本のパイプはかくも貴重だったのである。
しかし、日本は近年、米国の言いなりで対イラン制裁を強化し、パイプは先細りしている。
ラリジャニ議長が言う日本モデルとは、核技術を高め、核爆弾に使える大量の核物質を蓄積し、将来の危急存亡の有事に備える、という考え方だ。中東の多くの国がひそかに同じ道を歩んでいる。
1969年に外務省がまとめた「外交政策大綱」を見ると「核兵器製造の経済的・技術的ポテンシャル(潜在能力)は常に保持する」と記してある。中曽根元首相は回想録で米国の核の傘がなくなれば、日本は核武装の「可能性を検討しなくてはなりません」と書いている。また石破茂元防衛相は「核の潜在的抑止力」のために原発維持をと主張する。
しかし、イランと違うのは日本がすべての核施設を公開し、IAEAの査察を受けていることだ。日本ならイランを説得できるはずだ。
◇春名幹男 名古屋大学特任教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。
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