シリア政府は、バシャル・アサド大統領の辞任を通じた事態収拾を呼びかけるアラブ連盟の仲介案を拒否する決定を行った。シリア政府の報道官による声明では、「シリアは、アラブ連盟による前回のプランに含まれていなかったような決定を拒否し、今回の提案がシリアの主権に打撃を与え、深刻な内政干渉にあたると考えている。」とされている。

　　22日、アラブ連盟外相会合は、シリアでの事態収拾について、いわいる「イエメン的シナリオ」を採択し、シリアのバシャル・アサド大統領がファルク・アシ＝シャラア第一副首相に権力を移譲することを提案していた。またその提案では、2ヶ月以内に、すべての勢力にとって受け入れ可能な首班のもと、国民統一政府を樹立することが規定されており、6ヶ月以内に、民主的で透明性をもった選挙を行う、としている。また臨時統一政府は、治安機関を改革することで、国内の秩序と安全を回復すると規定されている。

　　これより先、カタールのシェイフ・ハマド・ビン・ジャシム・アト＝タニ首相は、アラブ連盟が今回の提案を国連安全保障理事会に付託することを明らかにしていた。シリアでは10ヶ月にわたって、反政府抗議運動が続いている。国連の資料では、
5000人以上が犠牲となっているという。

http://japanese.ruvr.ru/2012/01/23/64408169.html

ロシア外務省「シリア内紛を武力解決してはならない」

１７日ロシアは国連安保理に新たなシリア決議案を提出した。昨年３月から続くシリアの内紛に終止符を打つ目的で決議案をロシアが提出するのはこれで３度目。

　西側各国の大使が同決議案の検討作業を行うのは翌日となるが、すでに今の時点で声明が表されており、シリアのアサド大統領体制への批判を厳しくすべきという西側パートナーの懇願にロシアは耳を傾けなかったようだという見解が表された。

　ロシア外務省のゲンナージー・ガチロフ次官はモスクワで記者会見にのぞみ、ロシアが前回に出した決議案に西側が行った修正はシリアの体制変換を狙ったもので、ロシアの提案を歪めるものだと語った。同次官は、ロシアは引き続き決議案の討議を行う構えであるものの、同国の内紛を武力で解決することは除外しており、その主な目的は各方面に直ちに武力行使を中止して、対話の開始を呼びかけることだと強調している。さらに同国の反体制派は現在、非建設的な行動を行い、今後の情況の発展を妨げているとの見方を示し、国内の危機解決を図るには各方面が妥協の道を探らねばならないと語った。さらにアラブ連盟が派遣した監視団については、政治プロセスを開始するために少なからぬ貢献を行っており、この活動は延長すべきだとのロシア政府の見方を明らかにしている。

　シリアでは昨１１年３月からアサド大統領の退陣を求める反体制派と軍隊との間で武力衝突が続いており、国連の調べではこの間の衝突で５０００人を超える人命が失われている。欧州連合（ＥＵ）、米国、トルコをはじめとする多くの国は対シリア制裁を発動しているほか、１６日、パン国連事務総長からはアサド大統領にむけ直ちに暴力を中止するよう呼びかけが行われた。

http://japanese.ruvr.ru/2012/01/17/64045820.html

2012年1月21日のシリア情勢

アラブ連盟をめぐる動き　　シリア・アラブの春（シリア革命2011）顛末記

　アラブ連盟監視団の活動状況をめぐって、西側依りの姿勢を強める在外の反体制政治連合のシリア国民評議会とアラブ連盟、そして同評議会と国内を主な活動拠点とする反体制政治連合の民主的変革諸勢力国民調整諸委員会の意見の相違が露呈した。

http://www.ac.auone-net.jp/~alsham/2012_01/21.html

他国の政権の正当性にクビ突っ込むのは邪道だよ

アラブ連盟外相会議がアサド大統領に退陣を要求
2012/01/23 22:36[下へ]
調停案と報じている邦字紙もあるが、調停案（何案でもいいが）とは書かれておらず、アラビア語としてはシリア政府に「求めた」。大統領退陣を求め、様々な勢力から構成される暫定政府発足を求め、新憲法起草を求め・・・、これら全てを決議し、シリア政府に通告するというのが事実。

レバノンは決議全体から身を引き、アルジェリアは決議第7項（連盟シリア委員会議長（カタール）と事務総長に対し、本決議履行の支援を国連安保理に求める）について留保した。
http://arabic.rt.com/news_all_news/news/576721/

長い文章を書いたのだが、消えてしまったので、脱力。メモのみ。

アラブ連盟の発表に先立ち、日本時間の今日早朝まで、シリアとロシアのニュースは、ある種の安堵感（その2）が流れていた（報告書は連盟とシリア外相に提出されるから、内容を事前に把握していた）。ニュースが流れて、さぞかし腰を抜かしたことだろう。

そもそもアラブ連盟は、各加盟国が連盟と関係なく決めたことを受け入れる組織（主権尊重）で、加盟国を罰する仕組みを持たないので、シリア内政に口出ししている全ての文言が憲章違反。シリアを資格停止したあとのアラブ連盟は、憲章を無視しまくりなのだが、その様子は、あたかも制御不能のガン細胞が暴れ回っているかのよう。

一国の国家元首に対し、他国の外相（つまり格下）が辞めろと決議して通告すること自体が、無礼でありえない。（だから政治現象なのだけれど）

本来の手続きでは、閣僚会議の決定は、首脳会議を経て、初めて連盟の正式決定となり、加盟各国に文書で通告されるのだが、サミットをパスして、これがあたかも連盟の最終決定であるかのように扱われている点も、前回同様、間違い。

複数政党制、多様性（political pluralism）とは、複数の政党（と無所属）が「単に存在すること」を保証することまで。選挙で投票しない、選挙に立候補しない、選挙というフィルターにかけられない、なんて人物に大臣ポストを与えること、そのような個人に政府と対等の発言権を与えることが、複数政党制ではない。ここに重大なまやかしがある。上手に政治活動ができるかどうかなんて、政府がいちいち世話しない。各自がやるべきことだ。

平和的デモの保証をもとめているが、「平和的」というキーワードも問題。「許可あり」か「許可なし」かで区別するのがG7標準です。許可なしデモは叩きつぶしていいのだ。武装なんて論外。これはシリア政府の宣伝下手が尾を引いている。

ロシア外務省は、「平和的で、外国からの干渉不可」という条件で、アラブ連盟が引き続き問題解決に関与することに支持表明（ということは、2週間以内にアサドに退陣しろと言っているのか？）。・・・少し前に、アサドがモスクワ亡命というニュースも流れていたが。以前のロシアは、期限を押しつけないということも前提条件としていたが、本決議では期限を定めている。
http://arabic.rt.com/news_all_news/news/576780/

これを受け、シリア国内の各勢力があちこちで会議が開かれ、その結果が現れるのに1週間くらいかかると思うので、様子を見ましょう。

アラブ連盟監視団の報告書の内容に関する、事務総長の報告（報告書そのものではない）。（PDF）・・・武装勢力の存在を認めているものの、全体のトーンは、SANAから受ける印象よりも、ずっと武装勢力とFree Syrian Armyに対し好意的。
http://www.arableagueonline.org/wps/wcm/connect/9454cc8049e3aa0aa4a1bc526698d42c/SG+REPORT+ON+SYRIA+22-1-2012.pdf?MOD=AJPERES

アラブ連盟外相会議の決議文（PDF）
http://www.arableagueonline.org/wps/wcm/connect/76a9db8049e4238ba551bd526698d42c/res+7444.pdf?MOD=AJPERES

Syria Rejects AL Council's Decision as Violation of International Sovereignty, Blatant Interference in Its Internal Affairs
http://www.sana.sy/eng/21/2012/01/23/395975.htm
http://www.sana.sy/ara/2/2012/01/23/395958.htm
Jan 23, 2012

Ambassador al-Ahmad: Syria Rejects all Decisions Issued by Arab League Outside of Arab Work Plan
http://www.sana.sy/eng/22/2012/01/23/396001.htm
http://www.sana.sy/ara/3/2012/01/23/395959.htm
Jan 23, 2012

怒り狂うシリア人の間で、こんなものが回覧されています。
Hamadonkey「ハマドンキー」
（カタール首相ハマドと、アラブで馬鹿の代名詞ロバ（donkey）を合わせた。）

http://m.webry.info/at/hibikan/201201/article_348.htm;jsessionid=1249B1BD8D7CED21F42B152191CE81FB..32790bblog?i=&p=&c=m&guid=on